1976年発売のベース車両「XT500」はヤマハのビッグシングル、SR400/500の母体! モト・ライダー誌が仕掛けた幻の「XT-S 500ロード・ボンバー」のベース車としても有名

写真左)ヤマハXT500をベースにしたダートトラック風カスタム  写真右)ワンオフフレームにトレールモデルのヤマハXT500用エンジン(ノーマル)を搭載したXT-S 500ロード・ボンバー
2024年12月1日(日)にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された日本最大級のカスタムカー&カスタムバイクイベント「ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー(HCS)2024」。32回目を迎えるこのイベントには、ビルダーたちが手掛けたハイレベルな作品が全国から集結。写真はヤマハのロングセラーモデル、SR400/500の母体となった、空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ499ccエンジンを搭載したトレールモデル「XT500」をベースにしたダートトラックカスタム。XT500はモーターファン.JPを運営する「三栄(旧:三栄書房)」が発刊していたバイク雑誌『月刊モト・ライダー』が生み出した、知る人ぞ知る幻のカフェレーサー「XT-S 500ロード・ボンバー」のベースモデルとしても有名。SR400/500誕生にも密接な関係がある。
PHOTO/REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
イベント主催:MOONEYES(ムーンアイズ) https://www.mooneyes.co.jp

元祖・ビッグシングルのトレールモデル・ヤマハ XT500とは?

1976年(昭和51年)に発売されたヤマハのトレールモデル、XT500。

1976年に発売されたヤマハXT500は、2ストロークエンジンに力を入れていた当時のヤマハが世界市場に向けて設計・製作した4ストロークエンジン搭載モデル。エンジンは空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブで、排気量は499cc。ボア径×ストローク長はΦ87mm×84mm。最高出力は30ps/5,800rpm。 ※このエンジンは1978年に登場するSR500にも搭載(ただし最高出力は32psにアップ)

XT500を一躍有名にしたのは、同車をベースにしたカフェレーサー「XT-S 500ロード・ボンバー」。ワンオフのフレームにトレールモデルのヤマハXT500用エンジン(ノーマル)を搭載したXT-S 500ロード・ボンバーは、モト・ライダー誌の発案により、カスタムショップが製作。エイプリールフール(4月バカ)企画として「ヤマハからNEWモデル登場!」と誌面展開された。

これが思わぬ反響を呼び、1977年の鈴鹿6時間耐久ロードレース(翌年から開始される鈴鹿8時間耐久ロードレースの前身)に出場。同車のエンジンを搭載したシマR&Dのワンオフレーサー「ロードボンバーIX」は、大排気量の4スト多気筒マシンや、2ストレーサーのTZ350などが出場する中、18位で完走を成し遂げるなど、今もなお伝説として語り継がれている。誕生のディープなお話は、下記ページをチェック!

XT500のエンジンは、“ビッグシングル”と呼ばれた1978年発売の超ロングセラーモデル「SR400」と「SR500」に継承。なおXT-S 500ロード・ボンバーのカフェレーサースタイルは、SR400/500にも大きな影響を与えている。

今見ると、まるでSRのストリートカフェカスタムのようなスタイルの「XT-S 500ロード・ボンバー」。このカスタムは1978年に発売された超ロングセラーモデル・SR400/500のフォルムにも大きな影響を与えた。

ヤマハSR400/500の誕生に大きな影響を与えたハイエンドカスタム「XT-S 500ロード・ボンバー」の誕生秘話(全7回)

ベース車両:ヤマハ XT500 製作:296 JAPAN

写真は絶版ビンテージモデルのヤマハXT500をベースにしたダートトラック風カスタム。タンク・シート・サイドカウル・テールカウル・リアフェンダーは、すべてが一体となった流れるような“トレイシー・ボディ”にカスタマイズ。

「トレイシー・ボディ」とは、ガソリンタンク・シート・サイドカウル・テールカウル・リアフェンダーが一体となった、1970年代に北米で流行したバイクスタイルや外装パーツを指す。当時トレイシー・ボディは、ダートトラッカー、チョッパー、カフェレーサーなど幅広く対応し、ハーレーダビッドソン用、トライアンフ用、ホンダのCB用、カワサキ用などがラインナップされていた。

写真のカスタムはフレームをワンオフ製作し、リジッド式フロントフォーク&リアショックなどを導入。エンジンは1978年以降、SR400/500に継承される、XT500の空冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブを搭載。一体感あるボディ、アップハンドル、ブロックパターンタイヤにも注目。

XT500のエンジンは、腰下(クランクケース部)のカバー類をシルバー化するなど、ブラック×シルバーのツートンカラーでエンジン周りの存在感を強調。

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