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大部分を平面で構成し傾斜させた艦体
護衛艦「もがみ」型は、海上自衛隊が整備を進めている最中の新しいタイプの護衛艦だ。
まずなんといっても、徹底的なステルス対策が施された外観に惹きつけられる。一度見たら忘れないフォルムだと思う。
この姿に先進性や機能性などを感じ取り支持したり共感を覚えるかたもいれば、いっぽうで、これを特異な姿と感じ、従来の護衛艦が持つ佇まいとは正反対の印象に戸惑うかたもいるだろう。
どちらにしても存在感はとにかく大きい。
ステルス性能を追求した艦体は、レーダー反射を抑えるため外側の大部分を平面で構成し傾斜させている。マストやアンテナ類など外部露出するものは極力カバーする処理が徹底された。
これで全体にノッペリした印象になり、従来の海自艦艇で馴染んだ艦影の記憶とはかけ離れる。この外観が見る者の印象を大きく左右する。
そして特徴は外観だけにとどまらず、内部には多数の新技術や装備などが盛り込まれている。
新しさは見た目だけにあらず
新規性は呼び名にも表されている。
海自でその艦艇を表すものに「艦種記号」がある。文字どおり艦艇の種類を表す記号だ。
これまで海自護衛艦には、汎用護衛艦を表す「DD(Destroyer)」や、沿岸用護衛艦を指す「DE(Destroyer Escort)」などの艦種記号を与えられていた。
これが「もがみ」型では「FFM(Frigate Mine Multipurpose)」という新しい艦種記号になっている。意味は「フリゲイト(Frigate)」を示す「FF」、これに機雷戦(Mine warfare)や多目的任務対応(Multiple)を表す「M」を加えたものだという。ちなみに「フリゲイト」の定義は多様なようだが、おおむね駆逐艦(Destroyer)より小型のものを指す。
「M」にふたつの意味をもたせたことがポイントだ。機雷戦能力を持ち、多様な任務に対応する護衛艦を示している。
もがみ型の整備計画では最終的に22隻を建造する予定だという。整備途中で改修する可能性も含まれるといわれ、この点も先進的だ。
では、武装を見ていこう
もがみ型の武装を見ていこう。
主砲には62口径5インチ(127mm)Mk.45 Mod.4単装砲を1基、遠隔操作型無人銃架を2基、17式艦対艦誘導弾4連装発射筒を2基、垂直発射装置(VLS)Mk.41を1基(16セル)、対艦ミサイル防御装置(SeaRAM)を1基、3連装短魚雷発射管を2基、機雷掃討具一式(UUV:機雷捜索用無人機、USV:無人機雷排除システム用水上無人機)、簡易型機雷敷設装置一式、これらを積んでいる。
コンパクトなわりに強武装といえよう。加えて、哨戒ヘリコプターSH-60J/Kを1機、搭載・格納が可能となっている。
心臓部となるエンジン、主機関には「CODAG(COmbined Diesel And Gas turbine)」方式を採用した。これは通常航行時にはディーゼルエンジンで走り、スピードが必要な場合はガスタービンエンジンも同時に使用する推進方式だ。
レーダーやアンテナ類は特徴的なマストに搭載されている。
もがみ型のマストは従来艦艇の設備とは異なり、メインマストに設置した器材ごとカバーで包み込む。従来艦のマストにはゴチャゴチャと各種の器材・機器類が取りつけられ、こうした物がいちいち相手のレーダーに反射する。
その結果、一角獣にも似た姿からユニコーン形などと呼ばれだしているようだ。
艦橋上部に四角錐状の塔を据えつけ、多機能レーダーOPY-2、潜望鏡探知レーダーOPS-48を装備する。さらにその上部に棒状のNORA-50複合通信空中線を設置。これがユニコーンに見えるものの主体。
NORA-50のアンテナ内にはTACAN(戦術航法装置)や電波探知妨害装置、洋上無線ルーター、データリンク装置、各種空中線を置いた。
次にソナー類。水中を見張り、情報の取得装置であるソナーはOQQ-25水上艦用ソナーシステムを積む。これはVDS(可変深度ソナー)やTASS(曳航ソナー)などの機能を持つ。
先進的なレーダーやソナーを使い、バイスタティック/マルチスタティック戦という行動をとることができるという。これは共同行動をとる僚艦や複数の味方艦艇とひとつの音源を共用することができるシステムだ。
操艦の場となるブリッジ(艦橋)には統合艦橋システムを積んだ。省力化・省人化を目的としたシステムでは操艦や監視を3名で実行できるという。ブリッジとは別の戦闘指揮所(CIC)では統合管制システムが全体をまとめて治め、戦闘関連部署の機能を統合し、360度の全周スクリーンでCICに詰めた全員が情報共有可能だという。