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日立Astemo 全方位検知システム「ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)」……参考出品
カメラを使用した全方位検知による走行安全性向上を目指している「日立Astemo」は、四輪車用に開発したECU一体型ステレオカメラを二輪車用に改良。2年前のEICMA2022において、初めて二輪車用ADASコンセプトを発表した。
ADASは趣味性の高い大型二輪車はもちろん、連携する制御システムを限定することで、日々の移動手段として活用されている小排気量コミューターにも搭載できるシステムを実現。
昨年のEICMA2023では、2つの前方検知用小型ステレオカメラを独立して配置させた進化版を発表。またADAS用ECUを2つの小型カメラと切り離し、分散配置することで車体搭載性を大幅に向上させた。
2024年発表の最新版は、危険な路面を事前に検知! 他の電子制御システムとも連携
2024年11月に開催されたEICMA2024では、EICMA2022とEICMA2023で発表した、前方検知用ステレオカメラを使ったADASの機能を維持しつつ、新たに路面検知(バンプ検知)機能を追加した大型アドベンチャーモデルを展示。
この新機能は、危険な路面状況を事前に検知することで、ライダーにモニター等で注意喚起。また他の電子制御デバイスと連携して、ライダーと車体の安全性向上に貢献。分散配置したステレオカメラを車体に装着する際、カメラ固定用部材とカメラレンズ用保護カバーを別体で構築させているのもポイントだ。
今回のEICMA2024では、フロントカウル装着車(大型アドベンチャーモデル)に対し、カメラ本体をカウルに固定するための固定用部材と、カメラのレンズを汚れや傷から守るカメラレンズ用保護カバーを個別に開発し、 ADAS用ステレオカメラを装着。またカメラモジュールの接続面をボールジョイント形状とすることで、カウルにカメラを装着後、カメラの角度調整ができるようにした。
最新版は車体への組み付け行程も簡素化
最新版のADASは、カメラレンズ用保護カバーを単体で脱着できる構造とし、車体への組み付け行程を簡素化。また飛び石などで保護カバーに傷が付いても、保護カバーのみを取り替え可能とし、維持コストを低下。カメラレンズ用保護カバーには撥水コート加工を施し、汚れを付きにくくしてメンテナンス性を高めている。
EICMA2023のADAS展示では、ステレオカメラを小排気量スクーターのサイドミラー本体や、ミラーの支柱に装着する搭載パターンも紹介。撥水コートを施したカメラレンズ用保護カバーは、サイドミラー周りのステレオカメラにも装着可能。カウル装着用ステレオカメラと同様のメリットを得ることも可能とした。
EICMA2022で初めて、同社は「二輪用ADASコンセプト」を発表。前方検知には、既存製品の多くがレーダーを用いる中、自社ステレオカメラによる四輪車向けADASで培ったカメラ技術を応用。ステレオカメラとADAS用ECUを一体化したシステムを二輪車の車両に搭載した。
そこで得た検知データを元に、危機を検知すると作動する「FCW(Forward Collision Warning=前方衝突警報)」や、ライダーのブレーキ操作をサポートするEBA「(Emergency Brake Assist=緊急ブレーキアシスト )」、積極的にブレーキ操作を行う「AEB(Automatic Emergency Braking=自動緊急ブレーキ)」などの電子制御システムと連携。
同社が開発したエンジン制御システムや電子制御サスペンションシステムとも連携&制御を行うことで、ライダーの安全や車両の安定性。またライダーに最大限配慮した、制御や減速動作が可能となった。