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Q:現行125ccスクーターに買い替え……じゃダメですか?
A:ダメ! だってデカいんだもん。
中古車の購入から2年。メンテナンス→駆動系チューン→リミッター解除→ボアアップと、少しずつ成長する喜びを体感してきた我が愛車、JOGアプリオですが、この度はスポーツマフラーを投入し、さらなるパワーを手に入れることを決断しました。
理由は、「速さに慣れちゃったから」。前回(1年前)のボアアップで、もうパワーは十分と思っていたのですが、中高速域でもうちょっとグイーン!と行けたらな。失速はせずとも速度をキープするのがせいぜいの峠道でのストレスを減らしたい。などなど、贅沢な欲が出てきてしまったのです。
同じヤマハからシグナスグリファスやアクシスZといった125ccモデルが販売されているから乗り換えれば良い! とはならず。装備重量70kgというJOGアプリオの軽さが私にとっての重要ポイント。シグナスグリファス(125kg)や、アクシスZ(100kg)ですら、煩わしく感じてしまうのです。(身長180cmの大男のくせに)
チャンバーじゃなく「スポマフ」を選択
2ストローク車にとってマフラーはエンジンの一部。なので高効率なものに交換して出力アップを狙うのは、常套手段です。
チャンバータイプで高回転&高出力化!というのも可能ですが、騒音事情に厳しい現在は、ノーマルマフラールックながらも排気効率に優れるスポーツマフラータイプの方が人気です。
今回使用するのは、KN企画のロングセラーアイテム、スポーツマフラー「G03X」。
ノーマルマフラーに近い音質ながらも、性能アップが果たせるという優れもので、これ1本で50cc〜117cc程度の排気量まで対応できる柔軟性も魅力。スチールボディをベースとしたルックスは、住宅街のような普段使いでも悪目立ちせず、大人にぴったりの1本と言えるでしょう。
商品名:G03X 価格:28,490円(消費税込み) 対応車種:ヤマハJOG50系(規制前2ストエンジン全般)/ヤマハJOG50系(規制後2ストエンジン全般)/ヤマハJOG90・アクシス90/ヤマハグランドアクシス・BW’S100/ヤマハBW’S50【5DA】
かつての定番モデルG03をベースにエキパイやサイレンサーの設計を見直すことで更なる静音性と扱いやすさをアップ。ステーを別体化にし、対応車種が増えました。
マフラー交換手順、ダイジェスト解説
引き続き、キャブセッティングに!
マフラー変更に伴い、キャブレターもセッティングする必要あり。キャブレターにアクセスしやすいようにシートやメットインボックスを取り外す。
キャブレターはボアアップ時にグランドアクシス100純正に大口径化しておりジェット類はメイン♯86、スロー♯52としていた。冬に焼き付かないように!とこの番手を選んだのだが、2022年の猛暑(外気温30度を超えると)では「濃すぎて加速せず」の状態でした。
プラグと駆動系の状態もチェック
キャブセッティングでジェット類をいくら変更してもちゃんと走らず、迷宮入りすることもしばしば。実は原因がスパークプラグや駆動系だった!というのもよくあるパターンなので、事前にこれらから確認しておきましょう。今回は駆動系は異常なし。プラグはかぶって寿命だったので、新品に交換しました。
メイン♯86→♯82、スロー♯52→♯45に決定!
「メイン♯86、スロー♯52」では、アクセルのツキが悪く全体的に濃い印象。ここから、スローの番手を大きく下げる→スローの番手を少し戻す→メインの番手を下げる→……と試走しながら少しずつセッティングを詰めていく。結局4回ほどキャブレターを分解し「メイン♯82、スロー♯45」という番手に落ち着いた。
駆動系は今回は変更せず
ゼロ発進がビュン!と過激になったので、クラッチスプリングを硬くするのもアリ。ただそれほど乗りにくいわけでもないし、そこから上の速度域はとっても滑らかに変速しているので、駆動系セッティングは手を加えなかった。
キャブセッティングの基礎知識
メインジェット……主にスロットル開度1/2〜全開領域に影響。 スロージェット……主にスロットル全閉(アイドリング)~1/4の開度に影響。パイロットジェットとも呼ばれる。 ジェットニードル……主にスロットル中開度(1/4〜3/4)付近に影響。
1年使って気づいたのは、「真冬は寒くて結局乗らずじまい。だから春〜秋向けにセッティングした方がよい」ということ。アクセルを開けるとブガブガいって失速するほど濃すぎるキャブセッティングは、走っていてストレス大でした。
オーナーズインプレッション
最高速が+10km/h!
