BMWは間もなく、次期型3シリーズを正式発表する予定だ。それに先立ってBMWは、南フランスのミラマスで最終テストを行なう次期3シリーズの偽装車を公開した。

次期BMW3シリーズ

新型には4気筒、そして6気筒エンジンが用意され、いずれも48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせる。トップモデルとなるM350 xDriveには3.0L直列6気筒ターボを搭載。システム最高出力443hp、最大トルク580Nmを発揮する。

だが、今回注目したいのはパワートレーンではない。そのプロポーションである。

2026年3月に発表されたBEVの新型BMW i3を見て、「これが次期3シリーズの姿になるのか」と思ったBMWファンも多かったのではないだろうか。

しかし、今回公開された次期3シリーズのプロトタイプとi3を並べてみると、意外なことがわかる。

両車はよく似ている。だが、プロポーションはまるで違うのだ。

未来はどこまで実現されたのか。Vision Neue Klasse(ノイエクラッセ)と新型BMW i3の答え合わせ | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

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Neue Klasseの「顔」は次期3シリーズにもやってくる

BMW i3

BMWは2026年3月18日、Neue Klasse第2弾となる新型BMW i3を発表した。

全長4760mm×全幅1865mm×全高1480mm、ホイールベース2897mm。第6世代BMW eDriveを採用するBEV専用モデルである。

そのデザインも、これまでの3シリーズから大きく変わった。

BMW i3の特徴的なフロント

フロントでもっとも目を引くのは、BMW伝統のキドニーグリルと「4眼」を現代的に再解釈した薄型ヘッドライトを、一体のグラフィックとして見せる処理だ。BMW自身も、キドニーグリルと4眼のライトシグネチャーを統合した新しいフロントデザインだと説明している。

次期BMW3シリーズ

そして今回公開された次期3シリーズの偽装車を見ると、その下にはi3によく似たフロントマスクが隠れているように見える。

BMW i3
次期BMW3シリーズ

リヤも同様だ。

横方向へ伸びる非常に薄いテールランプ、左右を水平につなぐように見せるグラフィック、そしてその下に大きな面を作るリヤエンド。こちらもi3と次期3シリーズの基本的なデザインテーマはかなり近いと考えてよさそうだ。

BMW自身も、次期3シリーズについて、i3を含む新型3シリーズ全車がNeue Klasseのデザイン言語を採用すると説明している。

つまり、次期3シリーズの「顔」と「お尻」はi3とかなり近いものになる可能性が高い。

では、横から見るとどうだろう。

i3と並べると、まるで違うクルマに見える

ここが今回もっとも興味深いところだ。新型i3と次期3シリーズのプロトタイプを、ほぼ同じ角度のサイドビューで並べてみた。

次期BMW3シリーズ
BMW i3

ずいぶん違う。

まず見てほしいのは、フロントタイヤの位置とAピラーとの関係だ。

上がBMW i3、下が次期BMW3シリーズ

BMWのような縦置きエンジン・後輪駆動を基本とするプレミアムセダンでは、フロントアクスルからフロントドア前端、あるいはAピラー付近までの距離が長い。とくに注目したいのが、フロントアクスルの中心からフロントドア前端までの距離、いわゆる「プレミアムレングス」だ。FRレイアウトを採るプレミアムカーでは、この部分を長くとることで、長いボンネットと後方へ引いたキャビンを強調するプロポーションが伝統的に用いられてきた。歴代BMW 3シリーズも、その典型である。

長いボンネット。その後方から立ち上がるAピラー。そして後ろへ引かれたキャビン。

これこそ、歴代3シリーズをはじめとするFR系BMWのサイドビューを特徴づけてきたプロポーションだ。

ところが新型i3では、その関係がかなり変わった。

フロントアクスルに対してAピラーが前方にあり、キャビン全体も前へ出て見える。ホイールベースは2897mmと長いものの、その長さの使い方が従来のICE版3シリーズとは違う。

