CHEVROLET CORVETTE
コルベットのV8は3つの個性に分かれる

GMによると、2027年型「シボレー コルベット」のエンジンラインナップは単なる出力差ではなく、それぞれが異なる「声」「性格」「目的」を持つという。新開発の「LS6」は2027年型「コルベット スティングレイ」「グランスポーツ」「グランスポーツ X」に搭載される6.7リッターV8で、535PSと705Nm(520lb-ft)のトルクを発生する。さらにグランスポーツ Xではモーターと組み合わせることで、システム合計721PS、901Nm(665lb-ft)を実現する。
一方、Z06には5.5リッター「LT6 Gemini V8」を搭載。670PS、624Nm(460lb-ft)を発生し、自然吸気V8としての高回転性能を追求した仕様となる。ZR1には1064PS、610Nm(1123Nm)を発生するツインターボ仕様の「LT7」を搭載。さらにZR1Xでは、フロントのモーターと組み合わせることでシステム合計出力1250PS、同トルク1319Nm(973lb-ft)に達する。
新型LS6は“ビッグトルク”を重視

GMのスモールブロックエンジン開発エンジニアのひとりであるマイク・コシバは、LS6最大の特徴として「大排気量ならではの低回転域からの力強いトルク」を挙げる。同氏によれば、街中からワインディングロードまで高回転まで引っ張る必要がなく、アクセル操作に対して即座に力強い加速を得られることが魅力だという。また、サーキット走行時にはコルベットらしい高回転域のパワー感も備えているという。
LS6は6.7リッター(409立方インチ)の排気量と13.0:1という高圧縮比を採用しており、コシバは「聞いて、感じられるパフォーマンス」を実現したと説明する。さらに409立方インチという排気量については、マッスルカー時代を想起させるヘリテージの継承という意味合いも込められているという。
Z06のLT6は“究極の自然吸気V8”

コルベットZ06に搭載されるLT6について、開発エンジニアのダスティン・ガードナーは「量産車に搭載された自然吸気V8として世界最高出力を誇るエンジン」と説明する。LT6は5.5リッターの排気量を持つ自然吸気ユニットで、最大の特徴は8600rpmまで回る高回転性能にある。フラットプレーンクランクシャフトを採用し、軽快なレスポンスとスーパーカー的なエンジンフィールを追求した。
ガードナーによれば、開発陣は当初から9000rpm近い回転数を目標に掲げ、それに合わせてエンジン全体を設計。最終的に8600rpmという高回転性能と、コルベットらしい低中速域のトルク特性を両立させたという。LT6を搭載するZ06については、「もっとも軽量でサーキット志向が強く、もっとも純粋なコルベット」と表現している。
LT7は1000馬力超の異次元パフォーマンス

ラインナップの頂点に立つのがZR1およびZR1Xに搭載されるLT7だ。5.5リッターのGemini V8をベースにツインターボチャージャーを組み合わせたエンジンで、ZR1では1064PS、1123Nm(828lb-ft)を発生する。ZR1Xではモーターとの組み合わせにより1250PS、1319Nm(973lb-ft)に達する。
ガードナーはLT7について、「LT6のキャラクターを残しながら、妥協のないパワーとトルクを求める人のためのエンジン」と説明する。公式発表前には850PS程度が噂されていたが、Geminiアーキテクチャーの性能や過給システムの進化によって1000PS超が現実的になったという。開発中には、エンジン出力が高すぎてダイノ(エンジンベンチ)が停止したこともあったと振り返っている。
V8を守り続けるコルベットの哲学

自動車業界全体でV8エンジンの縮小が進むなか、GMはコルベットにおいてV8を守り続ける姿勢を明確に示している。コシバは「コルベットの開発チームは最初から最後までV8を貫いた」と語り、他社がV8から離れていくなかで、GMはむしろその魅力をさらに追求したと説明する。ガードナーもまた、「ミッドシップスポーツカーでV8を選べるモデルは少なくなっている」とし、自然吸気V8を2種類、さらにツインターボV8も用意することで、他社にはない選択肢を提供していると強調した。
2027年型コルベットは単に出力を競うモデルではなく、それぞれ異なる個性を持つ3種類のV8を通じて、多様なドライビング体験を提案するスポーツカーへと進化している。
