シトロエンC3エアクロス・ハイブリッドは、国内BセグメントSUVでは唯一の7人乗り
シトロエンC3 AIRCROSS HYBRID(シースリー・エアクロス・ハイブリッド)はBセグメントのコンパクトカーであるC3から派生した3列シート7人乗りのSUVである。最大の魅力は、海外(フランス)ブランドのコンパクトな3列シート車であることだ。
C3エアクロスハイブリッドの全長はC3比+395mmの4410mm。ホイールベースはC3比+130mmの2670mmである。国産ブランドの3列シート車ではホンダ・フリードの全長が4310mm、トヨタ・シエンタが4260mmだ。その上となるとトヨタ・ノア/ヴォクシー(4695mm)、日産セレナ(4765mm)、ホンダ・ステップワゴン(4800mm)となってだいぶ大きくなるし、いかにもミニバン然とした姿になってしまう。


海外ブランドの3列シート車では、シトロエンと同じステランティスに属するプジョー5008という選択肢もありスタイリッシュではあるが、全長が4810mmある。フィアット・ドブロ/プジョー・リフター/シトロエン・ベルランゴ・ロング(4760〜4770mm)は商用バンがベースということもあってビジネスライクな雰囲気から脱し切れていない(出自を考えれば充分おしゃれな仕立てになっているけれども)。同じフレンチブランドのルノー・グランカングーという選択肢もあるが、やはり商用バンベースで全長は4910mmもある。
という状況を考えると、シトロエンC3エアクロス・ハイブリッドは希有で貴重な存在であることがわかる。国産車でいえばフリードクラスのコンパクトさ。ミニバンではなくSUVなのもポイントで、一見するととても3列シートを備えているようには見えない。エクステリアは最新のシトロエンのデザイン言語でまとめられておりフレッシュだ。ベースのC3よりも力強さを感じるのは、フロントバンパーの張り出しが大きいからだろう。

早速乗り込んでみよう。運転席に座った際に目に入る景色はC3とほとんど変わらない。ただし、視界の点ではC3より全高が70mm高い(1660mm)点が影響しており、SUVらしく上から見下ろす感覚だ。ダッシュボードは水平基調。小径かつ異形のステアリングホイールの上からフロントガラス下端のメーターを見る格好だ。10インチタッチスクリーンはApple CarPlayとAndroid Autoに対応。USB-Cのソケットは助手席側のダッシュボードにあり、Apple CarPlayとAndroid Autoを使うには有線で接続する(無線接続には対応していない)。

MAX、PLUSと2種類あるグレードのうち上級のMAX(試乗車)を選択すると、センターコンソールの奥にスマホのワイヤレスチャージャーが付く。そういえばC3はキーをひねってエンジンを始動するんだっけと、ステアリングコラム右側面をのぞき込んでキーシリンダーを探したのだが見当たらず…。
何のことはない。エンジンのスタート/ストップスイッチはステアリングコラムの左側に設定されており、現代風のプッシュスタート式である。エンジンのオンオフ手順の違いが、操作系におけるC3とC3エアクロスの最大の違いかもしれない(C3エアクロスでもPLUSはC3と同様、スタート/ストップスイッチは備わらない)。

3列目に座ると、膝前は2列目に密着するが頭上には余裕あり。大人なら短時間向きか
3列シートを成立させるため、2列目シートはじゃっかん前寄りに移動しているとのことだが、身長184cmの筆者が運転席でドラポジを合わせたシート位置で2列目に座った印象は、C3乗車時とそう変わらなかった。足元にたっぷり余裕があるわけではないが、窮屈でもない。膝頭は前席シートバックに触れるか触れないかギリギリといったところである。後席にもUSB-Cのポートが2口あるし、前席シートバックはスマホを入れるポケットを備えるなど、2列目乗車時の空間的なゆとりと装備はC3と変わらない印象だ。


3列目シートにアクセスするには、2列目シートを跳ね上げる必要がある。まず2列目シートバックの端にあるストラップを引っ張り上げてシートバックを前に倒し、クッション側にあるストラップを引きながら持ち上げると、人が通れる動線が確保される。2列目シートを跳ね上げる操作は片手でも無理なくできる印象だ。
2名掛け3列シートの居住性は全長が4410mmのコンパクトなサイズであることを考えれば妥当だ。C3エアクロスの輸入元であるStellantisジャパンは身長制限を設けてはいないけれども、大人なら短時間向きだろう。筆者が座ると、座面とフロアの段差があまりないので体育座りのような膝を折り曲げた体勢になるし、膝頭は2列目シートバックに密着する状態。ところが頭上は余裕があり、首を前傾させる必要はなく普通に座っていられる。
感心したのは左右にカップホルダーが設置されているし、左側だけになるがUSB-Cのポートが設けられていること。完全に非常用の位置付けではなく、ある程度長時間の移動を想定した設計であることがわかる。


