1000円カブ旅のvol.01で鶴見川を源流から中流までたどり寺家ふるさと村へ行ったが、今回はその続編として、中流から河口まで走ってみることにした。流域は市街地から工業地帯となっているので、交通量の少ない休日に出かけることにした。

川に並行するのはなかなか至難の業だった

鶴見川河口へのスタートは東名高速の横浜青葉インターチェンジ付近

1000円の限られた資金でのツーリングなので、遠くまで足を伸ばすことができないのだが、それでもツーリングらしく自然が豊かで快走できるエリアを選んできた。しかし今回は、ツーリングの目的地にはふさわしくない市街地から工業地帯だ。鶴見川をたどるという大義名分がなければ見向きもしないルートだ。とはいえ、多少なりともツーリング気分を味わいたいので、交通量が少ないであろう休日にカブで出かけた。

源流から中流まで行ったときは横浜市青葉区の寺家ふるさと村が最終目的地だった。なので今回は同じ青葉区から川沿いをたどることにした。出発地点としたのは東名高速と首都高の横浜青葉インターチェンジ付近。ここから可能な限り鶴見川に並行して走る。中山付近で恩田川が合流すると川幅は一気に広さを増す。新横浜を過ぎると川は北に大きく蛇行するかたちで綱島を抜け、末吉橋あたりから南西方向に向かう。

鶴見駅まで来るとさすがに交通量が多く、川を眺める余裕がなくなってしまう。そこで少し気分を変えて、JR鶴見線の国道駅に立ち寄ってみた。国道駅はその名の通り国道15号線(第1京浜)沿いにあるのだが、ガード下のアーチ状の商店街が昭和の趣そのままなのである。商店街といっても数軒の店があるだけなのだが、実にノスタルジックで奇妙な雰囲気を醸し出している。そんな国道駅にすぐ脇を鶴見川が流れていて、次の鶴見小野駅から少し下流へ行ったところの土手に鶴見川河口0キロポストがある。界隈は一方通行が多くかなり大回りして0キロ地点に行ったのだが、バイクは当然進入禁止なので、歩いて見に行った。休日なので釣りをする人、のんびり寝転ぶ人などがちらほら。長閑な風景が広がっていた。

河口から0キロとあるのだからまちがいなくこの場所が鶴見川の河口なので、源流から42.5㎞をすべてたどったことになる。なんかちょっと達成感があってうれしい。だが、河口といってもすぐ目の前に海が広がっているわけじゃない。京浜工業地帯の真っただ中なので沖合に向かって埋立地が形成されているので川がまだ先まで続いているような風景だ。ならばと埋立地の先端までカブを走らせた。

工場や研究施設などが整然と並ぶ中、まっすぐな道が続く。平日なら工場へ搬出入する大型トラックが行き交っているのだろうが、休日は行き交う車もまばらで快適だ。そして行き着いた先には『ふれーゆ鶴見』という横浜市の高齢者保養研修施設があった。屋内プールや温泉施設などがあり、建物の周囲は公園になっている。公園からは鶴見つばさ橋や横浜ベイブリッジなどが海とともに見渡せる。こうして鶴見川を制覇したのである。

末吉橋付近まで来ると川幅が広く、かなり下流まで来たなという感じだ
戦前からほとんど変わらぬ佇まいのJR鶴見線国道駅。昭和へと一気に逆戻りできて感涙ものだ
源流から42.5km、鶴見川の河口0キロ地点。だが埋立地が続いているので河口という雰囲気は見出しにくい

工業地帯を走るローカル線全駅めぐり

鶴見川が脇を流れる昭和感満載の国道駅や、鶴見川河口0キロの最寄駅である鶴見小野駅を擁するJR鶴見線は、横浜市鶴見区の鶴見駅と川崎市川崎区の扇町駅とを結ぶ全長9.7kmの路線である。さらに浅野駅から分岐する海芝浦支線と、武蔵白石駅から分かれる大川支線があり、それぞれ鶴見駅から直通運転されている。設置駅は起点の鶴見駅を含めて10駅。それに海芝浦支線の2駅と大川支線の1駅がある。鶴見駅を除いてすべてが無人駅だ。駅間はJR全路線の中でもっとも短く、平均駅間距離は本線が0.7kmとなっている。路線はほとんどが京浜工業地帯の中を走っていて、工場への通勤の足として利用されている。そのため朝夕が中心のダイヤとなっていて、日中は本数が極端に少ない。また休日も本数が少ない。特徴的なのは、海芝浦支線の新芝浦駅と海芝浦駅は東芝京浜事業所の敷地内にあり、海芝浦駅については東芝の従業員以外改札外へ出ることができない。しかし東芝の計らいによって駅の先に公園が整備されていて、京浜運河を挟んで鶴見つばさ橋を間近にできる。さらに運河のすぐ上にホームがあるので、海にもっとも近い駅としても知られていて、近年は観光で訪れる人が絶えない。いずれにしても、ローカル色豊かな路線で、鉄オタの僕は何度も乗り鉄している。

