ベントレーは現在、まだ名前の決まっていない新型のコンパクト電動SUVを開発中だが、その最新プロトタイプをカメラが捉えた。

ベントレー 新型電気 SUVプロトタイプ スパイショット

ベントレーは2026年、同社初の完全電動(BEV)SUVを発表し、電気自動車時代へと突入する。このコンパクトラグジュアリーモデルは、主に都市部の富裕層をターゲットとしており、この新型SUVを「世界初の超高級電動SUV」と位置付け、2027年にクルー工場で量産開始を計画している。

ベントレー 新型電気 SUVプロトタイプ スパイショット

長らく大型セダンやグランドツアラーのイメージが定着していたベントレーにとって、このモデルは明確な転換点となる。全長5m未満という新型SUVは、同社の従来のモデルよりも明らかに小型だからだ。

ベントレーによると、このサイズは意図的なものであり、混雑した市街地を走行できるように設計されていると同時に、郊外への快適なドライブにも十分なバッテリー容量を備えているという。

兄貴分のベンテイガとは異なり、このモデルはEVのみで販売される。しかし、世界のEV市場における不確実性を考えると、この決定はベントレーにとって必ずしも最善の戦略的な選択とは言えないかも知れない。

量産型では、ポルシェ・マカン、アウディA6、Q6 e-tronに既に採用されているポルシェ/アウディEVプラットフォームを採用する。現行のプラットフォームでは最大630psを発揮し、800V、95kWhのバッテリーを搭載し、21分で10%から80%まで充電でき、航続距離は約615kmとされている。ヴァリサー氏は、ベントレーに用いられる仕様ではこれらの数値を上回る可能性があることを示唆し、「充電速度、エネルギー密度、全体的なデザイン、そしてモーター効率の限界を押し広げる」計画を指摘した。

ニュルで初めて捉えられたプロトタイプは、カモフラージュとボディクラッディングに覆われており、デザインの詳細の大部分は秘密にされている。カモフラージュの一部として、現行ベンテイガの形状に似た4つのダミーの円形ヘッドライトが装備されているが、おそらく、この下に本物のスリムなライトユニットが隠されているだろう。

ヘッドライトと同様に、グリルの形状も見えにくく隠されているが、ベンテイガよりも小さく、ルーフラインが低いことが分かる。しかし、これは必ずしも小さいという意味ではない。新型ポルシェ・カイエン・エレクトリックとほぼ同じサイズになるものと予想される。

ベントレーCEOのフランク=シュテファン・ヴァリザー氏は、この車は「驚くほど大きな」バッテリーを搭載し、「市場にあるどの車にも劣らない」充電速度を実現すると述べている。一方、同氏は、はベントレーの顧客がEVで長距離旅行をすることは想定していないようで、「ベントレーのオーナーは1日に1000kmも運転するわけではありません」と彼は言う。「そんな長距離を自ら運転するのはトラック運転手ぐらいで、ベントレーのオーナーならその距離の移動には飛行機に乗ることを選ぶでしょう」と最もらしい説を唱えている。

最終的な名称はまだ決まっていないが、ベントレーは最近、「Mayon」と「Barnato」という商標を登録しており、どちらも有力候補と言えそうだ。

このモデルはベントレーのラインアップを拡大するものの、販売台数の急増は見込んでいない。 「ベントレーはマスマーケット向けのビジネスではありません」とヴァリザー氏は述べ、目標は依然として「1台あたりの高い利益率」だと付け加えた。

果たしてこの「世界初高級コンパクト電動SUV」は、ベントレーにどんな革命をもたらすのか、世界が注目している。兄貴分のベンテイガとは異なり、このモデルはEVのみで販売される予定だ。