モリゾウチャレンジカップ四国の陣！去年の反省からの成果と、やっぱり難しい久万高原ラリー【梅本まどかのラリー日記020】
REPORT＆PHOTO：梅本まどか（Madoka UMEMOTO）
久万高原ラリー、2025の結果は…？
2025年10月3～5日に愛媛県の久万高原町を中心に行なわれた全日本ラリー選手権第7戦『久万高原ラリー2025』に参戦させていただきました。
久万高原ラリーは去年までは春に行なわれている事が多かったのですが、今年は開催時期が変わり秋に。気温は少し肌寒いくらいで比較的過ごしやすかったのですが、問題なのは雨と霧。去年もSS中の霧で前が見えず、ノートの精度とそれを聞いてしっかりとした距離感を掴めているか、道をイメージできているかがハッキリと結果に出るラリーでした。
久万高原は一見、大丈夫そうに見えても滑ったり、「この場所」というよりは大丈夫なところとダメなところがコロコロ変わり、気をつけすぎるとスピードを落としすぎてしまい、試すと簡単にリタイアしかねない、難しい路面・道なのです。
今回参戦したのはJN2クラスのMORIZO Challenge Cup（モリゾウチャレンジカップ）。田部井選手とのペアだったので、久しぶりの参戦ということや、まだヤリス・タイヤに慣れていないこともあったので、今回も「しっかりと完走すること！」を目標に、試せることは試してデータ集めをしていこうと挑みました。ラリーは本番で走らないと知れないことが沢山あるのでリタイアせずに１本１本走る事で、その時は苦しいかもしれませんが、そのあとの成長幅はかなり広がるのです。
私が久万高原ラリーに挑戦するのは3回目。ドライバーも難しいのですが、コ・ドライバーとしても難しいラリーだなと今回改めて感じました。スピードが速くなったり、遅くなったり。しっかりマシンからの挙動を感じながらペースノートとイメージがリンクしていないと早読み、遅読みになりやすい、難しい道なのです。アップ／ダウンもあるので上り、下りでの境界線はあるもののそこまでの流れが掴みづらく、コロコロと変わることにかなり苦戦してしまいました。
【MORIZO Challenge Cup 久万高原ラリー エントリーリスト】
（カーNo. ドライバー/コ・ドライバー 車両名）
12 大竹直生/橋本美咲 GR YARIS GR4 RALLY
19 Zeal Jones/Bayden Thomson CUSCO WM DL GR Yaris
21 米林慶晃/木村悟士 KTMS GRヤリス
22 最上佳樹/小藤桂一 FIT-EASYZEALGRYARIS
25 平川真子/冨本 諒 GRYARIS GR4RALLY DAT
26 兼松由奈/山下 秀 ロッソモデロ 大東建託 GRヤリスDAT
27 木内秀柾/藤田めぐみ CUSCO WM DL GR Yaris
28 岩堀 巧/相原貴浩 一六RACING 丸創物流GRヤリス
29 田部井翔大/梅本まどか CUSCO WM DL GR YARIS
30 関 あゆみ/市橋真由子FIT-EASY ZEALGRYars
31 伊藤はづき/槻島もも CUSCO WM DL GR YARIS
32 及川紗利亜/安藤裕一 DL WPMS GRヤリスDAT
33 服部紡久/佐々木裕一 MATEX-AQTEC KYBGRヤリス
久万高原はまさにサバイバルラリー！
今回、田部井翔大選手とのペアでは3回目の参戦ですが、今までとはノートを変えて日本語→英語に。使う単語をしっかり自分に入れたつもりでいましたが、13kmから14kmのSSしかなく、中距離ばかりでメリハリもしづらい。短いSSと長いSSなどわかりやすければ気持ち的にも楽なのですが、使う林道は2本。
サービスパークから見られる標高の高いSSが大川嶺。下にあるのが大谷というSSでした。
