フルサイズでメットイン! “Nワン”は若者の少し先を行っていた

1990年代初頭、原付スポーツに乗る若者にとって「大きく見えること」はけっこう重要だった。今も昔も「それ何cc?」「何キロ出るの?」なんて聞かれることはあるけれど、当時は排気量や最高速でマウントを取られる場面も少なくなかった。そんな中でNS-1は、50ccとは思えないフルサイズボディを持っていた。パッと見は中型クラスにも見える堂々たる車格。これが、乗る側にとってはかなり誇らしかったのだ。

しかもNS-1は、デカいだけでは終わらない。見た目はフルカウルのロードスポーツなのに、燃料タンクに見える部分は収納スペース。フルフェイスヘルメットも入る24Lのセンタートランクを備え、燃料タンクはシート下へ移されていた(給油口はシートカウル上部)。スポーツバイクのカッコよさと、スクーター的な便利さを両立していたのがNS-1最大の特徴である。

エンジンはNS50系で定評のあった水冷2スト単気筒を搭載し、最高出力は7.2ps/10000rpm。前後17インチホイール、前後油圧式ディスクブレーキ、ゆとりある乗車ポジションも備え、街乗りから通学、ちょっとしたツーリングまでこなせる。まさに「デカいはエライ!」を体現した原付スポーツだった。

収納スペースを装備
フルフェイスヘルメットが収納可能なセンタートランク。スクーターと同等の実用性を実現し、通学に使う若者が激増した。

コクピット周り
スポンジマウントはNSR50と同様だが、スピードメーターも大型化され視認性もアップ。インジケーターはメーター内に装備。

ヘッドライト周り
95年には大型アッパーカウルと、デュアルヘッドライト(クリプトンバルブ:18W×2)を採用。通称ネコ目もグッド。

1987〜1990年 先代モデル NS50F|“Nワン”につながる始祖的存在

NS-1を語るうえで、先代にあたるNS50Fの存在も外せない。1987年に登場したNS50F・エアロは、水冷2スト単気筒エンジンを搭載したロードスポーツとして誕生。最高出力7.2psのエンジンに、前輪油圧式ディスクブレーキ、軽量・高剛性のアルミ製キャストホイール、幅広タイヤを組み合わせた本格派だった。

ハーフフェアリングや小物入れを備えたシートカウルなど、走りだけでなく実用性にも目を向けていたのもポイント。50ccながらロードスポーツらしい装備を持ち、若者に“スポーツバイクに乗っている”感覚を味わわせてくれた存在だった。このNS50Fの流れを受け継ぎつつ、フルカウルとメットインという大きな武器を手にしたのがNS-1なのである。

主要諸元|NS50F・エアロ

全長×全幅×全高:1855×630×1065mm
ホイールベース:1260mm
シート高:760mm
車両重量:92kg
エンジン:水冷2スト単気筒
総排気量:49cc
最高出力:7.2ps/8000rpm
最大トルク:0.65kgm/7500rpm
燃費:68.4km/L(30km/h定地走行)
ブレーキ:前 油圧式ディスク/後 機械式リーディングトレーリング
タイヤ:前2.75-17・後3.00-17
価格:20万9000円

1991〜1994年 前期型|フルサイズボディにメットインを内蔵!

1991年に登場した前期型NS-1は、50ccスポーツバイク初のメットイン機能を備えた原付ロードスポーツとしてデビューした。従来の燃料タンク部分に24Lのセンタートランクを内蔵し、フルフェイスヘルメットや日常の小物を収納できるようにしたのが最大のポイント。通学や通勤、ちょっとしたツーリングにも使いやすく、若者に大きく刺さった。

車体は50ccとは思えないフルサイズ。ツインチューブ・ダイヤモンド式フレームに、前後17インチホイール、前後油圧式ディスクブレーキを組み合わせ、ロードスポーツらしい走りも楽しめた。燃料タンク風の収納スペース、フルカウル、ゆとりのあるポジション、レーシーなグラフィック。そのすべてがたまらなく魅力的だったのである。

主要諸元|1991年モデル

全長×全幅×全高:1905×670×1080mm
軸距:1295mm
シート高:752mm
車両重量:101kg
エンジン:水冷2スト単気筒
総排気量:49cc
最高出力:7.2ps/10000rpm
最大トルク:0.65kgm/7500rpm
燃料タンク容量:8.0L
燃費:54.3km/L(30km/h定地走行)
変速機:6速リターン
ブレーキ:前後油圧式ディスク
タイヤ:前90/80-17・後100/80-17
価格:27万9000円

1994年 特別仕様|ロスマンズカラーがズルい!

1993年にマイナーチェンジ。新デザインの幅広バックミラーを採用し、マフラーにはステンレス製のカバーを装着し質感の高いものとなった。その翌年(1994年)には、4000台の限定販売モデルとして、カウリングなどに“Rothmans”のロゴやエンブレムを配し、レーシングマシンの気分が味わえるスペシャルカラーリングモデルを追加された(価格差は+7000円)。

1995〜1999年 後期型|二灯ヘッドライトでさらにスポーティに!

1995年登場の後期型では、大型アッパーカウルとデュアルヘッドライトを採用し、外観をさらにスポーティで精悍なイメージへ進化させた。400ccクラスの人気車RVFを思わせるカラーリングもあいまって、50ccながら堂々とした迫力あるモデルとなっている。いわゆる“ネコ目”とも呼ばれる二灯ヘッドライトは、後期型NS-1を象徴する大きなポイントだ。

中身もしっかり熟成されている。エンジンは定評ある水冷2スト単気筒をベースに、DC-CDI点火方式や新設計パルサーを採用。さらにインテークチャンバーの新設やリードバルブ形状の変更により、低回転域から高回転域まで扱いやすくスポーティな走り味を楽しめるようになった。見た目だけでなく、日常での使い勝手と走りの気持ち良さを高めていたのである。

主要諸元|1995年モデル

全長×全幅×全高:1905×670×1080mm
軸距:1295mm
シート高:752mm
車両重量:101kg
エンジン:水冷2スト単気筒
総排気量:49cc
最高出力:7.2ps/10000rpm
最大トルク:0.65kgm/7500rpm
燃料タンク容量:8.0L
燃費:55.3km/L(30km/h定地走行)
変速機:6速リターン
ブレーキ:前後油圧式ディスク
タイヤ:前90/80-17・後100/80-17
価格:29万9000円

当時のモトチャンプ誌面をプレイバック!

カートコースで伊藤真一がライド!
限定ロスマンズカラーの発売を記念して、伊藤真一、岡田忠之、宇川徹の3選手が新東京サーキットを激走。「基礎を学ぶための絶好の素材ですね(伊藤真一)」。

乗り比べるから実力も丸わかり!
2ストチューンの定番といえば、チャンバーへの交換でしょう。毎月のように新型チャンバーが登場し、テスト企画も大好評でした。

ドレスアップも大得意!
ガレージノア製NRレプリカカウル(ライダーは辻村猛選手)や、キタコの耐久スタイルなど、カスタムパーツも大盛況。ポート加工の仕方などチューニング文化も育っていった。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年6月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】