参戦発表会前に菅原義正氏(右)にお話を伺う。左は初参戦の女性ライダー・田中愛生氏。

1979年に開始された、フランスのパリをスタートし、アフリカ大陸はセネガルの首都ダカールをゴールとする超大型ラリーレイド大会、『パリ・ダカール・ラリー』。しかし、アフリカ大陸諸国の政情不安やそれに伴う治安の悪化により、2009年からは南米に移転しての開催となった。しかしアフリカ大陸と離れがたい想いを抱く参加者と、アフリカ大陸でのレース継続開催を望むアフリカ諸国の声は決して小さいものではなく、その意を汲んで2009年にスタートしたのが『アフリカ・エコレース』だ。

今次大会の概要。2024年1月14日にセネガルの首都ダカールにゴールする。

今次大会で15回目となる(2023年大会は諸事情により中止)『アフリカ・エコレース』、その過酷さは往年の『パリ・ダカール・ラリー』と同様だ。日本からも少なからず参戦者を数えているが、2019年大会まで『ダカール・ラリー』に参戦し続け、同ラリーレイドにおけるギネス世界記録(最多連続出場)を持つ日本クロスカントリー界のレジェンド・ドライバー、菅原義正氏も『ダカール・ラリー』引退直後の2020年大会から参戦を続けられている。ちなみに菅原氏はかつて弊メディアの祖である月刊『モーターファン』誌でテスター(記者の代わりに新車などの試乗インプレッションを行なうテストドライバー)をつとめられていたこともある。

去る12月7日、その菅原氏の“『アフリカ・エコレース2024』参戦発表会”がネット配信にて行なわれた。

前大会までヤマハYXZ 1000R(いわゆる“サイド・バイ・サイド”と呼ばれる2人乗りのROV(Recreational Off-highway Vehicle、2人乗りATV))というレース専用小型バギー車両で参戦していた菅原氏が今大会で使用する車両が注目されたが、それはなんとスズキのJB64ジムニー。前回まで使用した、レース専用車として仕立てられていた小型バギー車よりエンジンパワーも劣り、車重もあるので不利なように思えるが、菅原氏によれば「レース専用車ではなく、市販の軽自動車で参戦することに意義があると思った」という。

使用するのはスズキJB64ジムニー。ナンバープレートも付く、ごく普通に市販されている車両がベースだ。「だからこそ意味がある」とは菅原氏の弁。「誰でもラリーレイドに参加できる可能性を示す」のも狙い。

菅原氏と言うと、どうしても近年のダカール・ラリーで駆っていた日野自動車のカミオン(トラック)の印象が強いが、実は軽自動車志向がかなり強い。今から50年以上前に軽自動車の将来性に着目した『軽自動車のすべて』なる著書を上梓されており、1977年にはホンダの軽トラック・アクティでパキスタン南部のカラチからポルトガルのリスボンまで走破、1982年にはやはりスズキのジムニーでサハラ砂漠縦断を行なっているほどだ。もっともこの時は軽自動車ではなく登録車規格のジムニー1000でのチャレンジだったため、「正真正銘の軽自動車でアフリカを走る」ことは氏の宿願でもあったようだ(他のラリーレイドなどではJB23ジムニーで走られている経験があるが)。

今回使用されるのは言わずと知れたスズキJB64ジムニー。軽自動車でアフリカ走破を目指す。

出場車両は参戦発表会の時点ではすでにフランスのガレージへ渡っており、実車の確認は出来なかったが、車両自体はジムニーの大ベテラン・ショップとして知られ、数々の競技車両製作の実績を持つAPIO(アピオ)(神奈川県綾瀬市)の協力を得て仕立てられており、その完成度は非常に高いという。菅原氏によれば、ほぼ全行程をかなり低圧のタイヤで走行することになるため、常にパンクの心配がつきまとうのが最大の心配の種だとか。「狭い車内にスペアタイヤを2本積載、このほか主催者預かりのタイヤもあるが、無事に走り切れるかどうか」という。ぜひ、競技の無事と完走、出来れば好成績を心よりお祈りしたい、。

今回が初チャレンジとなるアマチュア・ライダーの田中愛生氏。
ダカール・ラリーでは参戦マシンには450ccの排気量上限規制があるが、アフリカ・エコレースでは規制がないため、マシンには500ccのハスクバーナをチョイスしたという。

