免許返納まで乗りたい」だから見た目だけでなく、この先も走れるSJ10へ

現行ジムニーをベースにした最新カスタムがずらりと並ぶ会場で、逆に強烈な存在感を放っていたのが堀内さんのSJ10。1979年式、つまり今から約半世紀前に生産されたジムニーだ。

このクルマとの出会いは、会社の先輩から掛けられたひと言だった。

「車庫にずっと置いてあって、邪魔だから捨てちゃうけど、いる?って言われたんです」。

もともとSJ10が欲しかった堀内さんにとっては願ってもない話。しかし、譲り受けた時点ですでに車両はかなり傷んでいたという。それでもしばらく所有し続け、2017年、ついに本格的なレストアを決断した。

作業を依頼したのは、偶然中古タイヤを買いに訪れたことがきっかけで知り合ったMuuコミュニケーションズ。何気なく「SJ10を持っていて、レストアしたい」と相談したところ、「できますよ」という返事が返ってきたことから話が動き始めた。

作業期間は約半年。ボディは一度バラし、傷んだ部分を徹底的に修復。パテで形だけを整えるのではなく、板金を主体にボディを作り直していったという。

ただし、堀内さんが求めたのは新車当時そのままの姿へ戻すことだけではなかった。

「この先もずっと乗りたかったので、実用性も考えました」。

そこでヘッドライトをはじめ灯火類はLED化。純正部品が入手しにくいという事情に加え、古い車両の電装系への負担を抑える狙いもあった。さらにUSB電源を追加するなど、外観の雰囲気を壊さない範囲で現代的な装備も採り入れている。

特徴的な幌ドアもSJ10ならでは。幌は経年によって縮みや傷みが出る消耗品だけに、状態を見ながら交換しつつ維持しているという。ステアリングなど使える純正部品は生かし、自ら塗装して仕上げるなど、古いものを大切に使う姿勢も随所に感じられる。

足元は純正16インチホイールを生かしながら、TOYOオープンカントリーR/Tを装着。クラシカルなSJ10の雰囲気を崩さず、現代でも安心して走らせられる仕様としている。

レストア完成からすでに約9年。長野県という土地柄、冬場は融雪剤によるサビを避けるため基本的には走らせず、普段も大切に保管。それでも週末には適度に走らせ、旧車を“飾る”のではなく、現役の愛車として楽しんでいる。

「免許を返納するまで乗るつもりで作りました。あと30年以上持つようにって(笑)」。

捨てられるかもしれなかった1979年式SJ10が、次の数十年へ向けて走り続ける。

古いから保存するのではなく、古いからこそ手を入れて乗り続ける。そんな堀内さんのSJ10は、最新カスタムとはまた違ったジムニー愛を感じさせる一台なのだ。

フロントまわりは基本的に当時のスタイルを崩さずレストア。丸目や縦スリットグリルなどSJ10らしい表情を残しつつ、灯火類をLED化して実用性を高めている。
純正シートから社外製のスポーツシートへ交換。クラシカルな室内にホールド性の高いシートを組み合わせ、長く乗り続けるための快適性も確保。
純正の雰囲気を色濃く残したインパネには、USB電源をさり気なく追加。スマホホルダーも備えるなど、旧車の味わいを崩さず現代のドライブに必要な利便性をプラスした。
SJ10らしさを色濃く残す幌ボディ。幌ドアは純正の骨格を生かしながら生地を張り替えてリフレッシュ。開放感たっぷりのスタイルも、この時代のジムニーならでは。
心臓部はSJ10純正のLJ50型、550cc水冷2ストローク3気筒エンジンを維持。貴重なオリジナルを生かしながら、現在も現役で走れる状態を保っている。
ボディには当時のコーションプレートも残されている。「H-SJ10」の車両型式や「LJ50」の原動機型式が刻まれ、1979年式という歴史を物語る貴重なディテールだ。
純正16インチホイールをガンメタ塗装、タイヤはTOYOオープンカントリーR/Tの185/75R16へ交換。旧車の雰囲気を崩さず、現代的な走破性とタフな足元を手に入れた。
リアは当時の雰囲気を生かしながら、丸型の汎用LEDコンビランプへ変更。レストア時にボディ側も灯火類に合わせて板金し、違和感なく収めている。
ジムニー(SJ10 3型)
OWNER 堀内 崇さん

PHOTO:塩谷佳史

【ALL JAPAN JIMNY MEETING 6th】
開催日:2026年7月25日(土)~7月26日(日)
開催場所:平谷高原スキー場