愛くるしい見た目はそのまま全包囲にわたり大幅進化

新型デリカミニは、旧型が持つタフで愛嬌のあるデザインを継承しつつも、よりモダンに進化を遂げた。

デリカミニの大きな特徴であるヘッドライトは、大型化されたほか吊り目感が抑えられ、より親しみやすいフロントフェイスに。前後バンパーの意匠も変更されたほか、フェンダーは張り出し感あるブリスターフェンダー風の意匠に改められた。さらにDピラーのデザインも変更されており、並べて見比べることで違いが明確になる。

加えて新型は、Aピラーの角度が立てられているうえ前方へ移動された。これによりBOX形状のプロポーションが強調され、室内空間の拡大と前方視界も大きく改善。ボディサイズやホイールベースはほぼ変わっていないが、車内前席の開放感は大きく向上している。

もっとも目立つ変更点はインテリアデザインだ。運転席からインパネ中央にかけて、インフォテイメントディスプレイと7インチの液晶メーターが一体となったモノリスディスプレイを採用し先進性と視認性、操作性の向上が図られている。

刷新されたインパネやトリムデザインにより、大きく内装質感を向上させたほか収納性も増した。上級のプレミアムグレードでは、グランピングコテージの家具をイメージさせる上質なベージュカラーを採用し、オプションでGoogle搭載の12.3インチインフォテイメントディスプレイも追加可能だ。

新型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD)
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1050kg
タイヤサイズ=165/60R15(前後)

旧型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD)
ボディサイズ=全長3395mm×全幅1475mm×全高1830mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1060kg
タイヤサイズ=165/60R15(前後)

マイルドハイブリッドを廃止するも燃費性能の低下なし

新型デリカミニのパワートレインは、旧型と同じ直列3気筒ガソリンエンジン+CVTの組み合わせとなるが、旧型の全グレードに搭載されていたマイルドハイブリッドシステムは廃止された。

しかし新型はエンジン内部の摩擦抵抗低減によって、モーターアシストなしでも旧型と同等の燃費性能を実現しており、新型のターボモデルのWLTCモード平均燃費は、0.3km/L向上した17.8km/L(Tプレミアム)だ。

また、CVTの制御プログラムの変更により、アクセル操作に対してリニアにエンジン回転が上昇するダイレクトな加速フィールを実現している点も見逃せない。

デリカミニの4WDモデルは、専用の大径タイヤと専用サスペンションによる高い悪路走破性が特徴だったが、この点は新型にもしっかりと受け継がれている。

新型では、全グレードに極低速域の摩擦力と減衰力調整により、乗り心地の向上と安定性の両立を図ったカヤバ製高性能サスペンションダンパー「プロスムース」が軽自動車として初採用され、そのうえで4WDモデルの足回りには全面的な専用チューニングが施されている。

これにより新型は未舗装路はもちろん、街乗りから高速道路の走行まで、あらゆる路面で上質な乗り心地と安定感のある走りを実現した。

加えて、新型には、アウトランダーなどにも備わるドライブモードセレクターを搭載。エンジンのレスポンスやスタビリティコントロールなどの制御をデリカミニ専用にチューニングした「パワー/ノーマル/エコ/グラベル/スノー」の5つのモードをインパネ上のダイヤルセレクターで変更することで、路面状況に応じて最適な性能を発揮してくれる。

新型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD)
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン
排気量=659cc
最高出力=64ps/5600rpm
最大トルク=100Nm/2400〜4000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

旧型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD)
エンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン+モーター
排気量=659cc
最高出力=64ps/5600rpm
最大トルク=100Nm/2400〜4000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

約12万円の値上げも進化ぶりを考慮すれば納得

ターボモデル上級グレード「Tプレミアム 4WD」同士の新車販売価格を比較すると、旧型が227万1500円だったのに対し、新型は238万7000円と約12万円の値上げとなっている。

この値上げは、先進的なモノリスディスプレイや上質なインテリア、走行性能の向上を考慮すれば、十分に許容できる内容と言えるだろう。

コストを大きく引き上げるマイルドハイブリッドシステムを廃止しながら、燃費性能を据え置いた点も高く評価できる。ただし購入にあたっては、旧型では標準装備だったルーフレールやスライドドアのハンズフリー機能などがオプション化されている点には注意したい。

新型は、愛くるしい見た目はそのままに、あらゆる部分に細かな改善が加えられている。とくに、内外装デザインの洗練と高性能ダンパー「プロスムース」による乗り心地の改善、静粛性の向上が著しい。

新型デリカミニはアウトドアユースだけでなく、短距離移動から長距離移動までより幅広いシーンで快適な走りを提供するとともに、所有感を満たしてくれるクルマに進化した。特別感ある軽自動車として、デリカミニの存在感は新型でも健在だ。

車両本体価格

新型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD):238万7000円

旧型 三菱 デリカミニ T Premium(4WD):227万1500円