CF MOTO・675SR-R……1,243,000円

クラストップを目指していない?
近年のCF MOTOは、ロードレースとスーパースポーツにかなりの力を注いでいる。
2022年から参戦を開始したMoto2/3では、2024~2026年にMoto3のチャンピオンを獲得しているし(車両は2013年からパートナーシップを結んでいるKTMのRC250GP)、Moto2ではこれまでに5勝をマーク。

また、2025年にカレックス(Moto2で絶大な支持を集めるドイツのフレームメーカー)の株式の51%を取得したことや、SBK参戦を念頭に置いて開発しているV4 SR-RRが、2026年6月のテストで315.82km/hを記録したことにも、同社のこの分野にかける意気込みが表れているように思う。

そんなCF MOTOが初めて手がけたフルカウルのミドルスポーツが、海外市場では2025年、日本では2026年から発売が始まった675SR-Rだ。

そしてダイヤモンドタイプのスチールフレームに並列3気筒エンジンを搭載するこのモデルに対して、当初の僕はかつてのミドルトリプル、トライアンフ・デイトナ675/RやMVアグスタF3 675的な特性を想像していたのだが……。

試乗前日にライバルになりそうな車両をピックアップして、各車のスペックを比べてみたところ、このモデルはデイトナ675/RやF3 675ほど、運動性能を突き詰めてはいないようである。

トライアンフが2024年から販売しているデイトナ660よりは軽くて小さいものの、近年の600~700ccスーパースポーツ/スポーツモデルの基準で考えると、最高出力は控えめで、軸間距離は長く、シートは低い。
現在のCF MOTOであれば、イッキにクラストップの座を目指すんじゃないか?と想像していた僕としては、その事実はちょっと意外な気がした。
乗車姿勢とハンドリングに感じた意外性

もっとも、僕にとっては今回が初対面となった675R-Rのルックスは、どこからどう見てもスーパースポーツだった。
フロントマスクはアグレッシブだし、テールは短くて跳ね上がっているし、レーサー的な装備として、カウルの左右にはウイングレット、フロントフォークのボトムにはブレーキ冷却用のエアダクトが備わっている。でも実際にさまざまな状況を走ってみると、やっぱり675SR-Rはガチのスーパースポーツではなかったのだ。

僕がそう感じた一番の原因は、ライディングポジションである。ガチのスーパースポーツとは10~25mmしか変わらないとはいえ、675SR-Rの着座位置は低く、相対的にハンドルグリップが高く思える。
と言っても、スポーツツアラーほど安楽ではないのだけれど、近年のスーパースポーツの基準ならフレンドリーな部類だろう。

それに続いて、僕がスーパースポーツ的ではない気がしたのは峠道でのハンドリング。
基本的にはニュートラルな特性で扱いやすく、重いとか鈍いなどという印象を抱いたわけではないものの、スパッとかグイグイなどという擬音を使いたくなる旋回性、スーパースポーツならではのキレ味は、このバイクには感じられなかったのだ。
フレンドリーでニュートラル

というわけで、試乗開始から十数分はアテが外れた気分になった僕だが、しばらく走るうちに、コレはコレで全然いいじゃないか……という意識が芽生えてきた。そのきっかけは、抑揚に富んだエンジンフィーリングである。

と言うのも、そもそも一昔前までの並列3気筒は、並列2気筒と並列4気筒の美点(と欠点)を兼ね備えるエンジンと呼ばれていたのだが、最近の他メーカーが手がける並列3気筒は、いろいろな面で洗練が進んだ結果なのか、並列4気筒寄りになった気がする。
でも675SR-Rの並列3気筒エンジンは、中高回転域で並列4気筒のような爽快感が堪能できる一方で、低回転域では並列2気筒を思わせる鼓動を味わわせてくれるのだ。

その事実に気づいた僕の中では、前述したフレンドリーなライディングポジションとニュートラルなハンドリグが、腑に落ちた気がした。
前述した通り、試乗前の僕は近年の同社の動向から推察して、一気にクラストップの座を目指すんじゃないか?と想像していたものの、よくよく考えてみるとそこまで尖った性能は、現在の二輪の世界では必ずしも正解ではないのである。

おそらく、CF MOTOはそのあたりの事情を考慮したうえで、乗り手の技量や走る場面をあまり問わないスポーツバイクとして、675SR-Rを製作したのではないだろうか。
ちなみに、前記したスペック表の車両の中で、現時点の僕が675SR-Rに通じる資質を感じているのはデイトナ660くらいだが、スペック表に挙げなかった車両として、ホンダCBR650RやスズキGSX-8Rなどがライバルになりそうな気がしている。

そしてそれらと比較した際に675SR-Rの大きな美点になるのは、スーパースポーツ然としたアグレッシブなルックスや車体の軽さと小さ、抑揚に富んだエンジンフィーリングではないかと思う。

ライディングポジション(身長182cm・体重74kg)


ディティール解説












主要諸元
全長×全幅×全高:2020mm×728mm×1105mm
軸間距離:1400mm
最低地上高:140mm
シート高:810mm
装備重量:189kg
エンジン形式:水冷4ストローク並列3気筒
弁形式:DOHC4バルブ
総排気量:675cc
ボア×ストローク:72×55.2mm
圧縮比:11.5
最高出力:70kW〈95.1PS〉/11000rpm
最大トルク:70N・m〈7.14kg-f・m〉/8250rpm
燃料供給装置: フューエルインジェクション
始動方式:セルフスターター
点火方式:フルトランジスタ
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
ギアレシオ
1速:2.867
2速:2.053
3速:1.565
4速:1.286
5速:1.107
6速:0,967
1・2次減速比:1.786・3.200
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック倒立式φ41mm
懸架方式後:直押し式モノショック
タイヤサイズ前:120/70ZR17
タイヤサイズ後:180/55ZR17
ブレーキ形式前:油圧式ダブルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
燃料タンク容量:15ℓ
乗車定員:2名


