いま、クロカン4WDがベースのキャンパーに注目が集まっている!

ここ数年、順調に拡大してきたキャンピングカー市場。しかし、アフターコロナ期に入って需要が一段落したという見方がある一方で、ある“問題”にも直面している。それはベース車両不足だ。

トヨタでは一部車種では受注制限が続く状況となっており、その中に入っている人気車種が「ハイエース」シリーズ。ハイエースはナロー、ワイドボディともキャンピングカーのベース車両として使われており、人気のカテゴリーである“バンコンバージョン”タイプには欠かせないモデルだ。

ベース車両不足はキャンピングカービルダーのビジネスそのものに大きな影響を与え、各社は別モデルによってその窮地を凌いでいる。ところが、そのピンチを救ってきた「タウンエース(ダイハツではグランマックス)」もまた、納期が3カ月から未定という状況で必ずしも順調とは言えない状況だという。

先頃開催された『ジャパンキャピングカーショー2026』では、やはりハイエースベースのモデルがグッと減り、他の車種に活路を見出したいという雰囲気が感じられた。代替え案としては輸入バンや軽バンというのがメインストリームだが、ここに来て新たな流れが見え始めている。それが「クロスカントリー4WD(以下クロカン4WD)」だ。

ジャパンキャンピングカーショー2026に出展された「フレックスカスタムランドクルーザー60」。

実はクロカン4WDベースのキャンパーは、必ずしも目新しいものではない。80年代から90年代にかけて興った“四駆ブーム”の時には、クロカン4WDにベッドキットを搭載するという「ハチハチキャンパー」というムーブメントがあった。

ハチハチキャンパーは自動車税が高額な3ナンバー車を8ナンバー化することで、維持費をリーズナブルにするという目的が主となったため、その後に規制が強化。結局、市場自体が衰退するという憂き目を見たが、昨今は再び風が吹き始めたのである。

その後押しとなったのが、車中泊ブームと8ナンバー登録要項の緩和だ。一時期はキッチン前の室内高の条件が厳格化されたため、ワンボックスさえも簡単に8ナンバー化できない状況になってしまったが、それが緩和されたことでクロカン4WDもキャンピングカーベースとして成立することになった。

仮に8ナンバー化しなくても、アクティブなクロカン4WDで出かけて、出先で車中泊をするというユーザーも増加。この需要を見込んで、トイファクトリーやオグショーといった有名ビルダーがベッドキットを発売するなど、現在注目の市場となっている。

また、いわゆるオーバーランド仕様にするビルダーも多い。車内空間が限られた「ジムニー」などは、ルーフテントを積んで車中泊仕様にしているデモカーが多い。やはり大手ビルダーのホワイトハウスは、伝家の宝刀である電動ポップアップテントをジムニーノマド用にリリースするなど、新基軸キャンパーの模索に余念がない。

そんな空気感の市場において、新たな一手を打ってきたのが、「フレックス」だ。フレックスといえばランドクルーザーの中古車販売でお馴染みだが、同社がジャパンキャピングカーショー2026に飛びきり注目の1台を出してきた。それが「フレックスカスタムランドクルーザー60」だ。

ベースとなっているのは、今でも根強いファンが多いFJ60Vだ。

…と聞くと、80系や100系をベースに60系ルックにしたランクルか?と思う人も少なくないと思う。たしかに、それは同社がお得意とするランクルカスタムの手法のひとつだ。しかし、同車両は正真正銘の60系。しかも、ファンの間では特別な1台と目されているFJ60Vなのである。

この60系は初期モデルで、55/56型の後継モデルとして登場した。当時は世界的にワゴンタイプのクロカン4WDが流行していた時期であり、トヨタはこの流れに乗って60系を市場に送り込んだ。

FJ60Vが特別視されるのは、その搭載エンジンゆえだ。60系には当初からガソリンとディーゼルの両タイプエンジンが用意されていたが、初期型のガソリンエンジンは2F型を搭載。2Fは4.0L直6エンジンで、排ガス規制前のスペックだったために、そのパワフルさには定評があった。1984年にはマイナーチェンジで3F型に換装されたが、低速トルクが大幅に失われてしまったために不評だったのである。

展示された車両は紛れもなく2F型を搭載しており、しかもリヤゲートが観音開き。60系の上位グレードは上下開きゲートであり、観音開きゲートはSTD(スタンダード)というロアグレードのみに設定されていた。このタイプのリヤゲートは今でも人気が高いのだが、STDの国内流通量が少なかったため、中古市場での希少価値は実に高いのである。

展示車は観音開きのリヤゲートを備えるSTDグレードだったのもポイントが高い。

この希少な車両をフルレストアし、オリジナルサスペンションとワンオフ製作のマフラー、そしてベッドキットを付けたのが同車両というわけだ。内外装はほとんどがオリジナル状態を保っており、特に変形しがちなインパネは非常に良好な状態となっている。キャンパー装備のシンクなどはないため1ナンバー登録となるが、ランクル好きにはむしろこちらの方が歓迎すべきものかもしれない。

オリジナル状態が残されているインパネも美麗!
リヤスペースには、フレックスのオリジナルブランド「67 ROKU NANA」のベッドキットを装着。

注目は価格で、税込567万4050円。同社スタッフによれば、やはりこうした珍しい車両はなかなか出ないため、この価格はかなり破格だと言い切る。維持のことを考えれば大変な部分もあると思うが、FJ60Vで車中泊を楽しめるなら、決して高い価格とは言えないのではないだろうか。車両はもちろんこれ1台で、記事が掲載された時点は売却済みとなっているかもしれない。

今後、こうしたランドクルーザー旧車の車中泊仕様車を再び製作する可能性は高いということなので、ファンとしては注目せざるを得ないだろう。