【20】「チューニングスクーターは駆動系がすぐ消耗する」はウソ!? |1年間走った駆動系を分解してみた。|楽しいアプリオ20

数年前に中古で買ったJOGアプリオは、マフラーから白煙を吹きまくり、坂道で失速するバッドコンディションな状態。これを街乗り快速号へと、少しずつカスタム&チューンナップしてきた訳ですが、乗りっぱなしで1年が経過しそろそろメンテナンスの時期かも? 

取材協力:KN-YOKOHAMA/KN企画(https://www.kn926.net)

現在の仕様はコチラ!

KN企画の純正補修マフラーからG03Xに変更したら最高速がめちゃアップ! 
●ヤマハ・JOGアプリオ(2001年式)

●エンジン:
・KN企画製 KN EX3ポート アルミメッキボアアップKIT
・ヤマハ グランドアクシス100/1型純正キャブレター(中古品)
・ヤマハ グランドアクシス100/1型純正CDI(中古品)
・KN企画製横型エンジンJOG系【エアーエレメント】ターボタイプ【規制後】

●マフラー:
・KN企画製G03X

●駆動系:
・KN企画製駆動系キット ヤマハ横型エンジン50cc系スクーター
・KN企画 ヤマハドライブフェイス クローワッシャ付ノーマルタイプ【細軸】
・KN企画 強化センタースプリング【ヤマハ/スズキ】黒1000回転UP 
・KN企画 トルクカム ヤマハ50ccスクーター系 【RL-02】
・KN企画 ヤマハ系 2枚クラッチアッセン一式【純正タイプ】

この中で自動変速しています

紫外線で樹脂カバーは白く劣化。ただし機能的には問題なし。

50cc→68cc化したJOGアプリオにKN企画製スポーツマフラーを組んだのがおよそ1年前。やはり2ストエンジンに高効率マフラーへの交換効果は絶大で最高速は+10km/hアップの83.5km /hに。それでいてスタートダッシュもフロントタイヤがちょい浮くくらいキビキビの街乗りオールラウンダーに仕上げられています。

それから1年が経過し、駆動系の消耗具合を確認すべく、KN-YOKOHAMAの佐々木さんの元を再び訪ねたわけです

さっそく駆動系カバーを開けると……、Vベルトのカスがケース内に溜まっていました。

ドライブプーリーやクラッチ、トルクカムなどを取り外した状態。
ベルトカスは溜まっていますが、1500kmくらいは走行したと思うので、汚れ具合も妥当かと思われる。
プーリーに挟まれて動力を伝達するのがVベルト。交換の目安はノーマル車で10000〜20000kmといわれている。チューニング車の交換頻度はもっと短い。

駆動系を分解チェック

筆者のJOGアプリオの走りがギグシャクせず滑らかな理由の一つが、きっちりとセットアップされているから。構成パーツはほぼすべてKN企画製で構成されている。
こちらが1500kmほど走行したウエイトローラー。段減りはみられません。
ウエイトローラーは写真のようにドライブプーリーに収まっています。
クラッチシューの残量もまだまだたっぷり。

スクーターの駆動系パーツの中でも代表的な消耗パーツがVベルトとウエイトローラーです。

「ウエイトローラー」は、ドライブプーリー内に格納されるパーツです。遠心力を利用して、プーリー内をスライドし、プーリーを押し上げることで変速させる仕組みです。このスライド時の摩擦によってウエイトローラーは徐々にすり減っていくので、定期的に新品に交換する必要があります。

「Vベルト」は、エンジンの出力を後輪に伝える役割を持ち、ドライブフェイス、ドリブンフェイスに常に挟まれているので、これも少しずつ摩耗して細くなってきます。車種ごとにベルト太さ(使用限度値)が決まっているので、細くなったら要交換です。

なお、それほど距離は走っていないはずなのにVベルトやウエイトローラーの摩耗が激しい車両は、駆動系のセッティングがあっていない場合があるので注意が必要。チューニングビギナーがやりがちなパターンが、発進時のダッシュ力強化を狙っての「プーリーボスへのシムワッシャーを入れすぎ」も、摩耗の原因となります。

「ボスが長すぎる=プーリーがVベルトを押さえる力が弱いので発進時にベルトがぬるりと滑ってしまう→ベルトがスリップするとプーリーが熱を持ちやすい→ウエイトローラーが熱で摩耗しやすい」という状況に陥っているわけです。ベルトのスリップによってベルト自体の摩耗も早まってしまいます。

今回のJOGアプリオのウエイトローラーを見ると、樹脂カバーがほとんど摩耗しておらず交換はしなくても良さそうな状態。つまり駆動系のセッティングがバッチリだったということ。でもせっかくの機会なので新品にリフレッシュ。Vベルトもついでに交換。それ以外の部品には特に問題は見あたらず、グッドコンディションでした!

ここにシムワッシャーを追加して、キビキビ発進を手に入れるのがスクーターの定番メニュー。ただし、入れ過ぎはベルト滑りの原因となるので、注意が必要だ。

KN企画・ウエイトローラー 15×12 ヤマハスクーター系(649円)

使用ウエイトローラーは4.5g×6個。せっかくの機会なので新品に交換しました。

ほとんどのヤマハの50cc、90cc系スクーターに使用できるφ15×12mmサイズ。重量ラインナップも豊富で、補修用途からチューニングまで幅広く対応する。

KN企画・国産強化ベルトシリーズ JOG系(2,970円)

写真はロングタイプ。

芳香族ポリアミドを含む6層で構成された強化ベルト。ノーマルの補修からボアアップなどのチューニング車、周回レースといった用途まで幅広く対応。純正長とミドルタイプ(3,190円)、ロングタイプ(3,190円)がラインナップする。

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著者プロフィール

山田 俊輔 近影

山田 俊輔

Motor-Fan BIKES 編集長1981年生まれ。身長180cm(モジャモジャを足すと185cm)。初めて…