2024年-2025年のカー・オブ・ザ・イヤーおよびRJCカー・オブ・ザ・イヤーのインポート部門で二冠を達成した第4世代となる新型MINI。発表以来、さまざまなボディタイプや電動モデル、そしてハイパフォーマンスモデルである「ジョン・クーパー・ワークス(以下JCW)」を追加し、ラインナップを拡大してきた。

4代目登場!進化した「MINIクーパー3ドア」が上陸! 日本では初となるEVモデルもラインアップ

ビー・エム・ダブリューは3月1日、フルモデルチェンジを受けて四代目となった新型MINIクーパー3ドアを発売した。税込車両価格は396万円〜531万円で、納車は第2四半期以降の予定。

https://motor-fan.jp/mf/article/205148
新型MINIは2024年3月に日本発売。

さらに今回、2モデルが追加されMINIは伝統的に「MINIの日」とする3月2日にニューモデルや特別仕様車を発表してきたが、2025年はカレンダーの都合もありちょっと早めの2月26日の発表となったのはご愛嬌だ。

発表会の会場には2台の新型の間に、クラシック・ミニのモンテカルロ優勝車レプリカも配置された。現代のMINIと並ぶとそのコンパクトさが際立つ。

新たに追加された電動「JCW」2モデル

MINIはグループであるBMWと同じく、さまざまなボディタイプとマルチなパワートレイン展開を掲げてラインナップを展開している。
新型ミニにおいても、3ドア、5ドア、コンバーチブル、SUV/ワゴンのエースマン、AWDも設定するカントリーマンの5モデルを揃え、パワートレインはガソリンエンジンはもちろん、今世代からは電動モデルも用意された。

新型MINIのボディラインナップ。

また、MINIには伝統的にハイパフォーマンスモデル「ジョン・クーパー・ワークス(JCW)」をラインナップ。新型MINIにも随時追加され、3ドア、コンバーチブル、カントリーマンに設定されていた。
今回、JCWの電動モデルとして「ジョン・クーパー・ワークスE」と「ジョン・クーパー・ワークス・エースマンE」が追加されることになった。

JCW Eとクラシック・ミニ。左から長谷川正敏ビー・エム・ダブリュー株式会社代表取締役社長、同・山口智之MINI本部長、同・福島絵里MINIプロダクト・マーケティング・プロダクト・マネージャー。

エクステリア

JCW E

基本的に既存モデルの3ドア系がヘッドライトを含む丸型デザイン、エースマンがSUV系の角型デザインは踏襲され、そこに電動モデルとしての変更とJCWとしてのテイストを盛り込んだスタイルになっている。

JCWエースマンE

■JCW E
3ドアJCWの電動モデルとなるのがJCW E。基本的にはスタイルはガソリンエンジン車のJCWを踏襲するが、電動モデルらしく開口部の無いフロントグリルや完全にフラットになるアンダーフロアに加え、ホイールもフラットな専用モデルを装着する。

ボディサイズは全長3860mm×全幅1755mm×1460mm、ホイールベース2525mm。

ガソリンエンジン車同様にキャビンスペースが後方に向かって絞り込まれ、リヤフェンダーのマッシブさが強調される。プレスラインを設けないシンプルなサイドビューもMINIらしいデザインテイストだ。

また、ガソリンエンジン車と同様の意匠ではあるが、新デザインのJCWロゴとチェッカーフラッグデザインを各所にあしらいハイパフォーマンスモデルであることをアピールしている。

電動モデルらしく開口部の無いフロントグリル。フラットなアンダーフロアと合わせてCd値は0.27を達成。ガソリンエンジン車の0.32を大きく上回る。
クーパーモデル伝統のボンネットストライプはチェッカータイプのグラデーション。有無はもちろん、カラーも選択可能だ。
伝統のユニオンジャックシグネチャーのテールランプ。リヤゲートにもチェッカー柄をあしらう。
リヤウインドウサイドまで回り込んたルーフスポイラーはバーチカルフィン付き。

JCW E専用デザインのアルミホイールもチェッカーフラッグデザインがあしらわれ、デザインで8本スポーク風に見せている。ブレーキキャリパーもレッドに塗装され、足まわりのアクセントに。

