サンバーのワーゲンバス風改造から始まった?
フェイスコンバージョンカスタムは『東京オートサロン』でも大人気

1990年代末から2000年代にかけて、5代目スバル・サンバーバン/ディアスワゴン(KV3/KV4)をベースにVWタイプII (VWバス)ルックにカスタムする「ミニバス」がブームになったことを覚えている人もいるだろう。このカスタムカーはサンバーのフロントマスクをアフターパーツメーカーがリリースするタイプII風のマスクに換装し、リペイントして内外装をオシャレに作り替えるというものだった。

ジムニーがシボレー・ブレイザーに!? タウンエースがフォード・エコノラインに!? フェイスコンバージョンに注目!【東京オートサロン2025】 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

“魅せる”カスタムも見どころの『東京オートサロン』 誰よりも速く走りたい。速く走るためにドラテクを学ぶ。愛車の性能向上のためにチューニングを施す……これはひと昔前のクルマ好きの通過儀礼のようなもので、この記事の読者も一度 […]

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『東京オートサロン2025』でのフェイス子バージョンカスタムのレポート。

当時、ベース車となる5代目サンバーは生産終了から10年あまりが経過しており中古車価格もこなれていたことに加え、フルカスタムを施してもカスタム費用は総額で100万円ほどと、総額で150~200万円程度の予算があれば個性的で愛らしいカスタム軽自動車に乗れるということで、ちょっとしたブームを巻き起こしたのだ。

『東京オートサロン2026』で発表された相模原の『Blow』の新作「ビッグママライダー」。ベースとなったのはトヨタ・タウンエースだ。

しかしながら、ブームが起きた時点で良質な中古車は数を減らしつつあり、また『モデストカーズ』(神奈川県相模原市)のような品質にこだわった真面目なショップがある一方、ブームに乗じた粗製濫造キットやコピー商品も出回ったり、市場は混沌とした様相を呈していた。こうした問題もあって結果的にこの流行は短期間に終わった。

作り込まれた「ビッグママライダー」のフロントマスク。フェイスコンバージョンキットとリペイントにより、商用車ベースとは思えないオシャレなルックスに変身。

だが、前述の『モデストカーズ』や同社から一部の製品開発を委託されていた『Blow』(神奈川県相模原市)では、ミニバスブームの終了を見越してホンダ・バモスをベースにライフステップバン風にカスタムされた「ポケットバン」や、ダッジ・バンやフォード・エコノラインなどのアメ車のフルサイズバンをモチーフにした「スローライダー」や「サーフライダー」などを開発し、これらがヒットしたことで「フェイスコンバージョンカスタム」は一過性のブームで終わることなく、人気のカスタムカージャンルへと成長している。

ローダウンした足まわりにはBOYDS製の大径(17インチ)ビレットホイールを履いている。ホイールやタイヤはオーナーの好みに応じてセレクトが可能だ。
新たに製品化されたテールランプカバー(価格:2万2000円)。「ビッグママライダー」だけでなく「ジャックライダー」にも装着が可能だ。

誰でも気軽にオシャレに乗れる「ゆるふわ」なカスタムカーとして生まれたこのカスタムカーは、以前はスピードと走りを追求した国産チューニングカーが中心だった『東京オートサロン』の会場でも着実に勢力を伸ばしており、今回もさまざまなショップが魅力的なデモカーを出展していた。

「ビッグママライダー」のモチーフになったのは1948年にデビューしたフォード・FシリーズピックアップのファーストジェネレーションモデルとなったF-1。
Fシリーズのバリエーションで、COE (cab-over-engineの略)もしくはCシリーズと呼ばれる積載量1.5~2t積みのキャブオーバー型中型トラック。写真は1949年型で、「ビッグママライダー」はF-1をモチーフにしつつ、同車のエッセンスが散りばめられている。プロポーション的にはむしろこちらに近い気がする。

フェイスコンバージョンカスタムの老舗『Blow』は
タウンエースをベースに1940~1950年代のアメ車がモチーフ

このジャンルの草分け的なショップである『Blow』は、今回、現行型トヨタ・タウンエースをベースにした2台のフェイスコンバージョンカスタムカーを会場に持ち込んできた。

