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ヤマハシグナスXはガソリン満タンでどこまでイケる？　東京・日本橋から京都をめざす東海道ガス欠チャレンジ第2弾！[1日目]

ヤマハシグナスＸでガス欠するまで走ってみた。｜東海道ガス欠チャレンジ [Part01]

2022.01.26 14:55 2025.08.01 05:40 更新

by AFO RIDER タカハシ

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ラッシュアワーの快速キング、ヤマハシグナス。ヘタレAFO RIDERタカハシが、このマシンで東京・日本橋から京都を目指し、満タンきっちり使い切りの東海道ワンウェイ・アタックに臨む。新型シグナスグリファスが発売されたいま、あえての旧型シグナスＸでチャレンジだ！！

REPORT●AFO RIDER タカハシ(AFO RIDER Takahashi)
PHOTO●高橋克也(KATSUYA Takahashi)
ILLUSTRATION●高橋克也(KATSUYA Takahashi)

125ccのシティコミューター、東海道に挑む！

東海道／ヤマハ／シグナスX／ガス欠／日本橋／AFOライダー／タカハシ — 出発の地は毎度おなじみ東京・日本橋。500kmの彼方、京都をめざし、ガソリンワンタンクを頼りに東海道をひた走る。

夜明け前から気合マックスで準備したのに、モタモタしてたら日本橋を走り出したのは午前10時。すっかり日が高くなってからの旅立ちになってしまった。

東海道／日本橋 — 日本橋を守る獅子像は、奈良県・手向山八幡宮の狛犬なんかを参考に作られた。東京市(現在の東京都)の紋章を得意げに踏んづけてるが、ホントにこれでよかったのか東京市……。

今回タカハシが乗っているのはヤマハシグナスX。2021年冬に水冷をエンジン搭載した新型マシン、シグナスグリファスが登場したが、シンプルな空冷エンジンと車体の軽さでシグナスXは、通勤バイクとしてまだまだまだまだ！市民権を得ている。そして今回の舞台となる日本橋あたりの東海道は、誰もが知ってるとおり旧街道とは名ばかりの無機質なビル街の一角にすぎず、もちろん旅情のカケラもない。

東海道／ヤマハ／シグナスX／ガス欠 — 東海道に挑むのは、ヤマハシグナスX。2021年12月に新型シグナスグリファスがデビューするまで、長年にわたり通勤・通学ライダーから熱い支持をうけてきたマシンだ。

栄えた街が失ったもの

東海道／東京都心 — 都心の東海道は、建ち並ぶ高層ビルの間をゆく、おもしろくも何ともないただの道路だ。

おおまかにいえば東海道は、日本橋から京都へ向かう国道１号のことだ。だが旧東海道と現在の国道１号には、あちこちにズレがあるのも事実。人馬がゆるゆる行き交ったかつての街道を、大型トラックがぶっ飛ばす自動車道路に作り直したんだから、多少のルート変更があったとしても無理はない。

東海道／東京都 — 東京都大田区を抜ける国道１号。平凡きわまる幹線道沿いに平凡きわまるチェーン店が並ぶ。でも少なくとも快晴・快適だ。

東海道川崎宿もそのひとつ。旧街道の宿場は、現在の国道１号と並行して走る国道15号側に2kmほどはずれたところにある。
市街地をダラダラ走るだけじゃ退屈だから、川崎宿の本陣(大名などが泊まった最高級の宿)、田中本陣跡に立ち寄った。かつて江戸の浮世絵師、安藤広重は、この川崎宿を東海道のイケてるスポットのひとつとして美しく描きだしている。

東海道／ヤマハ／シグナスX／ガス欠／安藤広重／五十三次／川崎／イラスト — 広重ちゃんが描いた江戸の人たち。のんきに六郷渡舟を利用中。当時の六郷は江戸への最後の関所で、ここで多くの旅人が「いよいよ江戸に入るぞ！」と意気込んだ。今でも神奈川県民は、多摩川を渡るこの地で「いよいよ東京に入るぞ！」と身構えるとかしないとか♪

だが、200年近く経った現代の川崎宿はすっかり変わり果て、ごく控えめに行儀よく表現しても、せいぜい「無味乾燥でめっちゃつまらないただの道ばた」と化していた。

東海道／ヤマハ／シグナスX／ガス欠／川崎宿／AFOライダー／タカハシ — 令和の川崎宿に嘆きも漏れる。おまえ、とうとうこんな板切れ一枚になっちまったのか。昔はよかったよな。オレたちもう歳くっちまったんだよな、川崎宿……。

かつての宿場の面影は、川崎の町からきれいさっぱりデリートされている。商店街の片隅に取り残されたような石の道標が、かすかに往時のなごりを感じさせていた。
ろくに見るもののない川崎宿にがっかりして再び走り出したとたん、6つあるフューエルメーターの目盛りがひとつ減った。日本橋から25.3km地点のことだ。

ほどなく東海道は川崎市を抜け、横浜市に入った。フューエルメーターの目盛りはさらに減って残り4つに。
だいぶ暴力的なペースでガンガン激減りしてる気もするが、一目盛り減ったかと思うと、次の瞬間にはまたフラッと元に戻り、そのままけっこう走れたりもするから、メーターの表示なんて、けっこうアバウトな単なる目安だと思っておくほうがよさそうだ。

タカハシとシグナスXは、国道１号をひたすら西へ。途中でMのマークが目印の量産型ハンバーガーを胃に詰め込んだほかは、わき目もふらず走り続けた。

タカハシのミッションは、東海道を東京から京都までワンタンクのガソリンで走りきることだ。タカハシ的には別にやりたくもないし、そもそもたいていのバイクは京都に辿り着けないんじゃないかとも思うが、編集のモジャ山田ヒゲ男くんが、どうしても京都へ行け、そして早く原稿をあげろといって、夜ごと執拗に電話してくる(のがめっちゃ怖い)からやむを得ない。
が、さすがの鬼編集・モジャ山田くんだって、多少の寄り道なら見逃してくれるだろう。ちょっとズルをして国道１号を離れ、藤沢から南に折れて県道308号で海岸に出ることにした。

ここは湘南、オシャレ人類(←クソが！)の聖地

東海道／ヤマハ／シグナスX／ガス欠／湘南／江の島 — 確証はないが、これがおそらく幻の江の島だろう。ググッてみようとしたとき、背中を丸めて砂浜に座り込む男性を発見。きっと彼も湘南初心者で、スマホで江の島を検索しまくっているに違いない。

太陽がいくらか黄色っぽくなってきた16時、湘南・辻堂海岸にバイクを停めた。聞きなれた昭和の俗謡の一節のまま、たしかに江の島が遠くにボンヤリ寝ている。

このステキな絵ヅラの中にうっかりタカハシが入り込むと、へたすると核反応とか起きちゃいそうで足がすくむ。

自慢たらしく白い歯をキラキラさせたサーファーや、キャッキャウフフ系おしゃれ女子がそぞろ歩くこの海岸は、たそがれのAFOライダーには目を射るばかりに眩しい。今も昔もタカハシには金輪際まるっきり縁もゆかりもツテも思い出のカケラすらもない、サザンオ〇ルスターズ的世界観が一点突破全面展開するウルトラ異空間だ。