人気タイヤメーカー「ダンロップ」のブースに展示された、2台のヤマハSR400改。1978年に登場したSR400は、空冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ399ccエンジンを搭載。“ビッグシングル”と呼ばれた単気筒のSR400は、2021年モデルまで生産された超ロングセラー車。現役時代はもちろん、絶版後もカスタムベースとして人気の高いモデルだ。

展示された写真の2台は、SRカスタムでおなじみの老舗エキスパートショップ「オレンジブルバード」が手掛けた、レトロスタイルのSR400改。外観はSRカスタムの定番ともいえる、“BSA(下記参照)”を彷彿させる英国風のオシャレなカフェレーサースタイルにアレンジされている。

ヤマハSR400 カフェカスタム 製作:オレンジブルバード

SR400は時代によって、前後ホイールをスポーク型やキャスト型、フロントブレーキをドラム式やディスク式に変更しているのがポイント。写真は前後スポークホイール、フロントディスクブレーキ、キャブレター仕様のSR400をベースに、ロケットハーフカウル、アルミタンク、セパレートハンドル、シングルシートなどでカフェレーサー風にカスタマイズ。

排気系(マフラー)はOMC(オレンジ・ブルバード・モーターサイクル・カンパニー)製を装備し、吸気系はレーシングキャブレターの京浜FCRΦ37をチョイス。前後タイヤはダンロップTT100GPを装備。サイズはフロント3.50-18、リア4.00-18を選択。

【カスタムメニュー】
キャブレター:京浜FCRΦ37
タンク:スティンキーTYPE10
シート:シングルシートTYPE3スティンキー
ハンドル:マグラセパレートハンドル
ハーフカウル:OMC(オレンジ・ブルバード・モーターサイクル・カンパニー)
マフラー:OMCマフラー
ステップ:ベルトバックランステップ
ホイール:AKLONT
ブレーキ マスター:ブレンボラジアルマスター
フロントブレーキ:サンスターΦ320mmディスクローター+ブレンボ40mmキャリパー
リアサスペンション:オーリンズ
オイルキャッチタンク:OMC

ヤマハSR400 カフェカスタム 製作:オレンジブルバード

ヘッドライト部にビンテージレーサー風のビキニカウルを装着。低めにセットしたセパレートハンドル、アルミロングタンク、シングルシート、バックステップを組み合わせ、レトロなカフェレーサースタイルに仕上げている。

フロントのドラム式ブレーキは、1990年代にノートンやトライアンフなどの英国車に取り付けられ、人気を獲得したカンリンのダブルパネル式を導入。前後のスポークホイールはフロント19インチ、リア18インチの異径サイズに設定し、トータルバランスを確保しているのもポイントだ。

穴開け加工されたOMC(オレンジ・ブルバード・モーターサイクル・カンパニー)製フロントスプロケットカバー、アルミ製リアチェーンガード、メッキスプリングのリアショックなど、アクセントを効かせたシルバー系のアイテムを随所にコーディネイト。前後タイヤはダンロップTT100GPとし、サイズはフロント100/90-19、リア4.00-18を選択。

SRカスタムで人気のキーワード「BSA」とは?

上記2台のフォルムにも精通するBSA(バーミンガム・スモール・アームズ)とは、1970年代までイギリスに存在したバイクメーカー。BSAはかつてトライアンフやノートン等とともにマン島TTレースなどでも活躍した、知る人ぞ知る伝説のメーカーだ。

BSAで思い出されるのが1997年、日本のバイクパーツメーカー「デイトナ」が、BSA消滅後に発祥した「BSAリーガル」と共同開発した「BSA GOLD SR400(略してBSA SR)」というモデル。同車は世界500台限定で発売。「BSA Type」「NORTN Type」「AJS Type」の3モデルがリリースされた。

カフェレーサー風に仕上げられた3モデルの特徴は、BSAリーガルが開発した新設計のノートン製フェザーベッドフレーム(羽毛布団のような快適さを意味する)にSR400用エンジンを搭載していること。昔の英国車らしさを演出するため、ノーマルのSR400とは異なり、エンジンをあえて直立させているのも見逃せないところ。ガソリンタンクやクランクケースカバーには「YAMAHA」ではなく、「BSA」のロゴが刻まれている。

