“カモメ”らしさを残してショーモデル級に進化

リヤ周りまで徹底して作り込まれ、サイドバッグには不要になった母親のハンドバッグを再利用。シート表皮とも雰囲気を合わせ、車体全体のコーディネートに取り込んでいる。

ベースとなったのは、ハンドル両端が持ち上がった独特のスタイルから“カモメ”と呼ばれるスーパーカブC50。堀本さんのマシンは、その古いカブならではの雰囲気を消してしまうのではなく、ひと目でカブと分かる純正フォルムを大切にしながら、各部を大胆にアップデートしている。

特徴的なのが、車体全体に漂うカスタムハーレーのような華やかさだ。多数のワイヤースポークを使ったホイールはローライダーを思わせるエレガントな仕上がりで、フロントフォークにはダンパーも追加。淡いグリーンとホワイトを基調としたボディカラーにクロームパーツを組み合わせることで、クラシカルながらショーバイクらしい存在感を作り出している。

ヘッドライトはプロジェクター化され、ハンドル幅も詰めてコンパクトに。レバー先端をシャープに仕上げるなど、細かな部分まで手が入る。一方で、古いカブの特徴である行灯ライトの意匠は残されており、新旧のディテールを違和感なく共存させているのが面白い。

ワンオフパーツを“既製品のように”仕上げるこだわり

このマシンで特に苦労したというのが、個々のカスタムを突出させず、車体全体のバランスを整えること。ワンオフパーツを大量に投入しながら、いかにも手作りといった雰囲気を見せず、既製品のような仕上がりを追求している。

象徴的なのがレッグシールド内側のメーターパネルだ。石膏で雄型を製作し、それをもとにクルマのエアロメーカーへ製作を依頼。完成したパネルにはバックモニターやタコメーター、油温計などを収めている。バックモニターを使うことでミラーレス化し、ハンドル周りをスッキリ見せているのもポイントだ。

マフラーは左右2本出しではなく、車体前方へ排気口を向けた独創的な2本出しレイアウト。さらにサイドスタンドにはツイスト加工を施すなど、細部までワンオフパーツが続く。シート周りにもユニークなアイデアがあり、不要になった母親のハンドバッグを再利用して車体の雰囲気に合わせるなど、既成のバイクパーツだけに頼らない発想もこのマシンの魅力となっている。

見た目だけじゃない! エンジンは110cc+5速化

外観だけでなく、エンジンにも抜かりなく手が入る。クリッピングポイント製キットを使って110cc化し、SP武川製5速クロスミッションとスペシャルクラッチを投入。オイルクーラーにはサーモスタットも組み合わせるなど、排気量アップに合わせて周辺もしっかり作り込まれている。

多数のワイヤースポークを使ったホイールで、ローライダーを思わせるエレガントな足周りを構築。フロントフォークにはダンパーも追加されている。

ここまで手を入れれば、ひとつひとつのパーツが主張しすぎても不思議ではない。しかし、このカブはボディ、エンジン、足周り、操作系と、すべてに手が入りながら全体のまとまりを失っていない。ワイヤースポークの華やかさも、独創的なマフラーも、メーターパネルも、すべてがひとつのスタイルを作るための要素として機能している。

2022年の取材時には、その作り込みの深さから車両の周囲に一日中人だかりができていたという。古いカブの持ち味を残しながら、アイデアと加工技術でショーモデル級へと昇華。“カモメ”というベース車の魅力を最大限に引き出した、大胆なリノベーションだ。

ディテールチェック

レッグシールド内側にはワンオフのメーターパネルを増設。バックモニターやタコメーター、油温計などをまとめて配置し、ミラーレス化したハンドル周りをスッキリ見せる。

撮影したのはこのEVENT!

「奈良カブミーティングVol.11」
■日時:2021年11月14日(日)
■開催地:唐子・鑓遺跡史跡公園(奈良県)

こちらの車両は日本一参加者が集うカブイベント「奈良カブミーティング」で撮影されたもの。詳細はこちらのSNS(奈良カブ)をチェック!


【モトチャンプ】