CBR400R、YZF-R3、RC390| カワサキZX-4Rの登場でミドルクラスに注目!ライバルモデルとスペックを比べてみる。

日本の免許制度によって誕生した400ccクラスは、免許制度の改正で大型二輪免許が取りやすくなったことと排ガス規制によって衰退気味だったが、今秋には久々の4気筒スポーツモデルNinja ZX-4Rがデビューすることや、CBR400Rも4気筒にフルモデルチェンジの噂もあって、もしかして復活の兆しあり?!ということで、現在日本市場で手に入る400ccスポーツモデルを調べてみた。

かつては最も人気が高かった400ccクラス。1975年に日本の免許制度が改定されたことによって誕生したクラスとはいえ、バイクブーム真っ只中の1990年前後には国内4メーカーのみならず、イタリアのメーカーからも日本向けの400ccモデルが発売されるなど、数十車種がラインナップされていたほどだった。しかし、400ccは日本の免許制度に合わせて作られたことが災いし、国内でのバイク人気の低下と度重なる排気ガス規制によって次々と生産が終了。今や各メーカーともラインナップは激減して、スズキに至ってはこのクラスはスクーター1車種のみ。残る3メーカーも国内向けモデルは2、3車種という寂しい状態だ。

ラムエア加圧時には59kW(80ps) ものパワーを発揮する新開発4気筒エンジンを搭載するNinja ZX-4R

そんな状況の中、発表されたのがカワサキNinja ZX-4Rだ。ZXR400の生産終了以来、23年ぶりに並列4気筒400ccのスポーツモデルが復活となった。新開発の399ccDOHCエンジンは最高出力57Kw(77ps)、ラムエア加圧時にはなんと59Kw(80ps)ものパワーを発揮。NinjaZX-10RR譲りの高張力鋼製トレリスフレームと湾曲形状のロングタイプスイングアームにより、軽快な走りを実現している。国内発売は2023年の秋頃というアナウンスがされているが、発売が待ち遠しい。

ラインナップが少なくなったとはいえ、普通2輪免許で乗れるスポーツモデルは魅力的だ。Ninja ZX-4Rのライバルとなる各モデルを紹介しよう。

Ninja ZX-4R主要諸元

全長×全幅×全高(mm):1991×764×1109
ホイールベース(mm):1379
シート高(mm):800
車両重量(kg):188
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(cc):399
ボア×ストローク(mm):57.0×39.1
圧縮比:12.3:1
最高出力:57kW(77ps)/回転数未発表、ラムエア加圧時59kW(80ps)
最大トルク:35.8Nm(3.66kg-m)/11000rpm

ホンダCBR400R

2021年のマイナーチェンジでフロントブレーキがダブルディスク&ラジアルマウントキャリパーに変更となった。

現行モデルが登場したのは2013年。マスを集中化したコンパクトなダイヤモンドフレームに、新開発の水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ399ccエンジンを搭載。最高出力は34Kw(46ps)/9500rpm、最大トルクは37Nm(3.8kg-m)/7500rpm。吸排気バルブの大型化と共にエアクリーナーから排気ポートまでをストレート化し、PGM-FIのインジェクションを採用。180度クランクとカップルバランサーを採用して振動を低減している。サスペンションはフロントにインナーチューブφ41mmの正立タイプのテレスコピック、リヤにはプロリンクサスペンションを採用。2019年には外装を中心に大幅なリファインが行われシャープなLEDヘッドライトやLCDメーターを採用。エンジンにも改良が加えられ低中速域のトルクが向上。さらにアシストスリッパークラッチを採用し、クラッチ操作が扱いやすく、バックトルクを制御してより乗りやすくなっている。2021年にはフロントフォークをSHOWA製SFF-BPに変更し、フロントブレーキをダブルディスク化。ブレーキキャリパーはラジアルマウントとなった。高い運動性能ながら乗りやすさを備えたスポーツモデルで、アグレッシブな外観からは想像できないくらい乗りやすいのもCBR400Rの特徴だ。

