1890mmの室内高が圧倒的な開放感を実現!|ミスティック・ミニポップ フライヤー

筆者のお気に入りキャンパーの中に、ミスティックの「ミニポップ」シリーズがある。軽トラックにキャンパーシェルを載せたトラキャンだ。シェルを下ろせば軽トラとしても使えるのが「ミニポップ」、運転席とキャビンがシームレスになっているのが「ミニポップBee」となる。

ミニポップシリーズの最大の特徴は、走行性を妨げないコンパクトなシェルを搭載しながらも、車中泊時に持ち上がるポップアップルーフを採用しているところ。これにより、ハイエースクラスのバンコンさえも凌駕する、天高が高く開放感がある居住空間を実現した。

人間というのは不思議なもので、四方がそれほど広くない空間でも、天高方向が高いと開放感を感じるものだ。ミニポップシリーズはグラスエリアも十分に確保されているため、軽トラの荷台にいるという実感がむしろ湧かない。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

個人的にはこのミニポップシリーズが大好きで、動力性能面が満足できるのであればいつか手に入れたいと思うモデルだった。ところがここに来て、またまた魅力的なニューカマーが現れた。それが「ミニポップ フライヤー」だ。

同モデルは他の兄弟車同様に軽トラベースなのであるが、トラキャンではなくキャブコンだという違いがある。キャブコンのメリットとしては。まず断熱性の向上だ。従来荷台であった部分も含めて、スペースの無駄を作ることなく断熱ができる。居住空間も若干だが広くなっているわけだ。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

さらに、荷台のアオリに左右されないため、サイドからのエントリーが可能なる。後方扉がない分だけ、リヤにキャリアなどを取り付ける自由度が生まれている。また荷台を取った分、軽量化にもつながるわけだ。

ミニポップ フライヤーの特徴はこれだけではない。なんとポップアップルーフが電動化されたのだ。兄弟車のポップアップルーフは手動で、正直なところ上げ下げ時に「ちょっと重いかな…」と感じることがあった。それがなくなったのは、非力な人にもうれしいポイントだ。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

電動メカニズムが追加された分、テント自体の寸法は若干小さくなったように見えるが、内部には断熱のキルティング材が追加されており、快適性は明らかなアップグレードがされている。もちろんこのキルティングには窓と網戸が付いており、ジッパーで開閉することもできる。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

さらにさらに、パーキングクーラー、FFヒーター、200Wソーラーパネル、100Whリチウムイオンバッテリー&105Ahディープサイクルバッテリー、1.5kWインバーターまで標準装備となるのだ(リミテッドパッケージ車)。もちろん、水回りや換気ファンなどキャンパーとしての基本装備は完備。もはや、これ以外に必要な装備が思いつかない。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

軽トラベースのキャブコンの中には、登録時には普通車というモデルがあるが、このモデルは軽8ナンバー登録だから自動車重量税、車検代が安い(2年ごとに)というメリットも。また普通車登録モデルと比べて、特段に居住空間の狭さを感じることはない。

ポップアップルーフを上げた時には、室内高が1890mmにもなるため、身長が高い人でも余裕で移動することができる。床をスライドさせ、その上にマットを敷けば、ポップアップルーフ内を大人2名分の就寝スペースとして使うことも可能だ。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

走行時は兄弟車同様に全高を下げられるので、空気抵抗を気にすることなく走ることができるし、全高制限のある立体駐車場や地下駐車場でも気兼ねなく入ることができるのもうれしい。

カムロードベースのキャブコンであれば、就寝スペースとくつろぎスペースを別々にするという寝食分離スタイルも可能だが、軽キャブコンだとなかなか難しい。だが、ミニポップ フライヤーであれば、下をダイネット空間として使い、寝る時は上の床を伸ばすという使い方ができる。これは魅力的だ。

大人2名にペット、もしく1人旅であれば、のんびりした旅ができそうだ。ただ、この手のサイズのキャンパーに共通して言えることだが、車中泊に必要なアイテムなどを積むスペースを考えなければならない。もちろん、車内に箱詰めして持っていくという手もあるが、それだと現地で荷物の出し入れが大変だ。特に雨天時は面倒なことになる。

写真の車両には、標準のサイクルキャリアが装着されているが、これとコンテナボックスを併用して、上手に荷物を運ぶ工夫は必要となるだろう。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

ちなみに写真の状態での価格は、548.8万円。特別色や冷蔵庫、カーナビなどオプション込みの料金なので、こうしたモノを省いていけば約500万円が乗り出し価格になる。装備を考えれば、決して高額ではないだろう。

実に夢が広がるモデルだが、ひとつだけ悩む部分があるとすれば軽トラベースモデル共通の動力性能。現行モデルの軽トラにはターボ車がラインナップされていない。同モデルのベースとなる、ハイゼットトラックとピクシストラックも同様だ。ゆっくり移動するからいいよ…というユーザーは問題がないが、高速でキビキビ走りたいという人には悩ましいところだ。

ミスティック・ミニポップ フライヤー

ミスティック・ミニポップ フライヤー

■車両本体価格:500万7200円/展示車価格:548万7790円
■ベース車両:トヨタ・ピクシス トラック
■乗車定員/就寝定員:4人/4人
■車体サイズ:全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1990mm