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メグロK3の発売をきっかけに有志の手によってスタート
皆さんは「メグロ」というブランドをご存じだろうか。今からちょうど100年前の1924年(大正13年)に創立した日本の二輪メーカーで、東京都品川区大崎本町に本社社屋と工場が隣接してあった。目黒駅や目黒不動尊、目黒競馬場などが近かったことから、社名を「目黒製作所」とした。庶民の足としてのコミューターが求められていた時代に、大排気量車の可能性を追求していた数少ない国内メーカーで、ワークスマシンを製作してレースにも積極的に参戦。外国車を相手にたびたび勝利するほど技術力が高く、情景の念を抱くライダーが非常に多かった。
1960年に当時の川崎航空機工業と業務提携を結び、その後は吸収合併により目黒製作所は消失するのだが、何人もの優れた技術者がカワサキへ籍を移し、後にZ1などの名車を次々と生み出している。
3年前の2021年2月、カワサキがW800をベースとした「メグロK3」を発売し、メグロブランドの復活を宣言。このプロモーションビデオが、かつて目黒製作所の工場があった那須烏山市で撮影されたことから、市でも何かできないかと商工会や観光協会の有志が立ち上がり、2021年11月に初めて開催されたのが「メグロ・キャノンボール那須烏山」だ。会場は市内にある山あげ会館で、今年は11月3日(日)に開催された。
メグロのオーナーも、それを見に来るライダーもまたマニアック
参加資格はメーカー・車種ともに制限はなく、徒歩でも入場可能とあって、参加者は年々増えている。主催者の発表によると、二輪車の入場台数は第2回の2022年が237台(うちメグロは89台)、2023年は270台(同102台)、そして今回は383台(同138台、うちメグロK3は54台)とのこと。これに伴い来場者数も100名ずつ増えており、今年はおよそ800名が集まったのだ。
当日の主なイベントは、11:00からの歓迎セレモニー、12:30からの市内パレード、そして13:30からのメグロ百周年記念セレモニーの三つだ。昨今の二輪イベントにありがちな、レーシングライダーや有名インフルエンサーが登壇してのトークショーやじゃんけん大会といった華々しいものは一つもない。しかし集まった人たちは、たくさんの新旧メグロやマニアックなバイクを眺めたり、そのオーナーたちとの交流を主な目的としているので、何ら不満がない様子だ。そして、会場を上品なムードにしているのがジャズの生演奏で、だからこそ市民に歓迎されているのだろう。
このイベントに協力しているカワサキモータースは、発売前のメグロS1やW230を展示するなど大盤振る舞い。その隣には、町をあげてレストアしている1949年製のメグロZ号や、映画『ゴジラ-1.0』の劇中車も並んでいた。ちなみに、このイベントの二日前に金曜ロードショーで同作品が本編ノーカットで放映されており、実にタイムリーでもあった。
パレードランには約270台が参加、町全体がお祭りムードに
歓迎セレモニーと集合写真の撮影が終わると、このイベントのメインとも言えるパレードランがスタートした。那須烏山市内のルートおよそ13kmを走るもので、メーカーや車種に制限はないことから、参加台数は昨年の約180台から今年は約270台に増えたとのこと。
このメグロ・キャノンボール那須烏山は来年も開催予定とのことだが、メグロS1が発売されたことでさらなる来場者の増加が見込まれることから、山あげ会館よりもキャパシティのある会場も検討中とのこと。これについては決まり次第、モーターファンバイクスでお知らせしたい。