連載

内燃機関超基礎講座

かち割りコンロッド(クラッキングコンロッド)という物騒な響きを持つこの部材には、その名に反して(?)いかにも知的でスマートな解決策が盛り込まれている。

クランクシャフトに締結するために、コンロッドは分割構造をとらなければならない。そのため通常のコンロッドはロッド+キャップの二部材で製造される。それぞれを作ったあと、きちんと合うように合わせ面を加工し、ずれないようにピンを穿つ。

それに対してかち割りコンロッドは、一体成形したコンロッドからキャップ部を割っておしまい。厳密に言えばメタル面やコンロッドボルト面/ねじ加工などが必要だが、それは従来構造も同じ。コンロッド自体の構造としてはきわめて簡潔にできている。

従来構造とかち割り構造の違い(FIGURE:日本製鉄)
従来構造のコンロッドの例。合わせ面を機械加工しピンを打つ。

この方法のどこに大きなメリットがあるかといえば、ロッド+キャップの完全な相性である。何せ、もともと一体だったものを割った二者、破断面は唯一無二で合わせれば当然密着。ピンの類は不要だし、もちろん合わせ面の加工も不要である。平安の世から続く雅な遊び「貝合わせ」を想起する方もいらっしゃるだろう。軽量化と加工数削減という、コストとウェイトの両面からメリットが享受できる。

本構造を実現するためには、適した材料の開発が必要だった。硬くすれば割れやすいが、切削しにくくなる。かといって加工易性を追求すると強度が落ち、しかもかち割りに難が出る。通常の鋼でかち割りを試みると強く粘る性質から、破断面が大きく荒れてしまう。割れたときに細かいザラザラ面ができなければならないのだ。

M3(2007年)のコンロッド&ピストン。かち割り型を用いている。(PHOTO:BMW)

 

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