オーリンズDFV全長調整式車高調キット GRヤリスGen2用はここが違う

Gen2用キット。フロントはキャンバー調整式のピロアッパーマウントが標準。調整幅は最大で約2.5度。純正フロントアッパーマウントでは装着不可。

ラボ・カロッツェリアでは、今回の開発にあたり、GRヤリスのユーザーにリサーチを行った。そこで導き出したのが、前述のコンセプト。メインのテスト車両には、RZのGR-DAT車(8AT)を選択。軸足を日常域とし、ストリートを最優先。スポーツ系の国産車用DFV全長調整式車高調キットでは初の試みだ。

Gen2はGen1に対し、車体の剛性。フロントサスペンションのアッパーマウントの取り付け形状、エンジン性能。4WDの制御などが改良されている。そこにオーリンズ車高調キットの特徴である、高精度パーツによるしなやかな動き、DFVサブバルブの路面に対するタイヤの追従性の高さなどが、どう作用するのだろう?

Gen1用キット。パーツの基本構成はGen2と同様でもダンパーとスプリングの特性が大きく異なる。フロントアッパーマウントは純正を使用。

まず、既存のGen1用キットの構成に触れておきたい。GRヤリスは4WDで、多少フロントヘビーだ。ストラット式のフロントは負荷が大きく、ダンパーはΦ40スチールシリンダー、M56スチールアウターケースの単筒タイプ倒立式を採用。組み合わされるロアブラケットは、アルミの削り出しで肉厚を稼いだ高剛性・高強度のものを使用。

ダブルウィッシュボーン式のリアはφ46アルミシリンダーの単筒式ダンパーと直巻きで自由長200mmのスプリング(バネレートはフロント/リアともに7kgf/mm)。そして、アッパーマウントはフロント/リアともに純正を用いる。

開発スタート時はフロントにGen1用キット+Gen2用試作ピロアッパーマウント&ブレーキホースステー、リアにGen1用を装着してテスト。Gen1はフロントアッパーマウントの取り付けが、ゴムマウントを介したセンター1点留めなのに対して、Gen2はプレートをスタッドボルト3点で固定。

Gen2はフロントアッパーマウントの取り付けがしっかりしていて、ピロアッパーマウントの特徴も相まって、Gen1用では最適解にならなかった。ボディ剛性の高さからも、過度な挙動が顕著に現れる。

Gen1の純正フロントアッパーマウントは、その仕組みから、入力でダンパーの上部側が動く。Gen1用はズレも計算し、スプリングの固有振動数まで考えて自由長200mmの7kgf/mmとしていたが、それがGen2とはマッチしなかった。

Gen2用のフロントコンプリート。Gen1用も変換キットでGen1に付けられる。仕様変更やオーバーホールもできる。

Gen2用では車体側の性能向上をセット出しの味方につける。フロントのバネレートは7kgf/mmから5kgf/mmに下げ、自由長は200mmから250mmに延長。

リアは7kgf/mmを6kgf/mmとし、自由長は200mmから230mmに。フロント/リアの固有振動数が適度になり、ストロークも落ち着き、スパイスとして乗り心地の質にも効いている。

ダンパーはGen1の時点で、減衰力を強くしなくても、かなり走れると見極めていた。Gen2用のフロントはストリートでの運動性能の確保と、スプリングがつくる乗り味とのさじ加減から、Gen1用の減衰力に近い設定でまとまった。

一方、リアは大胆にチューニング。GRヤリスのダブルウィッシュボーンはアームが巧みに配置される。ダンパーとスプリングは同軸ではなく別体で、アーム上の異なる場所に備わっている。

ストロークのしやすさ。さらに、ブッシュのコンプライアンスでの制御が考えられているという。たとえば加速での姿勢は、スクウォットが適度に収まる。

ノーマルのジオメトリーを巧く使うと、リアのバネレートは高めずに済み、減衰力も下げられる。Gen2用は伸び/縮みともにGen1用よりグンと低くしたが、ピストン速度が速い領域は強めて、旋回での安定性を確保している。そして、DFVの働きで、突き上げは抑えられるというわけだ。