やはり全長4410mmのコンパクトなサイズであることを考えれば妥当で、3列目シートを使用した状態でのラゲッジスペースはミニマムだ。手持ちのバッグすら置くのは難しい。しかし3列目シートを倒せば、広大なラゲッジスペースが出現する。当然だが、2列目も倒せばもっと広大なスペースが利用できる。
2列目と3列目のシートを倒すと2列目と3列目の間に隙間ができる。バックドア側に収納してあるカバーを取り出して固定すると、2列目〜3列目がフラットになる。レジャーでの使用時にくつろいだり、車中泊したりと、柔軟な使い方ができそうだ。ひとりでも2人でも、4〜5人でも、あるいは6〜7人でも有効に使えるのが、3列シート7人乗りのC3エアクロスというわけだ。


48Vマイルドハイブリッドと、PHCがもたらすやさしい乗り心地
パワートレーンはC3と共通で、エンジンは1.2L直列3気筒ターボ。これに6速DCTを組み合わせる。C3比+120kgの重量増(車重1390kg)に対応するためだろうか、最高出力/最大トルクはC3比でそれぞれ26kW、25Nm高められており、100kW/5500rpm、230Nm/1750rpmを発生する。車名の「ハイブリッド」はトランスミッションに48V駆動のモーター(最高出力15kW、最大トルク51Nm)を組み込んだシステムを指しており、いわゆるマイルドハイブリッドである。システム最高出力は107kW(145ps)だ。
実燃費は未確認だが、WLTCモード燃費が19.6km/Lであることを考えると、まずまずの好燃費を期待しても良さそう。モーターが役目を終えて主駆動源がエンジンに切り替わると野太い排気音が車室内に侵入してくる。欧州ブランドのやんちゃなエンジンを彷彿とさせる刺激的なサウンドで、そっちの方面が好きな人にはたまらないだろう。

そして乗り味である。シトロエン独自のプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)とアドバンストコンフォートシートの効果だろうか。クッションが効いた、なんともやさしい乗り心地である。PHCはゴム製バンプラバーに替えてセカンダリーダンパー(油圧クッション)で縮み側のエネルギーを減衰する構造。フロントは伸び側にもセカンダリーダンパーを備える。

アドバンストコンフォートシートは表層部に15mm厚の柔らかなフォームを採用し、中心部は低反発の高密度フォームを持つ構造。体がシートに触れた瞬間はフカッと柔らかく、完全に腰を下ろした状態では包み込むようなホールド感が味わえる。C3エアクロスは1列目だけでなく2列目もアドバンストコンフォートシートを備える。

PHCとアドバンストコンフォートシートがシトロエンでしか味わえない独特の乗り心地を約束。扱いやすいコンパクトなサイズながら、幅広いライフスタイルに応える実力を備えているのが、新型C3エアクロス・ハイブリッドだ。
| グレード | シトロエンC3 AIRCROSS MAX HYBRID(FF) | ||
| 全長 | 4410mm | ||
| 全幅 | 1790mm | ||
| 全高 | 1660mm | ||
| 乗員人数(名) | 7 | ||
| ホイールベース | 2670mm | ||
| 車両重量 | 1390kg | ||
| パワーユニット | 1.2L直列3気筒ターボ+48Vマイルドハイブリッド | ||
| エンジン最高出力 | 100kW(136PS)/5500rpm | ||
| エンジン最大トルク | 230Nm(23.5kgm)/1750rpm | ||
| 燃料(タンク容量) | プレミアムガソリン(44L) | ||
| モーター種類 | 交流同期電動機 | ||
| モーター最高出力 | 15kW(20PS) | ||
| モーター最大トルク | 51Nm(5.2kgm) | ||
| バッテリー種類 | リチウムイオン電池 | ||
| 燃費(WLTCモード) | 19.6km/L | ||
| サスペンション | 前:マクファーソンストラット式 後:トーションビーム式 | ||
| ブレーキ | 前:ベンチレーテッドディスク 後:ディスク | ||
| タイヤサイズ | 215/60R17 | ||
| 価格 | 435万円 | ||




