BMWは現在、欧州Eセグメント、5シリーズの改良新型を開発中だが、その高性能モデルであるM5セダンが初めてニュルブルクリンクで高速テストを行なう姿をカメラが捉えた。

BMW M5 新型プロトタイプ スパイショット

8代目となる現行型は2023年に登場し、その高性能版のM5は2024年10月に導入されたばかりだが、わずか1年足らずで改良型の開発が進められているのは異例の早さだ。

BMW M5 新型プロトタイプ スパイショット

ドイツの名門サーキット、ニュルブルクリンクで捉えられたスパイショットは、BMWが“ノイエ・クラッセ”世代の電気自動車向けに想定していた最先端のデザインを、内燃機関モデルにも積極的に導入・展開しようと躍起になっていることを示している。ラインナップ全体で統一感を持たせる狙いがあり、M5を含む5シリーズは大幅にデザインを刷新して2027年に登場する予定だ。

この先進的デザイン・スタイルは、すでにミュンヘンモーターショーで公開された新型BMW iX3でデビューしており、次期X5や9代目3シリーズにも採用されるている。BMWの戦略は明確で、“ノイエ・クラッセ”と肩を並べるフレッシュな外観を、中期改良の一環として既存モデルにも与えようとしているのだ。

なお、iX3と新型5シリーズはいずれもBMWの“ノイエ・クラッセ・プラットフォーム”を採用するが、他方、現行5シリーズとM5は“CLARモジュラー・アーキテクチャ”を使用している。今回の新たなスタイリングは既存のCLARモデルにも適用されるというが、こうした急速な展開の背景には、アウディの新型電気自動車A6 e-tronやその内燃機関版のA6、ボルボの新型電気自動車ES90といった新たな競合車の登場があると見られる。

フェイスリフトされたM5プロトタイプは、これまでの雪上テストから進展し、ニュルブルクリンクでのテスト走行に移行している。これは通常、開発サイクルの後期に行なわれるものであるため、発売が近いことを示唆しているものと見られる。プロトタイプを見る限り、“ノイエ・クラッセ”がBMWの象徴的なキドニーグリルを継承していることは明らかだ。スリム化されたグリルが、新しいヘッドライトデザインとともに採用されているのが確認できる。既存の5シリーズやM5と同様、フェイスリフトされたこのモデルのグリルは、空力特性を維持するために無塗装とされ、その下には新デザインのフロントバンパーとエアインテークが組み合わされている。

サイドビューでは、M5専用ホイール(冬季テスト時よりも夏に適したタイヤを装着)の奥に大型ブレーキキャリパーが見えるほか、後部ウィンドウにはBMW伝統のホフマイスターキンクも確認できる。リヤセクションには専用バンパーとディフューザーが採用され、完成型には小型リップスポイラーが追加される見込みだ。さらに、Mモデルの象徴である4本出しエキゾーストも備わっている。

キャビン内では、“パノラミックiDrive”を採用。この新しいダッシュボードレイアウトでは、従来のロータリー式iDriveコントローラーが廃止され、ダッシュボード上部に全幅を覆う巨大な“パノラミックビジョン”ディスプレイが配置される。そして、中央には17.9インチのセンタータッチスクリーンが配置される予定だ。

注目のパワートレインは4.4L V8ツインターボエンジンに14.8kWhバッテリーと統合型電気モーターおよび8速オートマチックトランスミッションを組み合わせたプラグインハイブリッド。最高出力727psと最大トルク1000Nmを発揮。全輪駆動により0〜96km/h加速はわずか3.4秒、最高速度は306km/hに達するとされる。