なお、この報告会には弊メディアの2輪部門である『モーターファンバイクス』で『田中愛生のアフリカ・エコレース』を連載中の田中愛生氏も参加、その初挑戦の抱負を語った。田中氏は『アフリカ・エコレース』はおろか海外ラリー参戦が初というアマチュア女性ライダーだが、持ち前のバイタリティには大いに期待したい。

【01】「田中愛生のアフリカ・エコレースへの道」/バイク女子がサハラ砂漠を目指すまで(https://motor-fan.jp/bikes/article/54332/)

【01】「田中愛生のアフリカ・エコレースへの道」/バイク女子がサハラ砂漠を目指すまで

皆さん、はじめまして!  オフロードバイクが大好きな田中愛生と申します。 これから「愛生のアフリカ・エコレースへの道」と題し、定期的に記事をアップさせていただけることになりました。どうぞよろしくお願いします! 編集●佐藤旅宇

https://motor-fan.jp/bikes/article/54332/

【02】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第一弾/風間深志さん(https://motor-fan.jp/bikes/article/59615/)

【02】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第一弾/風間深志さん

前回の記事でお伝えしたように、私は2024年3月に開催されるアフリカ・エコレース(AFR)に参戦するために準備を進めています。これから定期的に、そんなアフリカ・エコレースのルーツである黎明期のパリダカに挑み、見事完走を果たしたライダーのインタビューをお届けします。 第一回目のゲストは風間深志さんです。 まとめ●佐藤旅宇 写真提供●風間事務所 撮影協力●CafeRacers Stand

https://motor-fan.jp/bikes/article/59615/

【03】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第二弾/柏 秀樹さん(前編)(https://motor-fan.jp/bikes/article/64110/)

【03】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第二弾/柏 秀樹さん(前編)

こんにちは!田中愛生です。今回は、かつてパリダカを走ったライダーにその魅力や苦労などについてインタビューする企画の第二弾をお届けします。ゲストは柏 秀樹さん。 柏さんと言えば、還暦を過ぎたいまも二輪メディアなどで精力的に活躍している超ベテラン二輪ジャーナリストであり、バイクの免許保有者対象のライディングスクール「KRS」の代表としても広く知られる存在です。 じつは私も生徒として柏さんのレッスンを受けたことがあるのですが「なぜそうなるか」という理論を分かりやすく教えてくれる指導内容に感激しました。それではどうぞ!

https://motor-fan.jp/bikes/article/64110/

【04】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第二弾/柏 秀樹さん(後編)(https://motor-fan.jp/bikes/article/65058/)

【04】パリダカを走り抜いた先達に訊く|パリダカ経験インタビュー第二弾/柏 秀樹さん(後編)

こんにちは!田中愛生です。かつてパリダカを走った先輩ライダーに、その魅力や苦労などをインタビューする本企画。前回に続いて柏 秀樹さんをゲストにお招きして、パリダカを走り抜くために必要な心得などについて伺いました。早速どうぞ!

https://motor-fan.jp/bikes/article/65058/

【05】アフリカに行って砂漠を走ってみた。前歯が欠けた。|田中愛生のアフリカ・エコレース(https://motor-fan.jp/bikes/article/73347/)

【05】アフリカに行って砂漠を走ってみた。前歯が欠けた。|田中愛生のアフリカ・エコレース

こんにちは! 田中愛生です。 ご存じの通り、私は2024年開催の「アフリカ・エコレース(AER)」出場を目指して活動しているのですが、なんとスタート時期が当初想定していた2024年3月から今年の12月末に変更されてしまい、大慌てで準備を進めているところです。そこで、今年1月から2月にかけて砂漠走行のトレーニングのためにエジプトへ行ってきました。今回はそのレポートをお届けしたいと思います! PHOTO・REPORT:田中愛生

https://motor-fan.jp/bikes/article/73347/

レースは2023年12月30日にモナコで車検・行政検査・スタートセレモニーが行なわれ、2024年1月2日にモロッコをスタート、1月14日にセネガルのダカールでゴールの予定だ。なお、レースの最新情報は主催者ぺーージにて確認されたい。

レース主催者ページ:https://www.africarace.com/en

AFRICA ECO RACE

Africa Eco Race, Le seul Rallye Tout Terrain africain qui arrive à Dakar

https://www.africarace.com/en