バスケチーム「アルバルク東京」の新本拠地は、コンサートなどのエンタメにも幅広く対応
「モビリティの体験型テーマパーク」として多くのクルマ好きに親しまれていたトヨタの「メガウェブ」があった跡地が、最新のアリーナに生まれ変わろうとしている。東京都江東区青海に、2025年10月3日「TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)」が開業するのだ。

建物所有はトヨタ不動産、運営はトヨタアルバルク東京、土地所有はトヨタ自動車というグループ3社が連携した「民設民営、クラブ・アリーナの一体経営型」プロジェクトで、Bリーグが掲げる2026–27シーズンからの「B革新」において重要視される「アリーナの質」を高め、国内バスケットボール界の成長にも寄与することを目指したものだ。また、建設にあたっては「チームと施設が一体であることがクラブ価値を高める」という強い思いから、アルバルク東京自身が当初のプランニングから深く関与。社内にはクラブ事業とアリーナ事業を併設し、シナジーを生み出す体制を築いている。
どの観客席からもコートが見やすい! 映像&音の演出も最新仕様
TOYOTA ARENA TOKYOのこけら落としは10月3日に開催される、アルバルク東京のホーム開幕戦。その翌週にはOfficial髭男dismのコンサートも予定されており、スポーツとエンターテインメント双方の舞台として早くも注目を集めている。すでに年内の稼働率はほぼ100%が確定しており、想定を上回る利用申し込みが寄せられているという。
TOYOTA ARENA TOKYOは臨海副都心・お台場エリアに位置し、りんかい線「東京テレポート」駅から徒歩約5分、ゆりかもめ「青海」駅から徒歩約4分とアクセスは良好。渋谷・新宿・池袋からは直通30分以内、羽田空港からも乗換1回で到達できる。敷地面積は約2万6466m2、収容人数はスポーツで約1万人、コンサート時で約8000人。バスケットボールの試合をはじめ、D.LEAGUEの本拠地、音楽、MICE、各種イベントに幅広く対応する。
観客席は楕円型の配置を採用し、どの席からもコートが見やすい設計とした。約1万席すべてにレザーシートとクッションを導入し、カップホルダーや静かに戻る座面を備えるなど快適性を重視している。

映像演出には総面積1000m2を超える国内最大級のセンターハングビジョンと、国内初の上下2層リボンビジョンを導入。特に2m幅の上層リボンはクルマを実寸大で映し出す演出も可能で、これまでにない迫力を創出する。照明はアルバルク東京のチームカラーである「赤」色をしっかりと再現できることから採用が決まったというパナソニック製で、FIBA(国際バスケットボール連盟)の認証も受けており、4K/8K放送にも対応。音響はドイツd&b audiotechnik社製システムを常設し、国内スポーツ用途として最大規模の構成でアリーナ全体に均一な高音質を届ける。


充実したホスピタリティの数々が、新しいスポーツ観戦のスタイルを提案
TOYOTA ARENA TOKYOの大きな特徴が、多彩なホスピタリティ空間だ。「JAPAN AIRLINES TERRACE SUITE」は、コートまでわずか18 mの距離に設けられたテラス空間付きの観戦スイートで、6室すべてが異なるデザインを持ち、JALオリジナルのクラフトジン「Re FLY」を楽しめる。さらに3階には合計16室のスイートルームが用意され、専属スタッフのもてなしとともに高級ホテル同等の空間を提供する。
よりカジュアルに楽しめるのが「JAPAN AIRLINES LOUNGE」で、スポーツバーの雰囲気の中でJALのコーヒーやジントニックを味わえる。華やかな装飾が施された「CHAMPAGNE COLLET PARTY LOUNGE」では、25~40名のグループで気兼ねなく観戦でき、乾杯とともに試合を楽しむといった利用が想定されている。
一方、誰でも利用できるスペースとしては「SMBC SKY LOUNGE」が設けられている。5階からアリーナ全体を見下ろすことができ、屋外テラスに出ればお台場の夜景を楽しめる。また、ファミリー層に向けた「FAMILY ROOM」は、メインボウルに面したベンチシートと子どもの遊び場を一体化し、遮音効果のあるガラスを備えることでセンサリールームとしても機能する。また、選手を間近に感じたいファンには「PLAYERS LOUNGE」が用意され、ガラス越しにロッカールームからコートへ向かう姿を目の前で見られるのが特徴だ。


飲食店舗も豊富で、豊洲市場直送の和食から選手プロデュースのメニュー、ハンバーガーやラテン料理、キャラクターカフェに至るまで多彩なラインナップを展開。オリジナルクラフトビールも用意され、イベントそのものが「食」と結びついた総合体験となる。
環境への配慮も徹底している。国内アリーナとして初めて建築物の環境認証であるLEED認証「ゴールド」の取得を目指し、設計・建築・運用段階から環境に配慮した取り組みを実施。アリーナで使用する電力のすべてを再生可能エネルギーで賄うほか、アリーナで発生する廃棄物は100%リサイクルされる。また、屋上には5000m2を超える天然芝を敷設するほか、太陽光パネルを設置して消費電力の一部を賄っている。
トヨタのモビリティも随所で活躍。最上級ラウンジにも憧れる!
そして、TOYOTA ARENA TOKYOのもうひとつの大きな特徴が、トヨタグループならではのモビリティ技術の導入だ。屋外にはe-Paletteを転用した移動販売車が配備され、広大な室内空間を活かして飲食や物販に活用される。リンナイと共同開発した「水素グリラー」は燃焼時にCO2を出さず、キッチンカーに搭載されて来場者に料理を提供する計画だ。


警備には立ち乗り型パーソナルモビリティ「C+walk T」が用いられ、さらに二人乗り電動モビリティ「&brella」が登場。スマートフォンで直感的に操作できる小型車両は、未来のパーソナルモビリティ像を来場者に体験させる存在になる。子ども向けには「未来のクルマデザイナー」というデジタルコンテンツがMOBILITY・KIDS AREA内に用意され、自分で描いたクルマをバーチャル空間の街並みに走らせることができる。


ホスピタリティ空間にもトヨタらしいおもてなしが用意されている。専用動線を設けた「TOYOTA GATE」は、一般の入場口とは異なるアプローチをVIP利用者に提供する。大階段のアリーナゲートとは対照的に、静かでスムーズな導線を確保し、非日常感を演出する設計だ。

その先に待つのが「TOYOTA PREMIUM LOUNGE」だ。アリーナで最上級のラウンジは、シェフによるライブキッチンを備え、ホテルクオリティの料理を味わえる。専属スタッフがシートまで食事やドリンクを届ける「インシートサービス」を実施したり、ワインセラーを設置して世界各国のワインを提供したりと、まさに至れり尽くせり。利用するには1シーズンごとの年間契約で一口(2席)が198万円(!)と決して手頃な金額ではないものの、ほかにはないプレミアムな観戦体験が可能だ。

トヨタ関連のホスピタリティ空間はさらに広がる。「ARENA Miraie」はトヨタモビリティ東京が運営するカフェ&バーで、スポーツとモビリティを融合させた新しいコミュニケーションスペース。モータースポーツや陸・空のモビリティなど、さまざまな展示や体験が計画されているようだ。

TOYOTA ARENA TOKYOはスポーツ観戦の新しい形を提案し、エンターテイメント性の高い体験を提供するだけでなく、トヨタグループならではのモビリティ技術の発信、そして持続可能な社会への貢献といった多角的な価値創造を目指している。バスケットボール・ファンはもちろんのこと、多くの人に一度は足を運んでみていただきたい魅力的なアリーナがまもなく開業する。











