内外装の刷新で使い勝手向上 静粛性の高さはクラストップ

日本仕様では搭載するパワーソースが燃料電池に限定され、5年もしくは10万㎞を超えるリース契約を結ぶことも出来ないなどちょっと特殊な立ち位置に置かれたCR-Vを除くと、ヴェゼル、ZR-V、WR-Vという3車で構成されるのが現在のホンダSUVラインナップ。その中で、フラッグシップと位置付けられるのがヴェゼルで、現行の2代目は2021年春に登場。その後、24年春にはマイナーチェンジが実施されて現在に至っている。

エクステリア

18インチアルミホイールは最上級グレード「Z」だけの装備。前後バンパーのロアガーニッシュがブラック塗装されるのは「PLaYパッケージ」専用の差別化ポイントとなる。最小回転半径は5.3〜5.5m。

クーペ風味が漂うルックスが特徴的だった初代とは見た目の印象を大きく変えた2代目だが、その水平基調のデザインもなかなかに好評で、端正でありながらSUVに相応しい力強さも兼ね備えたルックスは長く付き合っても飽きが来そうにない仕上がり。全長×全幅が4340㎜×1790㎜、全高が1580〜1590㎜という日本の環境下でもて余すことのないサイズも多くの人に人気である一因に違いない。

乗降性

特徴的な横桟カラードグリルを含むフロントパンパーの形状や、リヤコンビネーションランプのグラフィックにはマイナーチェンジで軽いリファインが加えられたものの、外観上の印象変化はごく僅かとなっている。インテリアではセンターコンソールが従来のドライバーオリエンテッドな造形から対称形状に変更されたことが目立つが、これは上段下段共に左右両席からのさらなるアクセスのしやすさを狙った結果であるという。

インストルメントパネル

デビュー時には左右非対称デザインのセンターコンソールだったが、2024年4月のマイナーチェンジにより助手席側からも使いやすい形状になった。ノーズ先端までよく見えるため取り回しやすい。インパネやドア内張りのライトブルー塗装は「PLaYパッケージ」の専用装備で、Honda CONNECTナビも標準装備となる。

同時に、純エンジン仕様のFFモデルを廃止するなどバリエーションの変更も行なわれたが、こちらは同クラスながら純エンジンのFFモデルのみとなるブランニューのWR-Vとの棲み分けをより明確にするという意味も含まれていそう。そんな最新ヴェゼルのハイブリッドモデルをFF仕様と4WD仕様の双方でテストドライブした。走り始めてすぐに実感するのは、マイナーチェンジ前のモデルに対する静粛性の明確な向上。ハードウェアは不変ながらソフトウェアの最適化が図られ、EV走行領域の拡大やエンジン始動/停止頻度の低減が実現されたことや遮音材/防音材の拡大採用などによって、ロードノイズやエンジン透過音が低減されたことが功を奏していそう。「BセグメントSUVで最上級の静けさ」と表現をしても過言ではない仕上がりだ。

居住性

一方で、上り坂など負荷が高まってアクセルの踏み込み量が増すとそれまでの静かさが急速に低下する傾向があるのも事実で、従来型と比べるとその程度は明らかに小さくなったものの、これは従来型でも感じられたヴェゼルのウイークポイントと言えそう。より大排気量でパワフルなエンジンを搭載し、それをゆったりと回すことで大幅な改善が望めそうだが、それはないものねだりということか。特に、80㎏ほどの重量増を余儀なくされる4WDモデルでは、やはりそうした傾向がより顕著に感じられた。

うれしい装備

背もたれ中央に内蔵されているドリンクホルダー付きアームレストを展開すると後席の快適性はさらにアップする。センターコンソール背面にエアコンの吹き出し口が用意されているのもうれしい。
ラゲッジフロアボードを持ち上げるとトランク的に活用できるアンダーボックスが用意されている。深さは実測で約240㎜と十分にあり、買い物をした際の荷物などを余裕で収めることができる。
月間販売台数   5425台 (24年9月~25年2月平均値)
現行型発表    21年4月( マイナーチェンジ 24年4月)
WLTCモード燃費  26.0㎞/ℓ ※「e:HEV X」系のFF車

ラゲッジルーム

それもあり、降雪地帯などで4WD性能が必須というのでない限りはFF仕様のハイブリッドモデルこそが最善の選択肢となりそう。視界の良さやマイルドなフットワークも狙ったキャラクターにお似合いだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.167「2025-2026年 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。

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