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自衛隊新戦力図鑑

トマホークとは、どんなミサイルなのか?

訓練は3月25~29日の日程で行なわれた。アメリカ第7艦隊所属のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「マッキャンベル」(DDG85)の戦闘指揮所において実際の運用を想定した発射訓練を実施。あわせて、トマホークの構造や発射機構に関する座学もなされたと報じられている。

3月末、トマホーク導入に向けて海上自衛官たちがアメリカ海軍のミサイル駆逐艦に乗艦し、その運用について実地訓練を受けた。U.S.Navy Photo by Petty Officer 1st Class Charles Oki

日本は今年1月にアメリカとの間にトマホーク取得の契約を締結し、最大400発が2025年度から2027年度にかけて納入される予定だ。トマホークは80年代からアメリカ海軍が配備している巡航ミサイルであり、年配の方は湾岸戦争(1991~92)でペルシャ湾上のアメリカ戦艦から発射され、イラク国内の地上目標を攻撃したことを記憶されているのではないだろうか。

さて、このように書くと「40年前の旧式兵器なのでは!?」と思う方がいるかもしれない。実際、「アメリカの中古兵器を押し売りされた」といった批判をする人も見受けられる。だが、その考えは正しくない。トマホークは誕生以来、改良と発展を続けており、日本が導入するのは2006年より運用が開始された現行型の「ブロックIV」と、2021年に配備が開始されたばかりの最新型「ブロックV」だ(「ブロック」とは生産モデルの「区切り」を意味し、それぞれ「4番目/5番目の改良型」くらいに捉えていただきたい)

長い運用実績で証明されてきた高精度な誘導システムに加え、ブロックIVは双方向の衛星データリンクを介して、発射後に指揮官が目標変更の指示を出したり、逆にミサイルが捉えたデータを司令部に送ったりすることもできる。これら機能面での大きな進歩があったことから、ブロックIVは、それ以前と区別する意味で「タクティカル・トマホーク」とも呼ばれている。ブロックVは、さらなる発展型として移動目標を攻撃できるセンサーを搭載。洋上の敵艦艇も攻撃可能となり、運用の幅を大きく広げた。日本が導入するトマホークは、間違いなく最新モデルである。

海上自衛官たちへの訓練には、エマニュエル駐日アメリカ大使や第7艦隊司令官ケイチャー中将が視察に訪れた。日本のトマホーク導入が、単なる新型ミサイル導入にとどまらず、日米両国にとって大きな意味を持つことがわかる。U.S.Navy Photo by Petty Officer 1st Class Charles Oki

トマホーク導入で自衛隊の能力が一変する

では、トマホーク導入には、どのような意味があるのか? まずひとつに、これまでにない長射程のミサイルを日本が獲得するということだ。既存の陸海空自衛隊のミサイルで射程がもっとも長いと推定されているのが12式地対艦誘導弾の約200kmである。これに対してトマホークは1600kmであり、仮に九州に置いたとしても朝鮮半島全域と中国の東シナ海沿岸部まで射程におさまる。

ふたつ目として、「敵基地攻撃能力」の獲得がある。すでに述べたとおりトマホークは「対地」巡航ミサイルであり、地上目標を攻撃する。これは過去に自衛隊が持ったことのない能力であり、きわめて大きな変化であると言えるだろう(ただし、実行するにはリアルタイムの目標情報取得が必要であり、ミサイルを持つだけでは不充分である)。

トマホーク・ブロックIVは射程1600kmを誇る。これほどの長射程ミサイルは過去に自衛隊が保有したことはない。また地上目標への精密攻撃能力も、同様に自衛隊には前例がない。トマホークの導入で自衛隊の役割は大きく変わろうとしている。U.S.Navy Photo by Ensign Sean Ianno

高まる中国の脅威に、どう向かい合うのか

日本は当初、2026年度よりブロックV×400発の取得を計画していたが、ブロックIVとブロックVをそれぞれ200発とすることで一年早い2025年度からの導入に切り替えた。わずか一年ではあるが、導入を急いだ背景に、中国の脅威がこれまでになく高まっているという危機感があることは間違いない。質・量ともに増強著しい中国に対して、その侵略的意図を挫き、紛争を抑止できる体制づくりを自衛隊は急ピッチで進めている。

トマホークはイージス艦に搭載される。写真はイージス艦である護衛艦「あたご」。現在、海上自衛隊には合計8隻のイージス艦が就役している。今後さらに2隻が建造される計画である。写真/海上自衛隊

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