ボディ&顔が異なる4つのタイプで世界に展開
「クラウンといえばセダン」。多くの人はクラウンにそういったイメージを持つかもしれないが、それは過去の話だ。16世代目となる現行型クラウンのボディバリエーションは4つあり、なんとそのうち3タイプはSUV。昨今の新車販売において中心的なジャンルはSUVだが、クラウンもそのトレンドに従っているのである。


最初に姿を現したのは、4ドアセダンのボディながらリフトアップしてクロスオーバーSUVとした「クロスオーバー」だ。発売は2022年9月。翌23年11月には(クラウンとしては)小さめのSUV「スポーツ」と「セダン」、そして25年3月にはラゲッジスペースが広いSUVの「エステート」も加わった。ちなみにもっとも売れているのは「スポーツ」。セダンでもなければ室内の広さを誇るSUVでもなく、シリーズ中もっともコンパクトでスポーティなモデルが人気となっていることは、新型クラウンの“変身”が世の中に受け入れられたことの何よりの証と言っていいのではないだろうか。時代は変化しているのだ。


パワートレインは、大きな括りでいえば3タイプ。「ハイブリッド」「プラグインハイブリッド(PHEV)」そして「燃料電池(FCEV)」で、純粋なガソリンエンジン車の展開はない。クロスオーバーは“燃費型” と“高出力型”の2つのハイブリッド(両者はエンジンも異なる)が選べ、スポーツとエステートは“燃費型ハイブリッド”と“プラグインハイブリッド”が用意されている。セダンはハイブリッドと燃料電池を設定。各モデルともにパワートレインは2タイプの選択肢が用意されているのがなんとも興味深い。


また、4つあるバリエーションのうち3モデルがエンジンを横置きに搭載する、いわゆる「FF用ベースのプラットフォーム」であることも、従来のクラウンでは考えられなかった注目すべき変化といっていいだろう。ただし、“FFベース”とはいってもクラウンにはFFモデルは存在せず、それらのすべてが4WD。後輪にシャフトは繋がっておらず、電気モーターだけが駆動力を生み出す電気4WDだ。
唯一、エンジンを縦置きするセダンは伝統的なFRレイアウトを採用する後輪駆動。構造的にみれば現行クラウンシリーズにおいてセダンのみが大きく設計が異なる、独自のポジションと言っていいだろう。車体設計的にいえばトヨタ「MIRAI」や「レクサスLS」に近い。余談だが設計上は(現在のラインアップにはない)V6エンジンも積めるそうだ。


いっぽうで、クロスオーバー、スポーツ、そしてエステートと“エンジン横置きモデル”の3台は共通のプラットフォームであり、基本的な設計が共通化されている。たとえばダッシュボードの基本設計やフロントウインドウまで共用されているのだ(セダンのダッシュボードは似たデザインだが別設計)。クロスオーバーとエステートはフロアも同じ設計で、いうなれば「セダンとワゴン」といえる関係と言っていい。
クラウンといえば「セダン」と思われがちだが、かつてはクーペやワゴン、バン、そしてトラックまであった。従来からラインアップやメカニズムを大きく変えた現行型だが「クラウンという伝統を失わないために、大胆に変えた」というのが現行世代と考えるのが正解だろう。



