「たとえば、バイクを買ったから〇〇しようではなく、〇〇をしたいからバイクが欲しい! といった発想や動機をアクセサリーで生み出せるかもしれません」(カスタマーエクスペリエンス事業部・田中佑樹さん)
「企画担当者やデザイナー、もちろん設計者や本体に関わる技術者も、車両を囲んでみんなでワイワイと議論を重ね、それぞれが意見を出し合いながらバイク乗りとしての想いを込めました。その想いが、日本だけでなく欧州のライダーたちにも響いたことに喜びを感じています」
そう語るのは、一連のアクセサリー・パッケージ戦略を牽引したヤマハ発動機カスタマーエクスペリエンス事業部の田中佑樹さん。
「私たちの部門のミッションは、お客さまの体験価値を作り出すことにあります。モノよりコトといったことがよく言われますが、メーカーがそれを体現するのは簡単ではありません。XSRの事例は、お客さまの夢を設定し、その夢を可視化する提案でしたが、モノを通じたコト消費の在り方の一つを示せたのではないかと感じています」と続ける。

一方で、設計を担当した里中志成さん(田中さんと同じ事業部)はこう振り返る。
「本体がフルモデルチェンジした後に、あえて時間的なギャップを作って(外装キットを)提案したことで見えてきたこともありました。本体の導入年度は話題にもなりますし、それに合わせて販売台数も伸びます。ただ2年目以降は徐々に注目度が落ちていくものですが、そのタイミングでXSRの新たな価値を問うたことにも意味があったと思います」
結果として「XSR900」の鮮度は再び上昇し、「本体販売にも好影響を与えることができた」と手ごたえを感じているそうだ。
「RZ250」のオマージュによる数量限定の特別カラーや、かつてのグランプリシーンを彷彿とさせるブルーはすでに販売を終了したが、グローバルモデルとして発売中のホワイト×レッドやブラック×ゴールドに加え、2025年9月30日まで期間限定で受注している日本専用カラー(アイボリー)も新たにラインナップ。

「カラーリングやグラフィックにもこだわり抜いて、かつての伝統的な塗料を用いながら、当社の製造技術を駆使して表現することにもチャレンジしました」と里中さん。
田中さんは「アクセサリーの可能性はもっと拡がるはず」と見ている。「たとえば、バイクを買ったから〇〇しようではなく、〇〇をしたいからバイクが欲しい! といった発想や動機をアクセサリーで生み出せるかもしれません。ヤマハ発動機製品との感動体験をさらに拡張する、そんなアクセサリーの開発に取り組んでいきたい」と意欲を見せている。

同社広報担当者はこのようにコメントしている。
「開発チームが大切にしている『お客さまの気持ちに寄り添い、夢をカタチにする』という姿勢が、製品を通じてお客さまへしっかりと伝わっているように感じられました。今後も、どのような魅力的な製品が登場するのか非常に楽しみです」