2025年の『オートサロン2025』で発表された「ジャックライダー」。展示されたのは前回とは別の車両で、キャンピングカービルダーの『CRAFT PLUS』(岐阜県加児市)とのコラボで誕生した。

そのうちの1台は、昨年オートサロンにも出品された1950年代のフォードF-100をモチーフにした「ジャックライダー」であったが、今回展示した車両は『CRAFT PLUS』とのコラボによるキャンピングカー仕様となる。そして、もう1台はF-100の前身となったフォードF-1をモチーフに、1940年代後半のキャブオーバートラック・フォードCOEのエッセンスを落とし込んだ「ビッグママライダー」であった。

「ジャックライダー」のフロントマスク。フロントグリルやバンパーのメッキ加飾はオプションとなる。

「ジャックライダー」と「ビッグママライダー」は、どちらもモチーフとなったクルマよりもふた回り以上小さく、ボンネットの長さやAピラーの角度などディティールはオリジナルとは異なる。だが、特徴的な2灯ヘッドランプのファニーなマスクは、F-100やF-1を縮小した上で忠実に再現していた。ビジネスライクなタウンエースがフェイスコンバージョンカスタムを施すことで、こんなに個性的で、オシャレに、愛らしいルックスに変身するのだから驚きだ。

「ジャックライダー」に装着されていたフロントエンブレム。
「ビッグママライダー」装着されていたのと同じテールランプカバー。レンズをクリアテールに交換した上で塗装色を変えたことでイメージは変化する。

長年、筆者は『Blow』のカスタムカーに注目してきたが、同社の作るカスタムカーが他社とひと味違うのは、モチーフとしたクルマの歴史やデザインをリスペクトするとともに、富田涼子代表の職人としてのものづくりにかける真摯な姿勢に加え、女性ならではの繊細な感性や気配りが製品に生かされた結果だと感じる。

「ジャックライダー」のモチーフとなった「パンプキン」の愛称で呼ばれるフォードF-100。写真はピックアップの派生モデルのパネルトラック(パネルバン)。

気になるカスタム費用だが、ともにフロントフェイスキットが49万5000円、フェイス用灯火類一式のパーツ代が9万9000円~11万5500円(ベース車の年式により異なる)、リヤゲートカバーが8万8000円。これに塗装費を加えると、エクステリアのみのカスタムで総額で140~150万円くらいになるようだ。「ジャックライダー」は法規対応しているので、カスタムした状態で車検も問題なく通る。

『オートサロン2025』に展示された「ジャックライダー」。2026年の展示車両がサフランイエローだったのに対し、こちらはアズールブルーとなる。また、ホイールなどのディテールが異なる。
写真は撮れなかったが、2026年のモデルにも純正のリアハッチに観音開きのドアのように見えるリヤゲートカバーが備えられていた。

「ジャックライダー」と「ビッグママライダー」のインテリアは
テイストの異なるキャンピングカー仕様

この2台の魅力はエクステリアだけには留まらない。 「ジャックライダー」は『CRAFT PLUS』が手掛けたキャンピングカー仕様ということで、インテリアは素材にこだわった癒しの空間が広がる。熟練した職人が手作りした木製のベッドキットやセンターコンソール、テーブル、フロアキットは温かみと愛情が伝わる丁寧な仕上がりとなっており、このクルマでオートキャンプに出かければ快適なバンライフを送れることは間違いない。

リアルウッドなどの上質な素材を使い、居心地の良いカントリースタイルのインテリアに仕上げられた「ジャックライダー」のインテリア。内装の製作は『CRAFT PLUS』が担当した。

一方、「ビッグママライダー」には『Blow』オリジナルのインテリアが架装されていた。こちらは同社オリジナルのシートカバーに加え、美しいフローリングに「ジャックシンク」と名付けられたミッドセンチュリースタイルの小型シンクを装備していた。

「ジャックライダー」のインテリアを別カットから。テーブルやリヤシートは組み替えることでベッドになるキャンピングカー仕様だ。ウッドはウォールナット、シナ合板、オークから好みに応じて選べるようだ。

