連載

歴史に残るクルマと技術

スタイリッシュな2ドアピラーレスHTが全盛期を迎えた1970年代

1965年7月にデビューしたトヨタ3代目「トヨペットコロナ・ハードトップ」。国産車初のハードトップ

1950年代に米国ビッグ3は、競って2ドア/4ドアのハードトップ(HT)車を投入して大ブームを作り出した。日本でも、トヨタが1965年7月に3代目「コロナ(ET40)」に記念すべき国産車初のピラーレス2ドアハードップ車を設定。そして、1968年9月にはコロナの上級モデル「コロナ・マークII」に展開、日産自動車は1970年10月に3代目(ハコスカ)「スカイライン(C10)」に2ドアHT車を設定した。その後1970年代から1980年代は、HT車はスポーティさを演出するボディスタイルとして市場を席巻し、他のメーカーからも競うように新型HT車が投入された。

1968年にデビューした日産3代目「スカイライン(ハコスカ)」

そのような中で、トヨタはユーザーの上級志向に応えるHT車として3代目「マークII」、日産は5代目「スカイラインGT」を投入した。3代目マークIIと5代目スカイラインGTのハードトップは、正確に表現するといずれもピラーレスの2ドアHTである。

1977年8月にデビューした日産5代目「スカイライン」、キャッチコピーは“スカイライン・ジャパン”

HTには、センターピラーのないピラーレスHTと、センターピラーのあるピラードHTの2種類がある。センターピラーのないピラーレスだとサイドビューはスッキリ開放感があってスタイリッシュとなる。一方のピラードHTは、センターピラーは補強の目的で残し、窓枠を残して見た目はスポーティなHT風に見えるように工夫したものである。1970年代前半までは、スタイリッシュなピラーレスの2ドアHTが主流だった。

初代~4代目までのトヨタ「マークII」

マークIIも初代から3代目まで、スカイラインも初めて採用された3代目から5代目までは、ピラーレスの2ドアHTだった。HTを積極的に採用したのは、マークIIの場合は若々しさと高級感を演出するため、スカイラインはスポーティさと高級感をイメージさせるためと、若干思想の違いがあった。

当時の日本経済は成長して頂点を極め、ユーザーの高級感や上級志向が上昇したこと、一方で排ガス規制強化など環境対応によってエンジン性能が抑制されたこともあり、スポーティ志向よりも上級・高級なHT車がオーナードライバーの憧れとなったのだ。

ちなみに1980年代を迎える頃には、衝突安全基準(側面衝突など)の強化が叫ばれ、また静粛性の悪化、コスト高も問題視されるようになり、マークIIもスカイラインも、この代以降はピラードHTへと方向転換した。

上級モデルへの脱皮を図った3代目マークII

初代「コロナ・マークII(T60/70)」は、1968年9月に「コロナ」と「クラウン」の中間層を狙って誕生した。当初から4ドアセダンとともに2ドアHTが設定され、デザインはコロナを継承しながら、一回り大きくして居住空間に余裕を持たせて上級化された。1972年1月には、モデルチェンジして2代目(X10/20)へ移行。初代同様、4ドアセダンと2ドアHTが設定され、スカイラインを意識したようなスポーティなデザインとなり、初代より大型化した。

1976年12月にデビューしたトヨタ3代目「コロナ・マークII」。落ち着いたクラシカルな雰囲気が特徴

そして、1976年12月に3代目「コロナ・マークII(X30)」がデビューした。3代目は、スポーティな雰囲気の2代目から一転、欧州風のクラシカルな落ち着いた雰囲気となり、上級志向に仕立てられた点が特徴だった。

1976年12月にデビューしたトヨタ3代目「コロナ・マークII」

従来通り4ドアセダンと2ドアHTが設定され、丸形ヘッドライトに独立したフロントグリルを持つ上品なフロントフェイス、インテリアもシックでシンプルなデザインで統一。また、フロントサスペンションはマクファーソンストラット式に、リアは5リンク・リジッド式またはトレーリングアーム独立懸架式に変更され、より高級感のある乗り心地が実現された。

1976年12月にデビューしたトヨタ3代目「コロナ・マークII」。落ち着いたクラシカルな雰囲気が特徴
1976年12月にデビューしたトヨタ3代目「コロナ・マークII」

エンジンは、最高出力100psの2.0L 直4 SOHC、110psの2.0L 直6 SOHCエンジンに加えて、新たに135psの2.6L 直6 SOHCエンジンを設定。トランスミッションは、4速/5速MTと3側ATが組み合わされた。

トヨタ3代目「コロナ・マークII」に搭載されたキャブ仕様の2.6Lエンジン

車両価格は、98.2万円(標準)/105万円(デラックス)。当時の大卒初任給は9万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算で現在の価値でそれぞれ約251万円/268万円に相当する。

3代目コロナ・マークIIは、2代目までのコロナのハイグレードという立ち位置から、完全に独立した上級モデルへ舵を切った分岐点となったモデルだったのだ。

ジャパンGTは走りよりも上質・高級化を重視

1977年8月にデビューした日産5代目「スカイライン」、キャッチコピーは“スカイライン・ジャパン”

1977年8月、5代目「スカイライン(C210)」がデビューした。伝説となった“ハコスカ(C10型)”、“ケンメリ(C110型)”に続いた5代目スカイラインのキャッチコピーは、日本車の決定版の意味を込めて“ジャパン”とされた。排ガス規制など環境問題がクローズアップされた時期だったので、歴代スカイラインの中ではスポーティさに劣る面があったが、その分大人の上級な雰囲気を重視したモデルだった。

ジャパンは、先代より直線基調でシャープなフォルムとなり、先代と同じく4ドアセダンと2ドアHTを用意。インテリアについては、デジタルメーターやパワーウインドウといった装備の豪華さや内装の質感の向上が図られた。

日産5代目「スカイライン」に搭載されたL20E型直6エンジン

エンジンは、先代と同じ最高出力95ps/最大トルク13.5kgmの1.6L&115ps/15.5gmの1.8L 直4 SOHCエンジンと、「2000GT」には最高出力130ps/17.0kgmを発揮する2.0L 直6 SOHCが搭載された。排ガス規制対応で高性能を追求するのが難しく、2000GTもジェントルな走りだった。

日産5代目「スカイライン」のコクピット

このことから、“名ばかりのGT“と揶揄さることもあったが、排ガス規制から解放された1980年には、ジャパンはスカイライン初となる2.0Lターボモデルを追加、出力は一気に145ps/21.0kgmまで向上し、走りを極めるスカイラインらしさが戻ってきた。

1977年8月にデビューした日産5代目「スカイライン」、キャッチコピーは“スカイライン・ジャパン”

車両価格は、2ドアHTのTIシリーズが11.5万~138万円(1.6L&1.8L)、2000GTが125.9万~160.5万円に設定。当時の大卒初任給は9.6万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算で現在の価値で2ドアHTの2000GTが302万~385万円に相当する。

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3代目マークIIと5代目スカイラインGTがデビューした当時の日本は、排ガスと燃費重視の気運が強く、人気のHT車もスポーティさよりも、上級志向を重視した総合力で勝負という傾向が強かった。販売的には、マークIIとスカイラインではマークIIの方が上回っていたが、HT車で見ればジャパンの方が優勢だった。

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