QJモーター・SRV 12……578,000円(2026年6月19日予注受付開始)

SRV 250シリーズとほぼ共通のシャシーに、排気量を249cc→125ccとした水冷V型2気筒エンジンを搭載するのがSRV 12だ。水冷シングルのSRV 125(50万8000円)よりも最高出力は1.4PS低く、車重は16kg重い。
ホイール径はフロント16インチ、リヤ15インチで、標準装着タイヤはCST製のチューブレス。指定空気圧はフロントが220±10kPa、リヤが250±10kPaとなっている。
日本で展開される車体色はパワーレッド、ピュアブラック、マットシルバーの3種類。本国ではグレーも用意される。
軽二輪クラスのSRV 250にはAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)を採用した「SRV 250 A(72万8000円)」もラインナップ。なお、一般的なマニュアルミッション仕様の「SRV 250 S」は64万8000円で販売される。

伝わる感触の全てが上質、これが原付二種なんて

125ccの需要が大きい欧州市場では、Vツインクルーザーがちょっとした盛り上がりを見せているようだ。筆者が先日試乗したヒョースン・GV125Xロードスターをはじめ、2026年9月に欧州で発表されたBENDAのナポレオンボブ125、そして今回紹介するQJモーター・SRV 12が、いずれも水冷Vツインを搭載している。

調べてみると、この3台のエンジンには興味深い共通点がある。外観こそ大きく異なるものの、いずれもボア×ストロークは42.0×45.0mmで、動弁系はSOHC 3バルブ×2という構成だ。

さらに、GV125Xロードスターのエンジン型式は「2V42MI-2」、SRV 12は「QJ2V42MI-A」であることが判明。よく似た文字列が使われていることが興味深い。これだけをもって両者が同一設計、あるいは直接的なつながりを持つとは断定できないが、その生い立ちが気になるのは確かだ。ちなみにヒョースン側の2V42MI-2については、欧州の型式認証情報でも確認できる。

SOHC 3バルブの124.7cc水冷Vツインを搭載するヒョースン・GV125Xロードスター。最高出力は14.0PSで、トランスミッションはSRV 12の5段に対して6段を採用する。筆者による試乗インプレッションはこちら。
SRV 12の125cc水冷V型2気筒エンジン。Vアングルに関する一次資料は見つからなかったものの、海外の専門誌の多くが「60°」と記載している。最高出力は13.6PS(10.0kW)/10000rpm、最大トルクは10.0Nm/9250rpmで、スリッパークラッチを採用。シリンダー右側にはエアクリーナーボックス、左側にはイグニッションコイルカバーをレイアウト。バランサーレスだが、ラバーマウントを採用することで不快な微振動を軽減している。

SRV 12の車両価格は57万8000円。原付二種としては少々高めに感じられるだろう。だが、例えば国内でも屈指の人気を誇る有段ミッションの原付二種、ホンダのCT125・ハンターカブと比べてみると印象が変わってくる。

SRV 12は水冷Vツインに5段ミッション、ベルトドライブ、倒立式フロントフォーク、前後ABS、カラーTFTメーター、USB電源ソケットなどを採用。対するハンターカブの車両価格は49万5000円なので、その差は8万3000円だ。これだけメカニズムや装備内容に差があるとなれば、むしろSRV 12には値段以上の価値があると感じるはずだ。

軽二輪のSRV 250 Sと車体寸法がほぼ同一であり、また前後のサスペンションも共通部品を使用しているため、車重だけはハンターカブより48kgも重い。SRV 12が166kgなのに対し、CT125は118kgだ。その一方、各部の仕上げは非常に美しく、125ccだからといって安っぽさを感じさせるところは微塵もない。こうした原付二種クラスのプレミアム路線は大いにアリだろう。

まずはエンジンから。先に試乗したGV125Xロードスターは、7500rpm以上で本領を発揮するという典型的な高回転型で、6段ミッションを細かくシフトしながらパワーバンドをキープする楽しさにあふれていた。かつての2スト全盛期を知るベテランなら、ヘルメットの中で思わずニヤリとするだろう。

対してSRV 12も近しい傾向はあるものの、7000rpm以下でも十分なトルクがあり、小排気量Vツインらしい微細なビート感を味わいながら、ご機嫌なクルージングが楽しめる。トップ5速、60km/hでの回転数はおよそ5500rpm。5%程度までの上り勾配なら、4速へ落とさずともその巡航速度を維持できる。

7000rpmを超えるとパワーがグッと盛り上がり、それ以下の領域とは明らかに力量感が変化する。同時に微振動も増えてくるものの、排気量自体が小さいこともあって、不快に感じるほどではない。

1速でレッドゾーンの始まる1万rpmまで引っ張ると、メーター読みで35km/hほどに達する。流れの速いバイパスでは矢継ぎ早に2速、3速とシフトアップする必要があるが、持ちうるパワーを余すことなく使い切っている感覚が実に楽しい。

スリッパークラッチを採用しているのでレバーの操作力は非常に軽く、また長いリンケージを介しながらもシフトフィールは良好だ。原付二種でありながら、ライダーに伝わってくる操作感や質感のすべてが上質。これなら何台もの大型車を乗り継いできたベテランが、セカンドバイクとして選んでも不満は少ないだろう。

250と共通の前後サスにより、足周りの動きは良好だ

QJモーターのラインナップに共通して感じるのが、足周りの動きの良さだ。ここ最近ではクルーザーのSRV 250 AとSRV 400 A、スーパースポーツのSRK 400 RSに試乗しているが、いずれもわずかなスロットル操作に対してすら車体が素直にピッチングし、その動きを把握しやすい。だからこそ、自信を持ってコーナーへ進入できるのだ。

