VIPや法人ユースがメイン。静粛性や乗り心地は一級品

ラグジュアリーで広い室内空間を誇るグランエース。ボディサイズは アルファード/ヴェルファイアを大きく上回るため、トヨタのミニバンのフラッグシップかと思いきや、位置づけが違うのだという。アルファード/ヴェルファイアは乗用ミニバ ンのトップであるのに対して、グランエースは法人ユースをメインターゲットとしたショーファー。空港やホテルでVIPの送迎に使うのが最もしっくりくるモデルなのだ。

エクステリア

2グレードを展開するが、見た目の違いはエンブレムのみ。全車 17インチアルミホイールを標準装備する。 随所にメッキ加飾を備えて、高級感も演出。
全長5300mm、全幅1970mmという堂々たる巨体の持ち主。全高は1990mmで、立体駐車場や高架下の桁下制限を少し気にしてしまうほどだ。その一方で最小回転半径は5.6mと意外に小さく、思ったよりも小回りがきく。テールゲートを開けたときに手が届きやすいようベルトも装備。ただ、残念ながら電動テールゲートは採用されていない。

ベースとなったのはASEANなど新興国向け商用車のハイエースで、 エンジンを車体前方に縦置きしたFRとなるためボンネットタイプとなる。モノコックだがアンダーボディがストレートラダー構造を備えた強固なつくりとなっているのが、過酷な使用状況にも耐えうる商用車らしいところだ。スライドドアの開口部 は1000mmに達するほど長く、3列シート6人乗りと4列シート8人 乗りが用意される。全長は5300 mmと長いが、前輪の切れ角が大きな FRのため、最小回転半径は5・6 mと優秀だ。ドアミラーがAピラー の付け根から離されて視界確保がされていることもあって、狭い路地でもボディの大きさを持て余すようなことはない。

乗降性

エンジンは、2・8lディーゼル ターボ。車両重量は2740kgと決 して軽くはないが、1600―240 0rpmの幅広い回転域で450 ものトルクを誇るから想像以上に力 強く走ってくれる。6速ATのギヤ 比も適切な設定で発進時は軽やかで 街なかから郊外路程度の速度域では動力性能に不満はまったくない。音 や振動はよく抑え込まれており、ディーゼル特有のガラガラ音などはほとんど耳に届かず、VIP送迎にも適した静粛性が確保されている。ただし、高速域では空気の壁を感じて 加速感が鈍ってくる。高速道路を走るなら走行車線を大人しく流すのが 無難だろう。

インストルメントパネル

高級ミニバンらしい表 皮巻きのメーターフー ドや木目調パネルを装 備。前後独立温度コントロール式オートエアコン、8 インチディスプレイオーディオなども標準装備される。

縦バネの硬い商用タイヤを履いているが、サスペンションがソフトタ ッチなので街なかから郊外路の速度 域での乗り心地は快適だ。各ピラー を結合した環状骨格構造にするなど ワンボックス型ながらしっかりと剛 性が確保されたボディによって、サ スペンションがしなやかに動いているからこそ上質な乗り味になっているのだろう。タイヤのパターンノイズもよく抑え込まれている。

居住性

ただし、高速道路はあまり得意ではない。100km 付近になると横 風や路面の荒れといった外乱に弱く、 ステアリング操作による進路修正を強いられるようになる。低・中速域 での快適性に特化したモデルであって、グランドツーリング性能はあま り考えられていないのだろう。圧倒的な存在感や豪華なインテリアに惹 かれて個人ユーザーとしてグランエースの購入を検討するのはアリだが、 休日は高速道路を使ってレジャーを 楽しむという用途を考えているのな ら、乗用ミニバンのアルファード/ ヴェルファイアの方が向いていると言えるだろう。とはいえ、高速道路以外の快適性は圧倒的。オットマン付きキャプテ ンシート4脚を備える6人乗りなら ば、4人のVIPに最高のおもてな しができるなど、他にはない独自の魅力をもっているのは確かだ。

うれしい装備

「Premium 」のエグゼクティ ブパワーシートは、電動オットマンのほか、カップホルダー付きの大型アームレストを装備。シートの間に折り畳み 式のサイドテーブルも備わり、 快適空間を実現。
クルマに近づくと同時にスラ イドドアが解錠し、自動でオ ープンするウェルカムパワー スライドドアを採用。逆にス ライドドアが閉じると同時に 施錠する予約ロック機能も備 わり、利便性を高めている。
月間登録台数   31台(21年6月〜11月平均値)
現行型発表    19年1月(一部改良21年6月)
WLTCモード燃費  10.0km/l  

ラゲッジルーム

圧倒的な存在感や豪華なインテリアに惹かれて個人ユーザーとしてグランエースの購入を検討するのはアリだが、 休日は高速道路を使ってレジャーを 楽しむという用途を考えているのな ら、乗用ミニバンのアルファード/ ヴェルファイアの方が向いていると 言えるだろう。とはいえ、高速道路以外の快適性は圧倒的。オットマン付きキャプテ ンシート4脚を備える6人乗りなら ば、4人のVIPに最高のおもてなしができるなど、他にはない独自の魅力をもっているのは確かだ。

精悍な意匠と豪華さ際立つ「ヴェルファイア“ゴールデンアイズ”【最新ミニバン車種別解説】

LLクラスのミニバンブームをアルファードとともに牽引してきたヴェルファイア。トヨタの販売戦略上、一時のような存在感は影を潜めているものの、それはあくまでキャラクターイメージの話。その中身は今でも、あまたのライバルを寄せつけない、アルファード/ヴェルファイアクオリティそのものである。 REPORT:岡島裕二(本文)/山本晋也(写真解説)PHOTO:平野 陽 MODEL:森脇亜紗紀

https://motor-fan.jp/mf/article/68234/
盤石の地位を確立したキング・オブ・ミニバン、アルファード/ヴェルファイア(アルファード編)【最新ミニバン車種別解説】

日本を代表するミニバン「アルファード」は2015年1月の現行モデル登場以来、7年以上を経た現在でもその人気と実力は衰えることを知らない。上級ファミリーカーとして、また、エグゼクティブの足としても圧倒的な人気を誇る「憧れミニバン」ナンバーワンブランド。そんなアルファードの試乗インプレッションから使い勝手まで、詳細にレポートしよう。 REPORT:青山尚暉(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:中野幸次 MODEL:新 唯

https://motor-fan.jp/mf/article/68582/

「2022年 最新ミニバンのすべて」モーターファン別冊 統括シリーズVol.139|最強のクルマバイヤーズガイド【モーターファン別冊 ニューモデル速報】公式サイト

モーターファン別冊 統括シリーズ Vol.139「2022年 最新ミニバンのすべて」/2022年1月19日発売。

http://motorfan-newmodel.com/integration/139/

※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.139「最新ミニバンのすべて」の再録です。掲載データは作成時点での参考情報です。