連載

自衛隊新戦力図鑑

小柄な船体に多彩な機能を備える「もがみ」型

「もがみ」型は、次世代の護衛艦として2022年に1番艦が就役して以降、ハイペースで配備が進んでいる。対レーダー・ステルス性を高めるため、艦の側面は船体から上部構造までが傾斜した平面で構成され、各種の通信用アンテナ等も巨大な1本角の「NORA-50複合通信空中線」に集約されている。

小型の船体ながら、多機能性が追求されており、対潜・対空・対水上戦闘に幅広く対応することが期待されている。特に、これまで掃海艦艇が担っていた機雷戦能力を、護衛艦として初めて備えている点は注目に値する。

1番艦「もがみ」。「もがみ」型は省人化・自動化が進んでおり、乗員は90名に抑えられている。ほぼ同サイズの「あさぎり」型の乗員が220名、より小型の「あぶくま」型でも120名だった。

そして、この「もがみ」型が日本のみならず、オーストラリア海軍にも採用される可能性が高まっている。オーストラリアが進めている水上戦闘艦増強計画において導入される次期フリゲートの最終候補として、日本の「もがみ」型と、ドイツの「MEKO A-200」型が選ばれたことが明らかになったのだ。

オーストラリア海軍は今後10年で戦力を倍増させる

オーストラリアは2024年2月に、大規模な水上戦闘艦増強計画を発表した。これは現在の11隻体制から、2倍以上の26隻に拡充するというものだ。増大する中国の脅威、そして技術発展や紛争の多様化により、地理的孤立というオーストラリアの国防上の利点は薄れつつあり、同国は国防戦略の大幅な見直しに踏み切ったのである。

オーストラリア海軍の主力艦である「ホバート」級イージス駆逐艦1番艦「ホバート」。スペインの「アルバロ・デ・バサン」級をベースに建造されている。計画ではトマホーク・ミサイルの搭載が予定されている(写真/アメリカ海軍)

現在、同国海軍は「ホバート」級イージス駆逐艦3隻と「アンザック」級フリゲート7隻を保有しているが、増強計画は以下の通りだ。

・「ホバート」級3隻はイージス・システムのアップグレードと、トマホーク・ミサイル搭載のための改修を受ける。

・新たに「ハンター」級対潜フリゲート6隻を建造する。

・退役する「アンザック」級に替わり、汎用性の高い新型フリゲートを11隻導入する。

・無人運航も可能な新型水上艦6隻を導入する。同艦は長射程ミサイルを搭載し、艦隊の長距離攻撃能力を増強する。

オーストラリア海軍の「アンザック」級フリゲート3番艦「ワラムンガ」。ツクシのような構造物はCEAFAR多機能レーダー。すでに1、2番艦は退役している(写真/アメリカ海軍)

上記のうち、「アンザック」級に替わる新型フリゲートの最終候補に、「もがみ」型をベースとした能力向上型(日豪共同開発)が選ばれた。そもそも、「アンザック」級がドイツの「MAKO 200」型であるため、同系統の発展型である「MAKO A-200」型が有利との下馬評もあるが、日本は官民一体の合同推進委員会を立ち上げるなど、売り込みに力を入れている。仮に実現すれば、日本の防衛装備による初の輸出事例となる。

合同推進委員会の会場に置かれた模型。「もがみ」型の能力向上型だろうか? 「もがみ」型で後日装備とされた垂直発射装置(VLS)が確認できる(写真/防衛省)

オーストラリア国防省は計画の発表に添えて、「オーストラリアの社会と経済は海上貿易路や海底ケーブルなど、公海へのアクセスに依存している。繁栄の基礎となる海上連絡路の安全と安定を、海軍は確保しなければならない」という副首相の言葉を添えている。まさに日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」の考えに一致するものであり、艦艇共同開発が実現するなら、その関係をより深化させる大きなきっかけとなってくれるだろう。

一角獣? “新世代” ステルス艦「もがみ」型護衛艦が続々登場【自衛隊新戦力図鑑|海上自衛隊】

一度見たら忘れない外観。徹底的なステルス処理を施したのは新世代の護衛艦「もがみ」型だ。コンパクトな艦体に従来装備に加え機雷戦能力も盛り込み、多様な任務に対応可能な多機能性が特徴。先進的な設計で省力化・省人化も図る。海上自衛隊はこの、もがみ型を全22隻、整備する計画を進めている。 TEXT&PHOTO:貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

https://motor-fan.jp/mf/article/91199

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