連載

自衛隊新戦力図鑑

世界有数のF-15保有数を誇る日本

日本のF-15戦闘機は、アメリカのF-15Cをベースに三菱重工によって国産化された「F-15J」である。初期にアメリカから少数の完成機を輸入したのち、三菱では単座型(J型)を163機、複座型(DJ型)を36機、それぞれ生産している(ノックダウン生産を含む)。1980年代の能力向上のための「J-MSIP(日本-多段階能力向上計画)」を経て、現在保有する機体の半数、約100機が能力向上機(J-MPIS機やF-15MJ/MDJとも呼ばれる)である。

日本は約200機のF-15を保有するが、これは母国アメリカに次いで二番目の規模。日本は「F-15大国」なのだ。「航空自衛隊といえばイーグル!」と感じる人も多いのではないだろうか(写真/U.S. Air Force)

航空自衛隊はこのJ-MPIS機にさらなるアップグレード改修を行ない、F-15シリーズ最新型である「F-15EX イーグルII」に匹敵する能力を与えて、2050年頃まで運用することを計画している。この計画は「JSI(Japan Super Interceptor、日本スーパー迎撃機)計画」と呼ばれており、当初は98機が対象とされていたようだが、コスト上昇を受けて2020年にいったん停止したのち、改めて単座型68機の改修が決定された。

アメリカ空軍のF-15EX イーグルII。F-15系統の最新機であり、対レーダー・ステルス能力こそ持たないが、アビオニクス(電子機器)は第5世代戦闘機(F-35など)に匹敵するものを備えている(写真/U.S. Air Force)

レーダーや電子装備を換装し、最新鋭機並みの能力を獲得

JSI改修の改修として大きな点は、「APG-82(V)1 AESAレーダー」と「AN/ALQ-250 EPAWSS(イーグル受動・能動警告および生存システム)」の搭載が挙げられる。いずれもF-15EXに搭載されている、最新のシステムだ。

現在のF-15Jは、アンテナが機械式に首を振って目標に指向するAN/APG-63(V)1レーダーを搭載しているが、APG-82(V)1レーダーは電子的にレーダーの方向を変化させる方式であり、これまでより迅速に長距離・広範囲を走査(探索)し、複数の目標を同時に探知・識別・追跡することが可能だ。

また、電子戦装備であるAN/ALQ-250 EPAWSSは敵の脅威が迫る状況において、敵戦闘機や防空システムが発するレーダー等の電磁波を探知・識別・位置特定することで、パイロットの状況認識を助けたり、または妨害して自機の生存性を高めたりできる。いわゆる「デジタル・ステルス」という技術であり、対レーダー・ステルス性を持たないF-15が、敵のレーダーを避けて作戦行動をすることを助ける。

また、戦闘機の頭脳とも言うべきミッション・コンピューターを「ADCP II (Advanced Display Core Processor II)」に換装し、これまでの空対空能力だけでなく、空対地攻撃能力も獲得する。日本は能力向上型F-15Jに新型長射程空対地ミサイル「AGM-158B JASSM-ER(統合空対地スタンドオフ・ミサイル-射程延長型)」を搭載する計画であり、2027年度の配備が予定されている。

アメリカ軍のF-16戦闘機によるJASSM-ER投下。対レーダー・ステルス性を考慮した特徴的な形状を持つ。射程約1000kmの長射程空対地ミサイルであり、敵の防空ミサイルの射程外から攻撃を加えることができる「スタンドオフ・ミサイル」だ(写真/U.S. Air Force)

改修予算の高騰と計画遅延

さて、防衛装備庁は2022年の段階で68機の改修コストとして6465億円を想定していたのだが、先日718日の朝日新聞の報道によれば円安や物価高騰の影響のため116億円に膨らむという試算が出ているようだ。さらに2027年度を予定していた改修機の配備開始も遅れる見込みであり、計画に暗い影を落としている。

 

日増しに高まる中国の脅威に対抗するため、防衛力の整備を急ぐ自衛隊にとって、難しい状況であることは間違いない。今後の推移を見守りたい。

那覇基地に配備された航空自衛隊のF-15J部隊。中国の脅威が高まるなかで、F-15Jのアップグレードは急務となっている(写真/U.S. Air Force)

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