連載

内燃機関超基礎講座

V6ターボエンジンはコスワース製。NSXでしか体感できない走りを

 “Original Must Be Done. ホンダにしかできないことを”のキャッチコピーを提げ、鳴り物入りでデビューした2代目ホンダ・NSX。このNSXのためだけに縦置き専用で開発されたV型6気筒ツインターボエンジンがこのJNC型だ。少量生産エンジンだけにシリンダーは砂型鋳造によるクローズドデッキである。

 3.5ℓV6というフォーマットは同じながらレジェンドに搭載されるJNB型とは関連性はないNSX用の縦置きエンジンとなる。理想的なブースト圧を105kPaに設定し、10.0という高圧縮比とすることで高出力化を達成。VTCを駆使し筒内直噴+高タンブル吸気ポート、プラズマ溶射シリンダーなどでノッキングを抑制する。

 Vバンクを75度としたうえでドライサンプ潤滑方式を採用。スイングアーム式の小型バルブトレーンを採用することでシリンダーヘッドを大幅にコンパクト化し、低重心設計を突き詰めることで運動性能の向上にも寄与している。さらにエンジン性能の向上とNV最小化を目指して、ピストンウェイトの厳密な管理やダミーヘッドホーニングといった高精度生産技術により組み立てられている。先代(C30・C32)から引き継がれたエンジンのバランス調整は、部品の選択組み付けから一歩進んで、完成後のエンジンをフライホイールやクランクプーリー締結ボルト設定で実施する。

 直噴はノッキングに厳しい低中回転領域に使用を限定し、常用域での燃焼制御の精度を高める方向。高負荷領域での燃料追加増量にも直噴は加勢する。インジェクターはサイド配置だ。

 吸気経路にバルブを配した「インテークサウンドコントロール」、サイレンサーには「アクティブエキゾーストバルブ」を設置。通過騒音規制を見越してスポーツカーの商品性を高める昨今の常套手段である。

 ホンダが2代目NSXを送り出したのは2016年のことだ。2006年に初代NSXが終売から10年後にアメリカのアキュラブランドからお披露目がされたのち、日本国内での市販が開始された。生産はアメリカ・オハイオ州にNSX生産のために作った「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター」で行なわれるため、日本には輸入販売という形が取られ、発売後は四輪におけるホンダのフラッグシップスポーツとしてカタログラインアップに加わる。余談だが、NSXを販売していた頃と同じ時期にホンダ・モーターサイクルからはMotoGPマシンである純レーシングバイク、ホンダ・RC213Vを公道走行可能にした市販モデル、RC213V-Sを二輪のフラッグシップモデルとして台数限定で販売していた。このNSXとRC213V-Sの2モデルは、当時のホンダにおける、より特別な旗艦車種のポジションに君臨していたといっていいだろう。

 NSXは改良を重ねながら販売を続けていたが、2021年8月に翌22年でNSXの生産終了を発表した。その集大成となるモデルとして、エクステリアからエンジンまで大きく改修された最終型、NSXタイプSを全世界350台限定(日本には30台のみ導入)で展開する。このタイプSの完売から数ヶ月後の2022年10月、NSXは再びモデルラインアップからその名を消すこととなった。それはつまり、日本市場向けのホンダ車としてV型6気筒エンジンがカタログから消滅することも意味するのだった。

JNC型V型6気筒ツインターボが収まるエンジンルーム。インタークーラーからスロットルボディ、サージタンクへと向かう機構が美しくレイアウトされる。

ホンダ JNC 主要スペック

排気量:3492cc
内径×行程:91.0×89.5mm
圧縮比:10.0
最高出力:373kW/6500-7500rpm
最大トルク:550Nm/2000-6000rpm
給気方式:ターボチャージャー
カム配置:DOHC
ブロック材:アルミ合金
吸気弁/排気弁:2/2
バルブ駆動方式:スイングアーム
燃料噴射方式:DI+PFI
VVT/VVL:In-Ex/×
(NSX)

ホンダ・NSX(2代目)
ホンダ・NSX タイプS(2代目)

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