「基準車高はGen1用と同じく、ノーマルより30mmダウン。プリロードはフロントが11mmで55㎏。リアが10mmで60㎏を標準にしています。ワインディングでの気持ちよい走りと日常域の乗り心地を徹底して追求しました。

減衰力を強めれば、ミニサーキットも楽しめます。弱めれば、じつに快適に走れる。かつてないDFV全長調整式車高調キットが完成したと自負しています」とのことで、イチから見直した2年にわたる取り組みがようやく実ったことになる。

Gen2用の詳細をまとめたい。ダンパーとスプリング、キャンバー調整式フロントピロアッパーマウント、リアアジャスターのセットで税込み価格は47万800円。リアアッパーマウントは純正を用い、ほかにスプリングレスキットも設定。また、Gen1用キットは一部のパーツ交換でGen2にも取り付けられるので、Gen1からGen2に乗り換えたカスタマーに変換キットも用意(Gen2用ダンパーとGen2純正フロントアッパーマウントは構造上、組み合わせられない)。

スプリングの固有振動数が乗り心地に効く。右側2本がフロントで左側2本がリア。長いほうがGen2用で、市販のストリート向けのGRヤリス用車高調キットの中では最長という。
ブレーキホースステーの違い。右がGen2用で左がGen1用。ホースを固定する位置が異なる
ノーマルの取り付け方法に合わせてGen1用は左のシートの上に純正ゴムマウントを重ねて、ボディへダンパー上部を固定。Gen2で純正がスタッドボルトの3点留めとなり、Gen2用はピロアッパーマウントを導入。
ダイヤルを1クリック動かすと、明確にフィールが変わる20段階の減衰力調整。右がフロントで、アルミ削り出しのブラケット構造もよくわかる
参考にフロントのスタビブラケット。車高が下がった状態でも純正スタビのバネレート(レバー比)がずれにくい位置と形状になっている

元嶋佑弥はGen2用カスタマイズモデルを装着

ラボ・カロッツェリアでは新品購入時のカスタマイズプランを設けている。「サーキット寄りのGen2用が欲しい」という人にも対応できる。バネレートの変更は無料で、減衰力のオーダーなどは8800円/本~となる。

レーシングドライバーの元嶋佑弥はマイカーであり、自らが営むショップJAYLOCKのデモカーでもあるGen2にカスタマイズモデルを装着。4月15日のNAPAC走行会で富士スピードウェイを走らせていたので、話を伺った。

「NEOVA AD09で国際コースを走る仕様をということで打ち合わせ、ダンパーの減衰力とバネレートを変更。筑波サーキットのタイムも狙っていて、A052やA050を履く想定も伝えました」という。ちなみに、バネレートはフロント9kg/mm、リア10kg/mmだ。

「富士スピードウェイでは、低速コーナーで内輪の接地がよく、高速コーナーの100Rも高い速度でラクに入れました。僕のGRヤリスはリアウイングが付いていませんが、オーバースペックと思えるくらい存分に楽しめます」とのことだった。カスタマイズプランも含めて、ラボ・カロッツェリアでは、個別の悩みやセッティングの相談に対応している。


■ラボ・カロッツェリア TEL 03-5851-1852

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北欧覇者の誇り自動車の構成部品、とりわけショックアブソーバーにとっては過酷なレースのひとつであるル・マン24時間耐久レースにおいて2022年、予選19位からの見事な逆転クラス優勝を演じた#33アストンマーティン・ヴァンテージAMR。その足まわりにセットアップされていたのは、やはりオーリンズ製ショックアブソーバーでした。スウェーデンのモトクロスライダーであるケント・オーリンによって1976年に創業されて以来、オーリンズは常にモータースポーツと共に歩んでいます。オーリンズ製シ

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