東京アウトドアショー2025で注目を集めた「エルフmioスペースキャブ特別仕様車」
2024年に開催された「東京オ―トサロン2024」において、いすゞの関連会社であるいすゞA&Sは来場者をアッと言わせた。エルフmioをベースに、キャリアやロールバーなどを装着した「エルフmioアウトドアエディション」を展示したからである。
これは軽トラックカスタムの手法を取り入れたものだったが、2tクラスの車両にそれを施すと迫力が違う。“仕事と私生活の2シーンをこなすトラック”というコンセプトが、来場者の関心を惹いたのである。
続いて、今年のオートサロン2025でも「エルフmioクロスコンセプト」を出展。これは軽トラカスタム市場ではお馴染みのブランド『ハードカーゴ』とコラボで生まれた車両で、まさに休日の使い方に大きな可能性を感じさせる車両だった。
いすゞA&Sはいすゞトラックの純正アクセサリーを販売する会社だが、メーカー純正らしく、道路交通法にしっかりと適合した現実的なカスタムを模索している。新しい車両を出展する度に“現実味”が増しており、トラックユーザーの注目が集まっている。
そんな中、先般開催された「東京アウトドアショー2025」において、新コンセプトカーを展示。それが「エルフmioスペースキャブ特別仕様車」だ。

この車両、とにかくカッコいい。これまで登場した同社のカスタムトラックよりも、どこかマッシブな感じがするのだ。というのも、同車両のベースになっているのは、「エルフmioスペースキャブ」。運転席の後ろに、床長30cmのエクストラスペースが付いており、軽トラでいう“ジャンボ”のような室内空間になっているのである。キャブが拡大している分だけ、見た目の迫力も増しているのだ。
さてカスタムの内容はというと、これまでの車両に比べると実に現実的。ルーフにラック+マーカーライト、フロント下部にバンパーガード+フォグランプ、そしてキャブの後部にあるトリイにメッシュパネル、荷台は塗装式べッドライナー「ラプターライナー」、後部にチューブタイプバンパー、そして荷台回りのデカールというメニュー。実にシンプルだ。

だが、ここにいすゞA&Sの狙いがある。この車両に付いているモノは、ラプターライナー以外は、すべていすゞ販社で取り付けが可能なもので、もちろん車検もクリアできる。つまり、販売を前提にしているというわけだ。
またカスタムを最小限にすることで、荷台の用途を増やしている点にも好感が持てる。ウィークデーは仕事でバリバリ使って、週末はアウトドアギアを持って出かける。そしてキャンプ場などでは、荷台にシェルターなどを設営して就寝スペースとして使う。そんなシーンを思い浮かべることができるのだ。
ちなみにエルフmioは、普通免許(AT限定)でも運転できる小型トラック。1898ccディーゼルエンジン+6速ATのパワートレインで、駆動方式はFRのみ。見た目は大柄に思えるかもしれないが、最小回転半径は4.4mと実は「ジムニーノマド」と大差ない。加えて4ナンバー登録なので、自動車税などを安く抑えられるのも美点だ。
ボディ形状はシングルキャブ、スペースキャブ以外に6人乗りのダブルキャブも設定。ボディカラーが6色揃っているのも、プロユースの枠を越えていると言えるだろう。

エルフmioアウトドアエディションも魅力あるカスタムトラックだったが、エルフmioスペースキャブ特別仕様車は“すぐに手が出せる”カスタムトラックだ。何より、特別仕様車と謳っていることがメーカーサイドのやる気を感じさせる。
SUVやピックアップトラックのカスタムはスタンダード過ぎて…という諸兄、次に来るのは間違いなく小型トラックベースのカスタムだ。




