連載

梅本まどかのラリー日記

番場彬選手、最終戦前にシリーズチャンプ決定!

10月11~12日に北海道陸別町を中心に行なわれたXCRスプリントカップ北海道の最終戦(第6戦)「ラリーとかち2025」。前戦の第5戦「RALLY EAST-IBURI 2025」(9月20~21日)が悪天候により開催中止になったため、第4戦「ラリー北海道」(9月5~7日)以来となりました。

CUSCO YHジオランダー HILUX

第5戦は土曜日のレッキ時は開催予定だったのですが、その日の晩に警報が出るほどの豪雨となり、翌日曜日の朝、残念ながら中止を告げられました。ドライバーの番場彬選手はこれまで全勝。この第5戦でチャンピオンが決まるので意気込んでいましたが、走ることはできませんでした。ですが、ポイント差がそのままとなり、この時点でシリーズチャンピオンが決定したのです。

第5戦「RALLY EAST-IBURI 2025」(9月20~21日)は悪天候により開催中止に…

走ることはできませんでしたが、日曜日の朝みんなで集まり番場選手を祝福。「走りたかったけどこればかりはしょうがないね〜」と、番場選手も走って決めたかった気持ちも垣間見えましたが、V4を決められて少しホッとしているようにも見えました。

時間もあるのでチームのみんなやライバルの浅井明幸選手(帯広三菱TOYOエクリプスクロスPHEVのドライバーさん)、古川和樹選手(同コ・ドライバーさん)、クラスは違うけどいつも出走順が前後で楽しい会話をしてくださる惣田政樹選手(XC-1/ジオランダーブラV・SFデリカD5のドライバーさん)とマシンやトレーニングなどいろんなお話ができ、とても貴重な時間でした。

良きライバル、帯広三菱TOYOエクリプスクロスPHEVのタイヤチェック

XCRスプリントカップ北海道はバチバチとバトルしているのですが、みんな仲が良くて「絶対に負けませんよー」などライバルとしての発言もありながらも、お互いのマシンや道について話し、「みんなお互いのベストを出せるように頑張りましょう!」と切磋琢磨しているのです。

これまで私はシリーズを通しての参戦経験が少なく、シリーズ通して戦うといつものメンバーのような会話が生まれて、お互いのマシンやドライバーの理解も深まり、よりラリーが楽しくなるということを今年一番感じました。

番場選手は最終戦を前にしてシリーズチャンピオンが決まりましたが、私は第2戦をお休みしたため、最終戦のとかちで浅井明幸選手のコ・ドライバー古川和樹選手(帯広三菱TOYOエクリプスクロスPHEV)とのチャンピオン争いとなりました。リタイアしなければ確実にチャンピオンというなんともいえないプレッシャーはありましたが、今シーズン最後のラリーなので”楽しむぞ!”という気持ちで挑みました。

いよいよ最終戦スタート!

CUSCO YHジオランダー HILUXの陸別SSでの走り

ラリーとかちはSS1、3、5のKITA TOMAMU LONG(5.07km)を走り、そのあとSS2、4、6のRIKUBETSU LONG(4.64km)。2本走ったらサービスをして、また2本走りに行く! この繰り返しを3セットというスケジュール。

KITA TOMAMU LONG(5.07km)はハイスピードのSSで、RIKUBETSU LONG(4.64km)は UP/DOWNも激しく、ジャンプスポットやターマック、グラベルもある少しテクニカルなコースでした。

ラリーとかち2025のペースノート

2本全く特性の違うSS。レッキも2本しかないのとRIKUBETSU LONGは第4戦「ラリー北海道」でも走ったばかりなので、ノートの見直しも余裕があるくらいしっかり見ることができ、日曜日は楽しみな気持ちでスタートを迎えられました。

陸別は日本で1番寒い場所として有名ですが、この日の朝もかなり冷え込み、開幕戦の雪の時の寒さを思い出すほどでした。

羽根田組にアドバイスする番場彬選手

XCRスプリントカップ北海道はチームメイトがたくさんいるので、サービスパークも賑やか。同じハイラックスに乗る羽根田琴選手(CUSCO ダンロップ HILUXレボ)もジムニーに乗る小玉絵里加選手(KZF×C TY Moty’s Jimny)も、番場選手を見つけては運転や道のアドバイスをもらいに行っていたのです。

完走すれば私もシリーズチャンプ…ドキドキッ!

