連載

今日は何の日?

■新デザインのATC70、レース用のATC200X登場

1983(昭和58)年8月1日、ホンダは多目的オフロード専用3輪バギー「ATC(All Terrain Cycle)」シリーズに、デザインを一新した「ATC70」、さらに本格的レース用マシンの「ATC200X」を追加し発売した。ATCシリーズは、オートバイ技術をベースにした“遊びと実用のオフロード車”だが、一般公道での走行はできない。

ホンダのバギーは米国からの要望で誕生

ホンダのバギーは、オフロードの商品を求めた米国販売店の要望から、1970年に米国向けの「US90」の発売から始まった。US90は雪道や砂浜、牧場などでのレジャー用として、低圧バルーンタイヤを履き、排気量90cc水平単気筒4ストロークOHVエンジンを搭載。4速自動遠心式クラッチ+副変速機のデュアルレンジで、リジッドフレームで低圧バルーンタイヤがサスペンション代りをした。

1982年6月にデビューしたホンダ「ATC70」

1973年には、車名が「ATC90」に変更され、実質的にATCシリーズが始まった。同時に、子供や初心者向けの“ミニ3輪”として「ATC70」がファミリーレジャー用を狙って登場し、入門バギーとして人気を博した。

1982年6月にデビューしたホンダ「ATC200E」

1979年にATC90のエンジンを拡大した「ATC110」が登場し、80年代前半までエントリー用からレジャー用まで楽しめるバギーとしてホンダの主力となった。さらに排気量を拡大し、電動スタータも備えた「ATC125M」も投入された。

1981年には、モトクロッサー「CR250R」の流れを汲んだ高出力エンジンと本格サスペンションを備えたレース志向のスポーツATCとして、250cc単気筒2ストローク搭載「ATC250R」がデビュー。モトクロスやデザートレースなどでATC250Rを中心に活躍し、3輪スポーツの象徴的存在となった。

1983年のAUTOSPORT誌に3輪バギー・レースが紹介されている。使用するバギーは、ATC70、ATC100、ATC185改などなど
1983年のAUTOSPORT誌に3輪バギー・レースが紹介されている。使用するバギーは、ATC70、ATC100、ATC185改などなど

新たなデザインのATC70とレースマシンATC200X登場

1983年8月のこの日、「ATC70」のデザインを一新し、さらに本格的レース用マシン「ATC200X」が追加された。

ATC70

1983年8月1日にデビューしたホンダ「ATC70」
ホンダ「ATC70」のサイドビュー

ATC70は、最高出力3.4ps/最大トルク0.42kgmを発揮する排気量70cc単気筒4ストロークSOHCエンジンを搭載し、変速は自動遠心4速リターン式でサスペンションなしのリジッド。ATC70は、軽量コンパクトで初心者や女性にも扱いやすい3輪バギーである。
デザインが一新され、車両価格14.5万円で発売。当時の大卒初任給は13万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約26万円に相当する。

ATC200X

1983年8月1日にデビューしたホンダ「ATC200X」
ホンダ「ATC200X」のサイドビュー

ATC200Xは、最高出力18.8ps/最大トルク3.4kgmの192cc単気筒4ストロークSOHCエンジンでCDI点火方式を採用。変速は、常時噛合式5速リターンで、サスペンションはテレスコピック(フロント)/スイングアーム(リア)を搭載。これにより、パワフルな高い走破性と優れた路面追従性が実現された。
さらに、リアにはダイヤルひとつで減衰力を4段階に調整できるアジャスタブル機構を取り入れたガス・オイル分離加圧式リザーバーダンバーを搭載し、装備面では油圧式ディスクブレーキを前後に採用、フレームはトータルバランスに優れたセミダブルクレードルフレームが採用された。
これらにより競技用車としての充実した機能と高い走行性能を実現。ATC200Xの車両価格は、35.0万円で現在の価値で約62万円に相当する。

なお、ATCシリーズは、オフロード専用車両のため、一般公道や公共の用に供する場所などでは走行できない。

1980代後半に3輪から4輪バギーが主流に

1980年代中盤、米国で3輪ATCの転倒事故や訴訟が増加し安全性への批判が高まり、ホンダを含む各社は4輪ATV(All Terrain Vehicle)への転換を進め、3輪ATCは段階的に縮小。ホンダは、1987年モデルを最後にATCの販売を終了し、以後は4輪ATVのみとなった。

1985年12月にデビューしたホンダの4輪バギー「TRX70」

初めて4輪バギーが登場したのは、1885年10月の「TRX200S」、そして同年12月発売の「TRX70」である。TRX200Sは、最高出力15.3ps/最大トルク1.64kgmを発揮する排気量199cc単筒4ストロークSOHCエンジンを搭載し、価格は40万円。TRX70は、最高出力3.7ps/最大トルク0.47kgmの72cc単筒4ストロークSOHCエンジンを搭載し、価格は22万円だった。

1985年10月にデビューしたホンダの4輪バギー「TRX200SX」

TRXシリーズでは、クラッチ操作不要のオートクラッチ、CDI点火装置、オートカムチェーンテンショナーなど各種のメンテナンスフリーメカニズムを採用。また、ワンタッチで駐車できるパーキングロック機構や右手親指で操作するレバー式スロットルなども装備され、扱いやすさや利便性も大きく向上した。

・・・・・・・・・・・
公道では走れないバギーだが、安全基準さえ満たせば公道で走れないわけでない。しかし、それは現実的ではなく、本来のバギーの魅力を喪失してしまうだろう。やはり、バギーは大自然の中で誰でも気軽に楽しむ大人のための玩具なのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

連載 今日は何の日?

by MotorFan
歴史 1時間前

ホンダのオフロード専用3輪バギー「ATC70/200X」が14.5万円/35.0万円で83年に登場【今日は何の日?8月1日】

by MotorFan
歴史 2026.07.31

トヨタ「ハイラックスサーフ」に3.0Lコモンレール噴射ディーゼルエンジン搭載! 300万円~3代目がマイナーチェンジ【今日は何の日?7月31日】

by MotorFan
歴史 2026.07.30

女性が作った女性のための三菱特別仕様車「コルト・ブルームエディション」を122万円~03年に発表【今日は何の日?7月30日】