これはBEV専用パッケージだからこそ可能になったプロポーションでもある。

BMWはi3について「長いホイールベースと短いオーバーハング」を持つNeue Klasseの2.5ボックスシルエットと説明している。

次期3シリーズには「プレミアムレングス」がある

次期BMW3シリーズ

ところが、今回公開された次期3シリーズを見るとどうだろう。

フロントアクスルからAピラーまでが明らかに長い。i3よりもボンネットが長く見え、Aピラーは後方から立ち上がる。キャビンそのものも後ろへ引かれている。

これは、われわれが見慣れてきたBMW 3シリーズのプロポーションだ。

上が現行3シリーズ、下が次期3シリーズ

そこで今度は、現行G20型3シリーズと次期型を並べてみた。すると、その関係はさらにわかりやすい。

細部のデザインこそ大きく変わるものの、ボンネット、フロントアクスル、Aピラー、キャビンの位置関係は、i3よりも明らかに現行G20の延長線上にあるように見える。

もちろん、まだ偽装された開発車両であり、BMWは次期ICE版3シリーズの正式なボディサイズを公表していない。写真だけから寸法を推測することも避けるべきだろう。

しかし、プロポーションの違いは十分に読み取れる。

次期3シリーズはNeue Klasseのデザインをまとっても、i3と同じプロポーションにはならないようだ。

なぜi3と同じプロポーションにならないのか?

理由は、その中身を考えればわかりやすい。

i3はNeue KlasseのBEV専用アーキテクチャを採用する。前後アクスルに電気モーターを配置できるため、フロントに長いエンジンとトランスミッションを収める必要はない。

対して次期3シリーズには4気筒、そして直列6気筒エンジンが搭載される。

トップモデルのM350 xDriveには3.0L BMW TwinPower Turbo直列6気筒エンジンと48Vマイルドハイブリッド、8速Steptronicが組み合わされる。BMWはM350 xDriveを次期3シリーズで唯一の6気筒モデルと位置づけている。

つまり、BMW伝統の直列6気筒を縦置きできるパッケージを維持しているわけだ。

しかもM350 xDriveにはxDriveが標準装備されるものの、2027年から追加される「Drift Moment」を作動させると、エンジンの駆動力を後輪だけへ伝達できる。BMWはこの機能を納車済み車両にもリモート・ソフトウェア・アップグレードで追加するとしている。

メカニズムから見ても、新型3シリーズがBMW伝統のFRを基本としたパッケージングを大切にしていることがわかる。

「同じデザイン」と「同じプロポーション」は別だった

上がBMW i3、下が次期BMW3シリーズ

ここで改めてi3と次期3シリーズを見比べてみたい。
フロントを見る。似ている。

リヤを見る。やはり似ている。

上がBMW i3、下が次期BMW3シリーズ

そしてサイドを見る。かなり違う。

どうやらBMWが考えるNeue Klasseとは、すべてのBMWを同じプロポーションにすることではないようだ。

キドニーグリルと4眼ライトを再解釈したフロントマスクや水平基調のリヤデザイン、そしてインテリアのBMW Panoramic iDriveなど、新世代BMWのデザイン言語とユーザーインターフェイスは共有する。

しかし、そのデザインを載せる「骨格」はパワートレーンに合わせて作り分ける。

BEVのi3にはBEVだからこそ可能なNeue Klasseのプロポーションを与える。

一方、直列4気筒/6気筒エンジンを搭載する3シリーズには、長いボンネットと後方へ引いたキャビンという、FRスポーツセダンらしいプロポーションを残す。

実際BMWは、新型i3とICE版3シリーズについて、車両コンセプトの性質から「contrasting and quite distinct driving experiences(対照的で明確に異なるドライビング体験)」を提供すると説明し、それぞれの駆動システムに最適化した異なるドライビング・スタックを採用している。

デザインだけではなく、技術的にも「同じ3シリーズだから全部同じ」にしているわけではないのである。

顔はi3。でもシルエットは、ちゃんと3シリーズ

次期BMW3シリーズ

新型i3が発表されたとき、その姿を見て「これから3シリーズは全部このプロポーションになるのか」と感じたBMWファンもいるだろう。

どうやら、その心配はしなくてよさそうだ。もちろん、正式発表を待たなければ、次期3シリーズの最終的な姿はわからない。
だが、今回BMW自身が公開したプロトタイプからは、ひとつの方向性がはっきりと見えてくる。

顔はNeue Klasse。リヤもNeue Klasse。でも横から見れば、ちゃんと3シリーズ。

Neue Klasseという新しいデザイン言語をまといながら、フロントアクスルからAピラーまでの長い「プレミアムレングス」と、後方へ引いたキャビンを残す。
直列6気筒エンジンとともに、BMW 3シリーズを3シリーズらしく見せてきたFRスポーツセダンのプロポーションも、次の世代へ受け継がれることになりそうだ。少なくとも内燃機関を搭載する間は。