BSA SRは、足周りや一部の外装類こそSR400用を使用しているが、イギリス製のオリジナルフレームにヤマハSR400用エンジンを積んだ正真正銘の英国車。車検証に記されている車名は「BSA」で、車体番号は「BSASR」から始まる。

BSA Type。往年のBSE車をイメージしたアルミタンク、スライスシート、セパレートハンドル、キャブトンマフラー、京浜CRキャブレター等を採用。
NORTN Type。ノートンのマンクス風アルミタンク、メガホンマフラー、セパレートハンドル、京浜CRキャブレター等を採用。
AJS Type。1959年に登場したAJSのワークスマシン「G50」をイメージ。AJS風のアルミタンク、シングルシート、メガホンマフラー、セパレートハンドル、京浜CRキャブレター等を採用。
BSA SRとはエンジンの取り付け角度が異なるヤマハSR400。写真はスポーク型ホイールとフロントドラム式ブレーキを採用した1985年モデル。
デイトナからかつて市販されていた、SR400用ハイポートシリンダーヘッド(ツインプラグ仕様)、Φ91ビッグボアピストン&シリンダーキット(546cc)、ハイカムシャフト。またケイヒンFCRΦ41を組み込んだBSA SR。 ※月刊モト・チャンプ誌1998年6月号より。
ボア91mm×ストローク84mm=546ccに排気量アップされたBSA SR。タイヤサイズはF100/90-18、R120/90-18に変更。怒涛の加速力とトルクを発揮する同車は、最高速度200km/hをマーク。 ※月刊モト・チャンプ誌1998年6月号より。
40周年を迎えるヤマハSR400。その魅力をあらためて考えてみる|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

ヤマハ・SR400は昨年8月に生産が終了してしまったが、その人気は未だ健在。 むしろ40周年を迎える今年は次期モデル(5型)が発表されるだろうと、SRフリークはもとよりバイクファンからの期待は膨らむばかりだ。今回はそんなロングセラーモデルの魅力、そして歴史を振り返ってみたい。REPORT●佐賀山敏行・一間堂(SAGAYAMA Toshiyuki)

https://car.motor-fan.jp/article/10004803
カフェレーサーってそもそも何? 超絶にカッコイイけれど意味わからず 〈Z900RSカフェとかW800カフェとかSR400とか〉

Cafe Racer……バイク好きならずとも、どこか甘美で官能的な響きを感じる言葉である。現在、英国のトライアンフやノートン、そしてホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキといった日本のメーカーも軒並みカフェレーサー風モデルをラインナップしている。とはいえ「そもそもコーヒーのレーサーって何よ?」という疑問は拭えない。なんとなくこういう形のヤツをカフェレーサーって言うんでしょ、というイメージはあるのだが……。 TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

https://motor-fan.jp/bikes/article/226/
ズドドドでも、ドバババでもない。空冷ビッグシングルの加速を味わう。|ヤマハSR400ファイナルエディション試乗

昭和53年、西暦にして1978年に登場したヤマハSR400。幾度もの環境規制をクリアしつつ43年にわたり生き残ってきた長寿モデルだが、ついに終焉を迎える。登場した時点でも、特筆する高性能ではなかったSRだが、なぜにここまで支持され愛されてきたのか、最後を記念するファイナルエディションから探ってみる。

https://motor-fan.jp/bikes/article/6854/
さよならヤマハSR400、こんにちはホンダGB350。|空冷シングルの諸元を比べてみた。

国内で間もなく発売の ホンダGB350(インド名・ハイネスCB350)は、インドで爆発的なヒットのNEWモデル。ヤマハSR400は2021年モデルをもって生産終了が発表された。両車ともシンプルな空冷4スト単気筒SOHCの、ビッグシングルエンジンを搭載。新参のGB350と、惜しまれつつ姿を消すロングセラーのSR400。イメージは似てはいるが、実は大きく異なる両車の諸元や中身を比べてみた。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

https://motor-fan.jp/bikes/article/341/