なんだかんだしているとスタートの時間。何回ラリーをしても1本目は少し緊張します。

朝一のサービスパーク

SS1はKITA TOMAMU LONG(5.07km)、番場選手はこのコースが好きで、走っていてもその空気感が伝わってくるほど。かなりハイスピードなコースなので、途中「ハイラックスってこんなスピードで走るんだ」とかなり勉強になる部分も多かったです。

SS1は地区戦も含め総合9番手タイム。オフィシャルさんにも「速いねー!」と言われるほどでした。

走行前のドキドキ

いい調子でSS2へ。RIKUBETSU LONG(4.64km)もいつも通りという感じでしたが、XCRスプリントカップではトップタイムで終えサービスへ。特にトラブルもないのですが、メカニックさんが迎えてくださり、マシンをチェックしたり、道がどんな感じか話したり。グラベルを走るとマシンが汚れるのですが、毎回綺麗にして送り出してくれるのです。メカニックさんはトラブルがあった時に助けてくれる印象があるかもしれませんが、それだけではなく、走るまでのメンテナンスから、トラブルがなくてもしっかりチェックして送り出してくれる。
こういう姿に安心し、本当に心強く、戻ってきた時に毎回安堵するのです。

良きライバル、帯広三菱TOYOエクリプスクロスPHEV

SS3に向かう途中から雨が降り、ここからサバイバル戦に。どんどん路面が濡れていき、難しくなっていくコンディション。振り返ると今までの集大成のような要素がギュッと詰められているようなラリーだった気がします。

ドライバー/コ・ドライバーともにシリーズチャンピオン獲得!!!

その中で、番場選手はハイラックスをいかに速く安全に走らせられるかを試しながらスタートとゴールを繰り返し、とかちラリーでは全SSトップタイムでフィニッシュしたのです。

とかち2025も優勝できました!

常に走り方を考え、ハイラックスと向き合い、ノートを修正する姿からは本当に学ぶことばかりでした。フィニッシュし、戻るとチームのみんなが迎えてくださり、「うめちゃん、チャンピオンおめでとう!!」とお祝いしてくださいました。

正直、この時はチームの目標であったチャンピオンと最終戦までの全勝という安堵の方が強く、自分自身でも少し驚きました。

番場彬選手と

ですが、ラリーが終わってからXCRスプリントカップ北海道の年間表彰式に参加させていただき、名前が呼ばれてトロフィーをもらい、「CUSCO長瀬努社長から!」と、チームのみんなが代理で花束をくださった時、「こんなに嬉しいことはない!」と溢れてくるものがありました。

XC-2クラス1、2、3位でパシャリ

メカニックさんも「やっぱり勝てて嬉しい♪」と話していたり、表彰台から見えるチームみんなの顔を見たら、「このチームでラリーができた私ってなんて幸せ者なんだ」と初めて味わう景色、感情に少しウルッときてしまいました。

良きライバル、帯広三菱TOYOエクリプスクロスPHEVのコ・ドライバー古川和樹選手(左)とドライバー浅井明幸選手(右)

そして、表彰式ではライバルだった浅井選手たちともいろんな話しができ、こうして一緒に戦うことのできる仲間がいることへの幸せも本当に感じました。

実り多き、楽しいシリーズへ参戦できたことに感謝!

チームのみんなと

シリーズを戦うごとにチームのみんなとも少しずつではありますが距離が縮まり、ライバルとも切磋琢磨できる。今までスポット参戦が多かった私にとって、今シーズンXCRスプリントカップ北海道でシーズンを通して戦えたこと、そしてこのチームでチャンピオンをとれたこと。
本当に大きな財産だと感じました。

このような機会をくださった長瀬努社長はじめ、チームのみんな、ハイラックス、そしてドライバーの番場彬選手には感謝の気持ちでいっぱいです!

応援してくださった皆さんもホントにありがとうございました。『ラリーって楽しい♪』と改めて感じた最終戦でした。

応援ありがとうございました!

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