CBR400R主要諸元

全長×全幅×全高(mm):2080×760×1145
ホイールベース(mm):1410
シート高(mm):785
車両重量(kg):192
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(cc):399
ボア×ストローク(mm):67.0×56.6
圧縮比:11.0
最高出力(kw[ps]/rpm):34[46]/9000
最大トルク(Nm[kgf-m]):38[3.9]/7500
変速機形式:6速リターン
タイヤ(前/後):120/70R17/160/60R17
燃料タンク容量(ℓ):17
価格:84万1500円

YZF-R3

毎日乗れるスーパーバイクをコンセプトに、高回転型の2気筒エンジンでスポーティな走りを堪能できる。

現在ヤマハのラインナップに400ccは存在せず、同クラスのライバルはYZF-R3になる。YZF-R3の登場は2015年。前年の2014年にデビューしたYZF-R25をベースに、エンジンのボアを拡大して320ccへ排気量をアップしたもの。搭載エンジンは水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒で、最高出力は31kW(42ps)。発売当初のコンセプト「毎日乗れるスーパーバイク」の通り、マスの集中化を図った169kg(初代モデル)の軽量な車体と高回転型のエンジンでスポーティな走りを楽しむことができる。2019年には大幅なマイナーチェンジが行われ、フロント周りを中心にカウルのデザインを変更。空気抵抗の低減と共に、エンジンの冷却効果もアップ。スクリーンの形状も変更してライダーへの負担も軽減している。ヘッドライトは2眼式のLEDヘッドライトを採用。さらにタンクのトップ位置とハンドルを20mm下げることで前傾姿勢を取りやすく、車両のホールドがしやすくなっている。R25との排気量差はたったの70ccに過ぎないが、ピークパワーの回転数が下がっていることもあり、トルク感もあって乗りやすくなっている。低回転からのアクセルオンでシャープに加速してくれるのはYZF-R3ならではだろう。

YZF-R3主要諸元

全長×全幅×全高(mm):2090×730×1140
ホイールベース(mm):1380
シート高(mm):780
車両重量(kg):170
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(cc):320
ボア×ストローク(mm):68.0×44.1
圧縮比:11.2
最高出力(kw[ps]/rpm):31[42]/10750
最大トルク(Nm[kgf-m]):29[3.0]/9000
変速機形式:6速リターン
タイヤ(前/後):110/70R17/140/70R17
燃料タンク容量(ℓ):14
価格:68万7500円

KTM RC390

トラクションコントロールやコーナリングABSなど電子デバイスを数多く搭載している。

現在日本で正規輸入されている輸入車の中では唯一の400ccクラスのスポーツモデル。RC390が登場したのは2014年。軽量の鋼管パイプトラスフレームに、水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒エンジンを搭載する。Moto3に参戦するプロダクションモデルRC250Rのレーサーレプリカとも言える存在。当時、MotoGPのイベントレースでは21歳以下のジュアニアレーサーで争われるRC390カップでも使用されていた。373ccの単気筒ながら32kW(44ps)の出力があり、Race competitionを意味するRCの名の通り、レーシーな走りが楽しめる。2022年にはフルモデルチェンジが行われ、エクステリアデザインが大幅に変更された。フレームは新設計により前モデルより1.5kgの軽量化し、搭載エンジンはマッピングの改良や大型エアボックスの採用によってトルクを向上。さらにライドバイワイヤー(電子制御スロットル)やトラクションコントロール、コーナリングABSを搭載。オプションでクイックシフターを選択することも可能になった。メーターはTFTカラー液晶ディスプレイを採用する。MotoGP譲りのレーシーな走りが楽しめるモデルだ。

RC390主要諸元

シート高(mm):824
車両重量(kg):155
エンジン形式:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cc):373
ボア×ストローク(mm):89×60
最高出力(kw[ps]/rpm):32[44]/10750
最大トルク(Nm[kgf-m]):37[3.7]/9000
変速機形式:6速リターン
タイヤ(前/後):110/70R17/150/60R17
燃料タンク容量(ℓ):13.7
価格:83万円

扱いやすくパワフルな走りが楽しめるミドルクラスモデル。250ccクラスとは異なる走りをもっともっと味わってもらいたい。Ninja ZX-4Rの登場を機に400ccクラスの復権を願ってやまない。

キーワードで検索する

著者プロフィール

橘 祐一 近影

橘 祐一