加えて路面から伝わってくる接地感も豊富だ。サスペンションだけでなく、標準装着タイヤを含めた車体全体のまとまりという点でも、QJモーターは急速に完成度を高めていると感じる。

感心したのは、それが125ccのSRV 12にも当てはまることだ。

原付二種市場での競争力を高めるなら、250ccモデルよりもコストを抑えたサスペンションを採用するという手段もあっただろう。しかしQJモーターは、少なくともここではそうしなかった。

調べてみると、SRV 12とSRV 250 SはフロントフォークAssyとリヤショックの純正部品番号が共通している。車格だけでなく、サスペンションそのものにも250ccモデルと共通するパーツを与えているわけだ。

リヤサスペンションはコンベンショナルなツインショックで、ダブルナット式のプリロート調整機構を備える。スイングアームには長円断面のパイプが用いられている。

基本的なハンドリングは極めてニュートラル。ハンドルへの入力に対して車体は素直にバンクし、荷重と釣り合ったところでサスペンションが落ち着く。ペースを上げていくとコーナリング中にステップのバンクセンサーが接地するが、そこまで寝かせても車体の挙動に不安はない。

SRV 250 Sとシャシーがほぼ共通というだけあって、常に「エンジンパワーに対して車体側に余裕がある」という感覚は付きまとう。車重についても250の167kgに対し、SRV 12は166kgと、その差はわずか1kgだ。しかし、それは車体の懐が深いと言い換えることもできる。125ccのパワーを存分に使ってなお、シャシー側にはまだ余裕が残されているのだ。

ブレーキについては、試乗車がまだ十分に慣らしの済んでいない状態ではあったものの、前後とも入力に対して素直に制動力が立ち上がることを確認できた。また、原付二種クラスでは珍しく、デュアルチャンネルABSを採用している点も安心材料としては大きいだろう。

ホイールは前後ともアルミキャスト製。フロントブレーキはφ280mmフローティングディスクと対向式4ピストンキャリパーの組み合わせだ。フロントフォークはφ35mm倒立式。
リヤブレーキはφ240mmソリッドディスクと片押し式シングルピストンキャリパーの組み合わせだ。

国内メーカーとはまた違ったアプローチで二輪市場を盛り上げようとしているQJモーター。そのラインナップに加わったSRV 12は、125ccだからといって装備や質感に妥協しない、同社らしい一台と言えるだろう。

維持費や取り回しの良さだけで原付二種を選ぶのではなく、所有する満足感や走らせる楽しさにもこだわりたい。そんな人なら、この小さなVツインクルーザーに心を奪われるはずだ。

ライディングポジション&足着き性(175cm/66kg)

車体サイズはSRV 250 Sと共通のため、原付二種だからといって窮屈な雰囲気は一切なし。シート高は700mmで、足着き性はご覧のとおり優秀だ。

ディテール解説

エキゾーストシステムはシンプルな2-1タイプ。耳に心地良いサウンドを奏でる。
海外ではオプション扱いとなるベルトドライブ。潤滑不要のローメンテナンス性と静粛性が特徴だ。
シートの下にデュアルチャンネルのABSユニットを備える。画像は左サイドカバーを外したところだ。
アルミ製テーパーハンドルバーを採用。クランプはラバーマウントとなっている。
SRV 250とは異なる形状のスイッチボックスを採用。原付二種では珍しくハザードスイッチを備える。
ブレーキレバーには開き角のアジャスターあり。
左右のステップ踏部は偏心式で、簡単に高さを調整できる。原付二種ながらこうしたフィッティング要素が充実している点は、国内メーカーにも積極的に見習ってほしい。
SRV 250と共通と思しき円形のカラーTFTディスプレイを採用。外周にはバーグラフ式のタコメーターと燃料計がレイアウトされている。昼夜を問わず非常に見やすい。なお、仕向地によってはスマホやヘッドセットとの連携機能も備える。
ガンファイター風のシートを採用。キーロックを解除することで取り外し可能だ。
燃料タンク容量は13.5L。指定ガソリンはレギュラーだ。
灯火類はオールLED。ヘッドライト内にはDRLも。
印象的なデザインのLEDテールランプ。フェンダーはフロントが樹脂製なのに対し、リヤはスチール製となっている。
ステアリングヘッドの左側下方にはUSB-AとUSB-C(急速充電対応)の電源ソケットあり。

QJモーター・SRV 12 主要諸元

エンジン
Type 2-Cylinder, 3V,SOHC, Liquid-Cooled
ボアストローク 42.0×45.0mm
排気量 125cc
最高出力 10.0KW(13.6PS)/10000RPM
最大トルク 10.0NM/9250RPM
点火システム EFI
燃料供給装置形式 Electric
クラッチ Wet multi-plate
トランスミッション 5 Gears, Blet
使用燃料 Regular gasoline

シャシー
フロントサスペンション Telescopic forks
リアサスペンション Telescopic coil spring oil damped
フロントタイヤ 120/80-16
リアタイヤ 150/80-15
フロントブレーキ Disc φ280mm (ABS)
リアブレーキ Disc φ240mm (ABS)

ディメンション
全体L×W×H 2110×850×1100mm
ホイールベース 1400mm
座席高 700mm
地上高 160mm
車両重量 166kg
燃料容量 13.5L

ホモロゲーション
車両認証 E5+