富田代表によると、このシンクは使い勝手とデザイン性を両立させた同社の自信作で、オートキャンプ時の軽い調理や洗い物も快適にできるとのこと。シンクの装着にはフローリングが必須となるそうだ。これにオリジナルベッドキット(展示車には未装着)を備えることで現実的でちょうど良いキャンピングカーになるのだとか。

「ジャックライダー」の運転席まわり。ウッド製のセンターコンソールは『CRAFT PLUS』の職人が手作りした逸品。

「ビッグママライダー」に備えられたこれらのインテリアキットはプロトタイプのようだが、近く製品として販売されるようだ。価格は未定で、フローリングや「ジャックシンク」、ベッドキットのみの販売は考えていないようだ。

「ジャックライダー」のシートは上質なシートカバーが備えられていた。こちらも複数のカラーや素材からオーナーが選べるそうだ。

ベース車のタウンエースは4ナンバー登録のため、車検は初回が2年、以降は毎年車検となるが、これらのキャンピングカー仕様車は8ナンバー登録となるため車検は2年ごととなる。すなわち、キャンピングカー仕様とすることで、継続車検は小型乗用車と同じペースで受ければよく、毎年車検の煩しさから逃れることができるのだ。

タウンエースベースのフェイスコンバージョンカスタムは
デイリーユースからオートキャンプまでジャストサイズ!

富田代表に話では「ジャックライダー」のリリースを開始してから1年が経過した現在でも、スズキ・エブリイをベースにした「クールライダー」や「ルートライダー」、同キャリイベースの「ウーキーライダー」、ダイハツ・ハイゼットベースの「ロックライダー」などの軽商用車ベースのカスタムカーが、数の上ではビジネスの主力となっているそうだ。

今回、展示された「ジャックライダー」はシンクを備えたキャンピングカー仕様。「ジャックシンク」と名付けられたこのシンクは、使い勝手の良いミッドセンチュリー(1940年代〜1960年代)風のデザインとなる。

これらの軽商用車ベースのカスタムカーは日常使いのほか、充分な車内空間を持つことからオートキャンプにも活用されているようだ。しかし、これらのクルマには軽自動車枠という縛りがあることから、ソロキャンプはともかく、カップルや家族と車中泊をするにはどうしても手狭に感じてしまう。1泊くらいならまだしも、連泊を前提にした長期のドライブ旅行にはストレスを感じることだろう。

「ジャックシンク」の扉を開けると給排水タンクがキレイに収まる。デザインに優れるだけでなく、軽い調理や洗い物も快適にできる。

家族との1泊以上のオートキャンプや引退後に夫婦で長期の車中泊旅行を考えている人には軽自動車が適した選択とは考えにくい。そのように考えると、ファミリー層や夫婦での長期旅行を考えているユーザーを中心に、いずれはスペース的にゆとりがあるタウンエースベースの 「ジャックライダー」や「ビッグママライダー」が軽ベースのカスタムカーの人気を上回るようになるかもしれない。 

「ジャックライダー」の床面には上質なフローリングが備わる。展示車両には装備されていなかったが、このほかにベッドキットの用意もある。「ジャックシンク」、フローリング、ベッドキットの価格は未定。詳しくは『Blow』に問い合わせてほしい。

ベース車のタウンエースは排気量も1.5Lと軽自動車に比べて排気量にも余裕があり、燃費は軽商用車とさほど変わらない。また、商用車のベストセラーということで維持費はリーズナブルで、毎年の自動車税も同クラスの小型車の3万500円に対し、8ナンバーキャンピングカーは2万7600円に抑えられている。

運転席は中央のエアコン&オーディオパネルをホワイトでペイントし、ダイヤモンドステッチのシートカバー、ドアトリムでカスタムされている。

そして、何よりも軽自動車枠というくびきから解放されたことで表現の幅が大きく広がったことで、『Blow』が思う存分腕を振るって完成させたボリューム感のあるふっくらとした丸みを帯びた個性的な小粋なエクステリアが人目を引く。似たり寄ったりのメーカー吊るしの現行車に飽き飽きしているユーザーには、きっと両車の個性が刺さることだろう。

Blow
住所:神奈川県相模原市中央区田名8531-3
TEL::042-777-0453 FAX 042-777-0456
営業時間:9:00~18:00
定休日:毎週金曜日
URL:https://www.blow-net.co.jp