フラットなアンダーフロア。
専用デザインのアルミホイール。撮影車は225/40R18サイズのハンコックiON evoRを装着。

ボディカラーはチリ・レッドII、ナノク・ホワイト、レジェンド・グレー、インディゴ・サンセット・ブルー、ミッドナイト・ブラックIIの5色を設定。グレーとブラックのみ、ルーフとミラーをチリ・レッドIIとするツートーン仕様が選べる(撮影車)。

■JCWエースマンE
MINIの5ドアよりさらにSUVテイストなエースマンは今の所電動モデルのみで「エースマンE」「エースマンSE」をラインナップ。そこに、ハイパフォーマンスモデルとしてJCWが設定された形だ。

ボディサイズは全長4080mm×全幅1755mm×1515mm、ホイールベース 2605mm。

ホイールアーチはフロントバンパー、ボディサイドと連続するクラッディングでSUVテイストを強調しているのはこれまでのエースマンと同様。異形角型ヘッドライトや厚みのあるフロントセクションなどが力強い印象を与えている。

また、JCWエースマンEにもやはりJCW E同様にボンネットストライプが入るが、その形状は異なっている。撮影車はツートーンルーフのレッドが後方に向けてグラデーションになっていた点もJCW Eとの違いだ。

チェッカーデザインのボンネットストライプは同様だが、JCW Eとは異なるデザイン。
ホイールもJCWエースマンE専用デザイン。225/40R19サイズのハンコックはJCW Eと同様。

ホイールはJCW E同様に空力を重視したフラットなデザインだが、JCWエースマンEの専用モデルになっており、JCW Eのスクエアデザインに対し太めの5本スポークのペンタゴナルデザイン。チェッカーパターンは入らず、レッドのラインがアクセントになっている。
なお、ボディやストライプなどのカラー設定はJCW Eと同様だ。

インテリア

■JCW E
ブラック/グレーを基調にレッドのアクセントカラーをあしらったスポーティなインテリアはガソリンエンジン車のJCWと同様。

JCW Eのインストゥルメントパネル。ダッシュボードにはヘッドアップディスプレイが備わる。

コンソール中央の大径有機ELディスプレイは丸型でMINIのインテリアアイデンティティを継承。スイッチ類は極力減らず一方、要所には扱いやすい物理スイッチを使用することでドライバーフレンドリーなユーザーインターフェースを実現している。

センターコンソールの丸型有機ELディスプレイは大画面。その下にエアコンやハザードランプなどの物理スイッチが備わる。

ダッシュボードの助手席側はレッドのチェッカーがあしらわれているが、運転席側はディスプレイ裏から投影されるグラフィックで、カラーやパターンを変更できる。

6時方向のスポークが布製というオリジナリティあふれるステアリング。スイッチ類もシンプルだ。
ダッシュボードに投影されるグラフィック。撮影時はレッドの格子模様だった。
ドアトリムのデザインやレイアウトもシンプル。オーディオはハーマンカードン製を装備。
ステアリングの6時スポークや、センターコンソールボックスのオープナーなどを布製ベルトとしていたり、ダッシュボードにレザーベルトの装飾を施すなど、凝った演出でドライバーの気分を盛り上げるコックピット。

フロントシートもベスキン/コードのコンビネーションにレッドステッチ、ヘッドレスト部にレッドのラインが入るJCW用シートを装備。なお、JCW Eは他の3ドアモデルと同様に、リヤシートは2名掛けで乗車定員は4名だ。

JCW Eのフロントシート。
JCW Eのリヤシート。

■JCWエースマンE
インテリアはエースマンシリーズのデザインを、JCWのテイストで演出。ダッシュボードのレッドチェッカーや6時ベルトスポークのステアリングなどはJCW Eと共通のあしらい。
円形の有機ELディスプレイやセンターコンソールのインターフェース、センターコンソールボックスなどはMINIシリーズ共通のレイアウトだ。

JCW Eでは助手席側にあったベルト装飾が、JCWエースマンEでは運転席側に。

室内容量も重要な5名乗車を前提としたワゴンテイストなボディということもあり、やや切り立ったダッシュボードはむしろクラシック・ミニを感じさせる。

運転席側ダッシュボードに投影されるグラフィック。色やパターンの変更が可能。
ドアトリム自体はシンプルながらドアハンドルなどのデザインがJCW Eよりも凝っている。

フロントシートはJCW Eと同様。リヤシートは3名掛けとなり乗車定員は5名となる。エースマンE/ESと異なり、リヤシートにもレッドのステッチが施され、JCWとして共通のイメージでまとめられている。

