深雪路の走破力は随一! ただし癖が強い「スズキ ジムニー」

スズキ ジムニーは、強靭なラダーフレーム構造とリジッドアクスルサスペンションといった本格的なオフロードSUVの構成に加え、205mmの高い最低地上高を備えたクルマだ。4WDシステムは、ドライバーが路面状況に応じて2WDと4WDを任意に切り替えられるパートタイム4WDシステムを搭載し、不整地だけでなく雪道でも高い走破力を発揮する。
ただし、ショートホイールベースかつFRベースのディメンションが災いして、凍結路や圧雪路といった滑りやすい路面では挙動を乱しやすい。またセンターデフがないパートタイム4WDの特性上、雪と乾燥路面の混在路などを4WDモードで走行すると「タイトコーナーブレーキング現象」の影響により不安定な挙動を示すこともある。
現行のJB64型では「ブレーキLSDトラクションコントロール」や横滑り防止装置のおかげで運転しやすくなっているものの、雪道で扱いやすいクルマとは言い難い。ジムニーが雪道に強いことは間違いないが、それは深雪での走破力やスタック脱出性能に限られる。日常的な乗りやすさを期待するなら他のクルマを選ぶのが賢明だ。
生活四駆でも多彩な電子制御で扱いやすい「スズキ ハスラー」

スズキ ハスラーは、日常での使いやすさと雪道での安心感を両立させた軽クロスオーバーSUVだ。最低地上高は、軽自動車としては高めの180mmに設定されており、多少の積雪であれば難なく走行できる。
4WDシステムは、シリコンオイルの粘性を利用して後輪を駆動させる簡易的なビスカスカップリング式ではあるが、滑りやすい路面での安心感は2WDに比べて圧倒的な差を体感できるだろう。
充実した電子制御システムもハスラーの4WDの特徴であり、搭載される「グリップコントロール」はジムニーに搭載される「ブレーキLSD」と同様の仕組みでスリップを防止。さらに「スノーモード」をオンにすると、滑りやすい路面でエンジン出力を抑えてタイヤの空転を防止するとともに「グリップコントロール」も併用することで低速走行時の運動性能を高めてくれる。
ジムニーと比較すると深雪での走破力やスタック脱出性能では大きく劣るが、雪道での運転に不慣れな人でも安心して走行できる点がハスラーの美点だ。
ハスラーより安価かつ充実装備の「ダイハツ タフト」

日常での使い勝手に配慮しつつ、雪道などの悪路での走行性能を高めた軽自動車という点でダイハツ タフトはスズキ ハスラーとよく似ている。4WDシステムはハスラーと同じビスカスカップリング式だが、最低地上高はハスラーよりも10mm高い190mmだ。
タフトに搭載される「グリップサポート制御」は、ハスラーなどに搭載される「グリップコントロール」と同じ動作原理でタイヤの空転を抑えてくれるため、雪道での走行性能はおおむね互角と言ってよいだろう。
しかしタフトには、エンジン出力を抑える「スノーモード」や、急な下り坂で低速を維持してくれる「ヒルディセントコントロール」が備わらないため、電子制御機能ではハスラーに一歩及ばない。
そのぶんタフトの価格はハスラーよりも安価に設定されているうえ、全車に電動パーキングブレーキや大型グラスルーフが標準装備されるなど、日常での利便性や特別感でハスラーに勝る。ジムニーを除いて、雪道で扱いやすい軽自動車を選ぶならタフトとハスラーの2択に絞られるだろう。
e-POWERならではの緻密な駆動制御が特徴「日産 ノート」

エンジンは発電だけに徹し、モーターのみで駆動する「e-POWER」が日産 ノートの大きな特徴だ。常時モーター駆動となる「e-POWER」は、タイヤの回転を極めて緻密かつ瞬時に制御することが可能であり、滑りやすい路面での発進でもタイヤの空転を最小限に抑えられる。
4WDモデルでは前後輪それぞれをモーターで駆動するため、路面の状態や走行状況に応じて前後の駆動力を素早く最適に制御し、雪道でのコーナリング時においても高い安定性と高い操縦性を発揮する。唯一の難点は、4WDモデルの価格がFFモデルより約30万円も高い点のみだ。
雪道での走破性をさらに求めるのであれば、ほぼ同じパワートレインで最低地上高が25mm高い165mmとなる「ノート オーテッククロスオーバー」や、最低地上高170mmの日産 キックスも選択肢に入るが、どちらも価格は300万円を超える。日常での使い勝手と雪道性能のバランスを考慮すると、ノートの4WDが優れた選択肢となるだろう。
卓越した性能の全天候型ツアラーSUV「スバル クロストレック」

スバル クロストレックは、インプレッサの車高を上げることで雪道でも高い性能を発揮してくれるクロスオーバーSUVモデルだ。クロストレックの最低地上高はインプレッサの135mmを大きく上回る200mmとなる。
搭載される4WDシステムは、路面状況に応じて電子制御多板クラッチによって後輪への配分トルクを最適化するトルクスプリット型4WDであり、乾燥路と積雪が混在した道でも高い安定性を発揮。
空転を起こしたタイヤへの自動ブレーキ制御と、前後輪の駆動力の統合制御で高い安定性を保つクロストレックは雪道だけにとどまらず、舗装路とシームレスに走れる全天候型ツアラーとして高い性能を誇る。
また、インプレッサにはないクロストレックだけの特色として、四輪の駆動力とブレーキを最適にコントロールして悪路や雪道で効果を発揮する「X-MODE」が挙がる。「SNOW/DIRT」「DEEP SNOW/MUD」2つのモードから選択するだけで、駆動力を自動調制御して走破力を高め、スタック脱出を補助してくれる点が「X-MODE」の特徴だ。
コンパクトカーと呼ぶにはやや大きめであり、同じクラスの国産車のなかでは車両価格が高めに設定されているものの、あらゆる点が隙なく作り込まれた高い総合力が光るクロストレックのコストパフォーマンスは決して悪くない。