ふれーゆ鶴見を後に再びまっすぐな快走路を首都高横羽線が上を通る産業道路まで戻り、川崎方面へ曲がり汐入で南側に曲がる。少し走ると目の前に弁天橋駅が現れる。すぐ横の運河にはかつてテレビ番組の企画で使われたDASH海岸がある。

今回は鶴見川を河口まで走るのが目的だったが、せっかくなので鶴見線の全駅をめぐってみることにした。

産業道路を再び川崎方面へ向かい、いる船公園を南に折れれば浅野駅である。海芝浦支線の分岐駅になっているので、まずは旭運河沿いに新芝浦駅を目指す。踏切を渡って線路沿いを進んでいくと、東芝京浜事業所の正門がある場所に駅があった。運河のすぐ脇に下り線ホームがあるので、この駅も海に近いといえる。終点の海芝浦駅へは行けないので、ここで引き返して安善駅へ行く。駅の北側には民家や商店もあるので工場の従業員以外の利用者もありそうだ。

海芝浦支線の分岐駅である浅野駅。本線とはホームが別なので、乗り換えが楽しい駅のひとつだ
東芝京浜事業所の正門前にある新芝浦駅。旭運河のすぐ横にホームがある
電車でしか行くことができない海芝浦駅は、海がもっとも近い駅としていまや観光地にもなっている
海芝浦駅は東芝の敷地内にあるため従業員以外改札を出られない。そのため駅の先端には海芝公園が整備されていて、一般の観光客はこの公園でひと休みするのが恒例
海芝公園からは鶴見つばさ橋を間近に見ることができる

安善駅からは安善通りという道が南に海のほうへ続いている。行ってみることにした。工場が建ち並ぶ中を道に並行して貨物用の引き込み線が続いていた。米海軍の鶴見貯油施設があるので燃料輸送の貨物列車が走っているようだ。先端からは運河を挟んで扇島が対峙していた。

安善駅から続く引き込み線は、燃料輸送の貨物列車は走る
貨物の引き込み線は米海軍貯油施設が発着

安善駅へ戻り隣の武蔵白石駅へ行く。ちょうど電車が到着し、たくさんの人が降車してきた。どうやら工場で働く人たちのようだ。休日でトラックの往来は少ないが、おそらく工場は休むことなく稼働しているのだろう。武蔵白石駅からは大川支線が南へ走っているので、大川駅まで行ってみた。古めかしい木造駅舎が印象的な大川駅は、山奥にあってもなじむような風情だ。時刻表を見てみると、平日も休日も9時から16時台まで電車の運行がない。ほとんど秘境駅だ。

年季の入った駅舎が印象的な大川駅
日中は電車が来ないまさに秘境駅だ

浜川崎駅へはいったん産業道路に出て工業地帯に入りなおすかたちになる。浜川崎駅は南武線の支線が来ていて、鶴見線と乗り換えができる。駅舎は道を挟んで向かい側にある。僕も鶴見線を乗りに来たときはここ浜川崎駅で南武線に乗り換える。

鶴見線の浜川崎駅
鶴見線の車両は23年12月から投入されたE131系
南武線の浜川崎駅
南武線浜川崎支線に使用されているのは205系。ほかにも東北地方で使われていたE127系も走っている

鶴見線はカーブを描いて昭和駅、扇町駅へと続いている。昭和駅は県道101号線のすぐ横にあり、終点の扇町駅は三井埠頭方面へたどったところにある。昭和駅近くには民家と商店があった。一方、扇町駅の周辺には工場やその関連施設しかなかった。

こうして鶴見線全駅をめぐって大満足したのだが、休日ということで食事ができる店は一軒も開いてなかった。結局コンビニで遅い昼飯となったのである。

鶴見線本線の昭和駅
終点の扇町駅。ホームの反対側には貨物線が通っている

走行距離は115km、給油量は2.2Lほどだった。やはり市街地が中心だったので燃費は悪かった。ちなみに使った費用は500円弱だった。