去年は大川嶺が霧で見えにくかったのですが、今年はSS3の大谷が真っ白。標高の上の方が白いならまだここだけだと思えますが、低いところでの霧は、終わりが見えない感じがメンタルダメージとして大きかったです。
1日目はSS1からリタイアしてしまった車両が道をふさいでしまっていたので、救済タイムとなりました。どのSSもリタイア車がいる状況で、まさにサバイバルラリー。霧はもちろん、雨も小雨が降っていて難しい路面でした。いろいろと走ってみてわかる部分も出てくるので、1日目が終わってから次の日のノートチェックをしながら田部井選手とミーティング。
過去のJN2クラスの動画なども見ながら、2日目は1日目の逆走なので道が汚くなったところや水がたまっていそうな所など、路面の情報を拾ったり、反省会をしたり。とても濃い時間でした。
逆走は1日目でインカットした場所に砂利や砂が出ていて危なかったりするのですが、そういうところも照らし合わせていけば予防はできるので、時間はかかりますが大事なこと。
去年学んだやり方で素早く準備もでき、しっかりノートに書き込めたので2日目は危なげなく走る事ができました。
SS7の走りは最高～♪
ただ、やはり読むのが凄く難しく心の中で反省していたのですが、出走順が前後だった山本祐也選手（JN-5クラス／itzzノアBRIDE DL ANヤリスのコ・ドライバーさん）に「久万高原、読むの大変ですね」と話しかけてもらえて「私だけじゃなかったんだ」と共感できる仲間がいたことに救われました。
今回はTC（タイムコントロール）前の時間も余裕があり、いろんな方とお話しできたのですが、コ・ドラ同士の会話が励みになり「お互い頑張りましょう！」という言葉に凄く元気をもらえたのです！！
今回、1番いい感じで走れたのはSS7。田部井選手も荒れた路面の中、試せることを探り少し走り方を変えたことや、私も元気をもらい丁寧にリズムを大切にノートを読んでいったのですが、少し歯車が噛み合ってきた感触をつかむことができました。
まだ完全ではなかったものの、田部井選手と「あそこらへんの走り、よかったよね」と共通認識できていたことは凄く嬉しい瞬間でした。
今週はSSが全部で8つ。SS7がよかったのでもう1本同じように走ってしっかり感想しよう！ いろいろ掴めたかも！と話しながらヘルメットを脱いで、SS8に向かってリエゾン区間を進んでいました。
え…まさか…(涙)
しばらく進むと急に「え!?」という声が。マシンの画面には「エンジン故障」の文字が出たのです。まさか、そんなこと…と思い何度もエンジンを切って試します。
ですが、それからマシンが動くことはありませんでした。全日本ラリー選手権で初めて、メカニカルトラブルでリタイアとなってしまったのです。あと1本だったのに…。田部井選手をフィニッシュまで導くことができませんでした。正直、とても悔しかったです。
田部井選手とは３戦組ませていただきましたが、SS7が一番いい走りができたことは本当によかったですし、これまでいろいろ考えたり悩んだことが少しだけタイムとしてでてきた気がしました。一緒に考え、1つ1つ課題をクリアしたり、もがいたり、苦しい時間もありましたが、田部井選手と組んでラリーができて私自身も凄く成長できましたし、なにより楽しかったです。
先輩コ・ドライバーが多い中で力不足の場面もありましたが、私が全日本に参戦できるラウンド全てを田部井選手と組むことができ、この久万高原で組むことが決まった時も「一緒にリベンジできて嬉しい！」、そう言ってもらえたことが本当に嬉しかったですし、リタイアとはなってしまいましたがSS7でいい感触を掴めたこと、一緒に楽しめたことが本当によかったです。
私は「一緒に組めて楽しかった、梅本まどかとラリーをすると楽しい！」と思ってもらえるコ・ドライバーになることが目標です。今シーズンの全日本ラリー選手権はスポット参戦なので先に終わってしまいましたが、今年の経験を生かしてまたコ・ドライバーとして参戦できるように頑張ります！！