JCWエースマンEのフロントシート。
JCWエースマンEのリヤシート。

ユーティリティ

トランクルームはJCW Eは3ドアJCW、JCWエースマンEはエースマンEおよびエースマンSEと同様のサイズと仕様になっている。背もたれは6対4分割可倒式で、トランクルームの拡大が可能。

JCW Eのトランクルーム。
JCWエースマンEのトランクルーム。

充電口は左右リヤフェンダーに設置されており、右側が普通充電、左側が急速充電となっている。90kWの急速充電を使えば、充電時間は10%から80%までで約30分だ。

右リヤフェンダーの普通充電口(JCW E)。
左リヤフェンダーの急速充電口(JCW E)。
右リヤフェンダーの普通充電口(JCWエースマンE)。
右リヤフェンダーの急速充電口(JCWエースマンE)。

さらに、日本仕様は全車パノラマガラスサンルーフを装備するのだが、発表会の展示車両は未装着の海外モデルだった。

日本仕様ではJCW EとJCWエースマンEに標準装備となるパノラマガラスサンルーフ(PHOTO:MINI)

パワートレイン

パワートレインはJCW E、JCWエースマンE共通で、定格出力75kWのモーターに54.2kWhのバッテリーを組み合わせる。
最大出力170kW・最大トルク380Nmを発揮し、0-100km/h加速はJCW Eで5.9秒、JCWエースマンEで6.4秒となっている。

JCW Eのエンジンルーム。

また、一充電あたりの航続距離はWLTCモードでJCW Eが421km、JCWエースマンEが403kmといずれも400kmを超える。

JCWエースマンEのエンジンルーム。

電動車ならではギミックとして、ステアリングの右スポーク奥に設置された赤いスイッチが「Eブースト」が用意される。このスイッチを押すと約20kWのパワーが10秒間ブーストされるというもので、ゼロ発進や追い越し加速などモアパワーが欲しい時はもちろん、スポーティなドライビングを楽しむ際のスパイスにもなる。

「Eブースト」スイッチ。写真はJCWエースマンEだが、もちろんJCW Eにも搭載されている。

スペックと価格

MINIジョン・クーパー・ワークスEおよびMINIジョン・クーパー・ワークス・エースマンEのスペックと価格は以下のとおり。

グレードジョン・クーパー・ワークスEジョン・クーパー・ワークス・エースマンE
ボディタイプ3ドア5ドア
全長3860mm4080mm
全幅1755mm1755mm
全高1460mm1515mm
ホイールベース2525mm2605mm
定格出力75kW
最高出力190kW
最大トルク350Nm
バッテリー容量54.2kWh
0-100km/h加速5.9秒6.4秒
航続距離(WLTC)421km403km
価格616万円641万円
諸元と価格

ジョン・クーパー・ワークスEの性能は、最大出力170kW・最大トルク380Nm・0-100km/h=6.1秒のガソリンエンジンモデルに遜色なく、最大出力233kW・最大トルク400Nm・100km/h=5.6秒を発揮するジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンにこそ及ばないものの、ジョン・クーパー・ワークスシリーズの中ではトップクラスの性能と言えるだろう。

MINIジョン・クーパー・ワークスシリーズの性能比較。

価格はJCW Eが616万円。JCWエースマンEが641万円といずれも600万円台。ジョン・クーパー・ワークス・カントリーマンの677万円ほどではないが、やはりプレミアムな価格設定となっている。

電動モデルに関しては自治体の助成制度が適用され、2024年度の東京都江東区の例では国、都、区を合計すると120万円ほどの助成が受けられる。2025年度の金額については未発表だが、もし同程度ならJCW Eは500万円を下回り、ガソリンエンジン車より30万円以上お買い得ということになる。

JCW E

発売は発表日であった2月26日。デリバリーは2025年第2四半期(4月〜6月)を予定しているという。

好調MINIのさらなる展開

MINIは2024年-2025年の二大カー・オブ・ザ・イヤー(インポート部門)獲得に加え、2024年の販売実績は1万7165台(JAIA調べ)と好調を維持。輸入車では9年連続ナンバーワンというから驚きだ。

なお、MINIの電動モデルの展開に合わせて、全国のMINIディーラー全店への急速充電器(90kWh)の設置が進めおり、ガソリンエンジンモデルはもちろんのこと電動モデルの販売も促進していく。