「発進時にスロットルをガバ開けするとフロントタイヤが少しだけ浮くようになりました。お目当ての峠道でも速度をキープどころかグイグイ加速してくれるし、幹線道路では中速域からの伸びが良くなった! しかもノーマルタイプマフラー時に73.95km/hだった最高速は、83.57km/hとおよそ10km/hアップ。排気音は前よりも少し大きくなったけれど、レーシングチャンバーのような“いかにもチューニング車”な音量&音質ではないので、ご近所さんに白い目で見られることはないと思われます。普通のルックス(と音)のお買い物バイクなのにちゃんと速いので、普段使いに重宝してくれそう」
ジャーナリストが乗ってみた
「2ストらしい元気の良さを発揮するのは、メーター読みで30km/hの手前から。パイーンッという乾いた排気音とともに、まるでスイッチが切り替わったかのように鋭く加速する。軽量コンパクトな車体と相まって、体感的な加速フィールは現行の4スト110ccスクーターと同等かそれ以上だ。なお、30km/h以下での加速力はそれほどではなく、マフラーの音量も含めて信号の多い街中ではほんの少しストレスを感じるかも。とはいえ、それらも2ストの小排気量スクーターらしさであり、久しぶりにノスタルジックな気分になった」(大屋雄一)
2スト原チャリが大好物! MCシモも乗ってみた。
「多くの人が一度は胸を熱くし、深みにどっぷりハマる原チャリチューニングの世界。もちろん自分も例に漏れず様々なメーカーの縦型、横型エンジンを徹底的に弄繰り回してきた。そんな経験があるからこそ、至って普通の見た目のJOGアプリオの出来の良さに舌を巻いてしまった。
スクーターのチューニングはパワーが出てくると、扱いやすさとのバランスをとるのがだんだん難しくなってくる。バンバンウィリーするだけ、最高速を伸ばすだけ、は簡単だけど、どのエンジン回転域でもアクセルが付いてくるようにうまく纏めることこそ、スクーターチューニングの醍醐味なのである。
フロントアップに警戒しながらアクセルを開ける。接地感は薄まりつつもコントロールは失わず、かなり鋭い加速をする。ウィリーしようとすれば簡単にできてしまうほどパワフルだ。
更に加速を続けていくと市街地では十分すぎる速度まであっという間に到達する。この間にエンジン回転の落ち込み、いわゆる『パワーの谷』は感じられない。エンジンパワーを上げていくと一度は絶対にぶつかる難題である加速中や、アクセルを一旦オフから再度開けなおした時のエンジン回転の落ち込みがきれいに消せている。そこには並々ならぬトライ&エラーがあるのが普通だが、スクーターのチューニングに精通したKN-YOKOHAMAの佐々木店長が手掛けた車両とあって、市販パーツを組み込むだけでパーツに加工することなく、きっちり仕上げきるノウハウには感服。要は同じパーツを組めば誰でもこのJOGアプリオのパフォーマンスが手に入るというわけなのだ。うーん、なんだか自分も2ストスクーターを1台持ちたくなってきた」(MCシモ)
次回予告「ダイナモでパワーチェック」
スポマフ化&セッティングを完了した車両で、今度はシャーシダイナモに掛けて後輪出力を計測。詳細は次回お届けしますが、110ccクラスの4ストスクーターと同等以上の後輪出力を得ることができました!