先生:損 保太郎(以下、保太郎)
某損保サービスセンターに勤務。今回は、一般にはなかなか理解されにくい保険用語を解説するよ。

生徒:モン太
保険用語は約款を見てもネットで調べてもよく分からない。ボクにも分かるように教えてほしいモン。

契約書でよく見るけど分かりにくい! まず覚えたい4つの基本用語

1 被保険者(ひほけんしゃ)

モン太 「契約者」と「被保険者」って同じ人じゃないモン?

保太郎 必ずしも同じとは限らないよ。「被保険者」は、その保険で補償の対象となる人のこと。誰が被保険者になるかは、保険の種類や補償によって違うんだ。

たとえば対物賠償責任保険では、契約者本人だけでなく、契約内容によっては契約したバイクやクルマを運転する家族などが被保険者になる場合もある。

モン太 Aさんが契約している保険でも、Bさんが運転して事故を起こした時にBさんが被保険者になることもあるモンね。

保太郎 そういうこと。ただし、運転者の範囲を限定している契約などでは補償されない場合もあるから、「誰が補償対象なのか」は必ず確認しておきたいね。

2 強制保険と任意保険(きょうせいほけん/にんいほけん)

保太郎 「強制保険」と呼ばれているのが自賠責保険。バイクやクルマを公道で運行するために、法律で加入が義務づけられている保険だ。

自賠責で補償されるのは、事故の相手を死傷させた場合の対人損害が基本。相手のクルマや物を壊した場合、自分自身のケガ、自分のバイクの損害などは対象にならない。

モン太 それを補うのが任意保険だモンね。

保太郎 そう。任意保険では対人・対物賠償、自分自身のケガ、車両保険など、契約内容に応じてさまざまな補償を備えられる。

それと、自賠責が切れた状態で走るのはNG。2026年現在、自賠責に加入せず運行した場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、さらに違反点数6点が付く。自賠責は「入っていたはず」ではなく、有効期限まで確認しておきたい。

3 保険料と保険金(ほけんりょう/ほけんきん)

モン太 これ、似ているからゴチャゴチャになるモン。

保太郎 簡単に言えば、「保険料」は契約者が保険会社へ支払うお金。「保険金」は事故などが起きて補償の対象になった時に、保険会社から支払われるお金だね。

モン太 ニュースで聞く「保険金詐欺」は、保険会社から受け取る方のお金をだまし取るってことだモンな。

保太郎 そう覚えると分かりやすいね。

4 保険金額(ほけんきんがく)

保太郎 「保険金額」は、保険契約であらかじめ設定する金額のこと。車両保険では支払いの上限となる金額として使われ、対人・対物賠償で「無制限」となっている場合は、契約上の保険金額に上限を設けていないという意味だ。

モン太 「保険金」と「保険金額」も別モノなんだモンね。

「20等級なら安い?」保険料にも影響するノンフリート契約

5 ノンフリート契約(のんふりーとけいやく)

モン太 コレが一番、名前を見ても意味が分からないモン!

保太郎 一般の個人がバイクやクルマで加入する自動車保険では、このノンフリート契約が身近だね。

事故歴などに応じて1~20等級に分けられ、一般的な新規契約は6等級からスタートする。一定の条件を満たした2台目以降などでは7等級から始まる場合もある。

1年間、保険を使う事故がなければ翌年は原則1等級アップ。等級が高くなるほど保険料の割引率も大きくなる仕組みだ。

モン太 じゃあ事故で保険を使うと3等級下がるモン?

保太郎 3等級下がる事故が多いけれど、すべてではないよ。事故の内容によっては1等級ダウンになるものや、等級に影響しないものもある。

さらに7~20等級では、同じ等級でも「事故有」と「無事故」で割増引率が違う場合がある。だから単純に「今は何等級か」だけでは翌年の保険料は判断できないんだ。

モン太 なるほど。事故で保険を使うかどうかを考える時にも関係してくるモンね。

事故後に突然出てくる! 「無責」「免責」「自損自弁」って何?

6 無責・免責・取り下げ(むせき/めんせき/とりさげ)

モン太 「無責」って、無責任の略みたいだモン。

保太郎 そう思うよね(笑)。保険でいう「無責」は、保険会社に保険金を支払う責任がない場合を指す言葉だ。

事故の連絡はあっても、その契約では補償対象にならない場合などに使われることがある。ただし、現場での使い方や表現は保険会社によって異なることもあるよ。

モン太 じゃあ「免責」は?

保太郎 「免責」は、損害が発生しても約款上、保険会社が保険金を支払う責任を負わない場合のことだね。

それとは別に「免責金額」という言葉もある。これは事故の時に契約者などが自己負担する金額のこと。「免責5万円」と設定されていれば、損害額のうち原則5万円を自分で負担する、といった意味になる。

モン太 同じ「免責」でも意味を確認した方がよさそうだモン。

保太郎 そのとおり。

そして「取り下げ」は、いったん保険を使う方向で事故処理を進めたものの、修理代が少額だったり、等級ダウンによる今後の保険料への影響を考えたりして、保険金を請求しないことにするようなケースで使われる言葉だね。

7 自損自弁(じそんじべん)

モン太 漢字だけだと難しそうだモン……。

保太郎 意味は意外とシンプル。事故の当事者がお互いに相手へ損害賠償を請求せず、それぞれ自分の損害を自分で負担する解決方法のこと。

たとえば双方の過失や損害額が近く、互いに請求しないことで解決する場合などに使われることがある。

モン太 「お互い自分の分は自分で」ということだモンね。

保太郎 そう。ただし、事故の内容によって本当に自損自弁が妥当かは変わるから、その場で安易に決めず、保険会社などに相談した方がいいね。

8 慰謝料(いしゃりょう)

保太郎 最後は「慰謝料」。これは精神的な損害に対して支払われる賠償金のことだ。

交通事故では、ケガによる精神的苦痛や後遺障害、死亡事故などに対して慰謝料が問題になる。

モン太 じゃあ、大切なバイクを壊された精神的ショックにも慰謝料が出るモン?

保太郎 物損事故だけの場合は、原則として慰謝料は認められにくいんだ。バイクやクルマに強い愛着があったとしても、通常は修理費などの財産的損害を賠償することで回復すると考えられている。

ただし、特別な事情がある場合まで絶対に認められないという意味ではないよ。

モン太 保険用語って難しそうに見えるけど、ひとつずつ意味を知るとなんとなく分かるモン!

保太郎 そうだね。事故の直後はただでさえ頭が混乱している。そこで知らない言葉が次々出てくると、さらに不安になるからね。

全部を覚えればカンペキだけど、「この言葉、聞いたことがある」くらいでも違う。分からない言葉が出てきたら、その場で担当者に確認することも大切だよ。

※ここでは一般的な自動車保険用語について解説しています。用語の使い方や補償内容、適用条件などは保険会社や契約内容によって異なる場合があります。

※この記事は月刊モトチャンプ2024年7月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】