デュアルライトにナックルガード! 見た目だけじゃない本格装備【ホンダ・Dio XR BAJA】

HONDA Dio XR BAJA|1994年発売

ベースとなったのは、1990年にフルモデルチェンジしたスーパーディオ系。そこへ本格ランドスポーツモデル「XLR BAJA」のイメージを大胆に持ち込んだのが「Dio XR BAJA(ディオ・エックスアール・バハ)」だ。

じつはこのモデル、市販化の前に第30回モーターショーへ参考出品されている。そこで若者を中心に注目を集め、1994年(平成6年)3月4日に市販モデルとして発売された。年間販売計画は5000台。試験的な派生車というより、反響を見たうえで送り出されたモデルだった。

最大の特徴は、やっぱりフロント周り。本家XLR BAJA(排気量250ccのオフロードモデル)を連想させる丸型2灯のデュアルヘッドライトに、それを囲う楕円形のヘッドライトガードを装着。さらに小枝や小石などから手を守るナックルガードまで備えていた。

横から見ると、スーパーディオ系のボディにオフロードテイストの装備を組み合わせた独特のスタイルがよくわかる。前後にはブロックパターンタイヤを採用

ここまでなら「オフロードっぽい外装を付けたスクーター」で終わりそうだが、Dio XR BAJAは細かい部分までかなり凝っている。

ハンドル中央には「BAJA」ロゴ入りのプロテクターを装備し、メーターは3連丸型。後ろにはボディ同色の大径パイプ製リヤキャリアを備える。車体色もシャスタホワイトを基調に、パープルに近いブルー(以下、ブルー)と赤を使った大胆なブラッシュ模様と「XR BAJA」のロゴを組み合わせた。

本家XLR BAJAも1993年型ではシャスタホワイトを基調に鮮やかなブルーを組み合わせ、蛍光色のBAJAロゴを採用していた。Dio XR BAJAの白×青を中心としたカラーリングにも、その雰囲気がしっかり受け継がれているというわけだ。

ハンドル中央には「BAJA」のロゴ入りバーパットを装備。ヘッドライトガードやナックルガードまで含め、スクーターとしてはかなり異色のコクピットだ。PHOTO:モルツ


タイヤまでブロック柄! でも中身はちゃんと“使えるDio”

見た目はかなり攻めているけれど、Dio XR BAJAの基本はあくまでスクーターだ。

エンジンは、49cc空冷2ストローク単気筒で、最高出力6.8ps/7000rpm、最大トルク0.73kgm/6500rpm。Vマチックとの組み合わせで、日常で扱いやすい力強さを狙っている。

足周りも見逃せない。前後3.00-10サイズのブロックパターンタイヤを履き、フロントにはΦ160mmの油圧式ディスクブレーキを採用。フロントフォークもテレスコピック式となっている。

ただし、最低地上高は95mmと、ベースはあくまでスクーター。XLR BAJAのような本格オフロードマシンへ変身したわけではない。

だからこそ、このマシンの狙いは「山へ攻め込みましょう!」ではなく、普段使いのDioにオフロードテイストを持ち込むこと。ブロックタイヤやデュアルライトを眺めながら、いつもの街をちょっと冒険気分で走る。そんな遊び方が似合う1台だ。

シート下には収納スペースを確保。派手なオフロードスタイルでも、スクーターとしての日常性はきちんと残されている。PHOTO:モルツ


ハンドル下にも小物を入れられるスペースを備える。見た目は“BAJA”でも、毎日使えるスクーターらしい実用性は健在だ。PHOTO:モルツ

【SPECIFICATIONS】

総排気量:49cc
エンジン:空冷2ストローク単気筒
最高出力:6.8ps/7000rpm
最大トルク:0.73kgm/6500rpm
全長×全幅×全高:1650×755×1045mm
重量:72kg
タイヤ:3.00-10・3.00-10
発売当時価格:16万9950円(税込)

“なんちゃってオフ車”で終わらせない徹底ぶりがいい

Dioのボディにデュアルライトだけ付けて終わり――ではなかった。

バーハンドル、ヘッドライトガード、ナックルガード、BAJAロゴ入りハンドルプロテクター、3連メーター、大径パイプキャリア、ブロックパターンタイヤ。細部まで積み重ねたからこそ、Dio XR BAJAには独自の存在感が生まれた。

しかも、そのモチーフになったXLR BAJAは、1987年に登場した本格ランドスポーツモデル。大型デュアルヘッドライトをはじめ、オフロード走行を意識した装備を盛り込んだモデルだった。そこから約6年後、その世界観を50ccスクーターへ落とし込んだのだから、ホンダもかなり遊んでいる。

便利で速いだけじゃなく、「こんなのあったら楽しいよね」を本気で製品にしてしまう。1990年代のスクーターには、そんな勢いもあったのだ。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年12月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】