2025年9月9日、本田財団は第46回本田賞の受賞者を発表。今年の受賞者は、東京科学大学の名誉教授であり、元東京工業大学学長の伊賀健一博士で、博士は“面発光レーザー(VCSEL)”というユニークなレーザーを考案、その研究を切り開いたことで世界的に高く評価されています。

面発光レーザー(VCSEL)アレイの模式図

面発光レーザーは、レーザー光をチップの表面から垂直方向に放出する仕組みを持っており、従来のレーザーに比べて小型化や集積化が容易であるという大きな特徴があります。これにより、高速かつ大量の通信を実現する光ファイバーの送受信機、スマートフォンの顔認証、自動運転車に使われるLiDARセンサーなど、現代社会を支える多様な分野で不可欠な技術となっています。

伊賀博士は1970年代からこのレーザーの可能性を追究し、1988年には教え子の小山二三夫博士が室温での連続発振に成功するなど、実用化へ向けた研究を主導しました。その後、面発光レーザーは世界中で研究が進み、関連する学術論文は6万件以上にのぼり、光通信やセンサー分野で今や標準的に使われる技術に成長しています。

本田賞は、人類の幸福や社会の発展に貢献する技術分野の研究者を顕彰するもので、受賞者にはメダル、賞状、副賞1000万円が贈られます。贈呈式は2025年11月17日に東京の帝国ホテルで行なわれる予定です。