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どないするタカハシ! てかそのタイトルなんなん?
昨年、ある公共放送局が「どうする某」と題するドラマをせっせと放映していたそうだ。近年では、ポケットサイズのチャカをパンパン鳴らしてパンチパーマ男数人が庭先で小競り合いする昭和の歴史映画ですら、コンプラなんとかの都合で放送できないのに、槍だの刀だの火縄銃だのを盛大に持ち出し、ちょんまげ男が数万人単位で残虐きわまる殺し合いをやらかす戦国歴史ドラマのほうは、なぜか平然と放送されている。テレビの倫理観とか企業のコンプラなんとかってものは、いったいどうなってるんだと呆れるほかはない。
それはともかく2023年のある日曜、タカハシがテレビの前でダラけていると、午後8時を過ぎたあたりで、まるで雷に打たれたように突如として徳川家康に興味がわき、どうせガス欠するまで東海道を走るなら、徳川家康の遺構をたどってみようと思いついた。
東海道五十三次を整備したのは徳川家康だから、これは自然な着想だ。よくいる下世話なWebライター連中のようにテレビドラマの人気にあやかってアクセスを稼ごうなどとケチなことを考えたわけじゃない。その証拠に、タカハシはドラマの放送終了を行儀よく待ち、おもむろにこの記事の公開に踏み切ったのだ。モノカキとしてあまりにも清く正しく潔い態度だと絶賛せざるを得ない。(何か月も執筆をサボってて原稿が間に合わなかっただけでしょ? とかの低俗下劣な邪推は禁止禁止禁止ったらめっちゃ禁止!)
これが原二スポーツ最右翼、GSX-S125 ABSだ!
GSX-S125(以下、「ABS」は略)は、2016年のミラノショーで欧州向けに発表され、2017年から国内販売されているスズキ自慢の俊足スポーツネイキッドだ。パワートレインはフルカウルの兄弟車GSX-R125と基本的に共通。そしてRより2Kg軽く、取り回しに優れている。
カウルの有無は好き好きだし、RもSもそれぞれカッコいいが、高速に乗れない125クラスだと、公道では60km/hまでしか出せず、フルカウルが必要なほど難儀なシチュエーションに出くわすことはまずない。転倒しても修理が安あがりで、経済的に乗り続けられる利点もあるから、立ちゴケのリスクがつきまとう初心者には軽装のSを薦めたい。
家康のツメあとは都内にも
日本橋から東海道を走り出し、最初に出くわす家康の遺構は江戸城の大手門だ。ビデオゲームをはじめたとたん、いきなりラスボスに出くわしたらシラけるだろうが、現実世界なんて、まあこんなものだ。タカハシは最強のラスボスをあっさり放置し、まずは東京タワー近くの増上寺をクリアすることにした。
湘南海岸を小田原へ
都内で白バイ隊員の視線から逃げ回ったり、寺をのらくら見物したり、ファミレスで甘い水分を吸い散らかしていたら遅くなったので、あわてて神奈川へ。ひたすら西をめざす。
湘南海岸にたどり着く頃には、陽の光はだいぶ黄色くなっていた。海岸沿いの国道134号をどんどん西へ。シャレオツが行き過ぎて、メンタルへの攻撃性すら感じさせる海岸道路に嫌気がさし、大磯の花水川から海を離れる。北上しはじめたところで、フューエルメーターがやっとひとつ動いた。
暮色が濃くなる国道1号を西にとる。そういえばこのあたりには家康ゆかりの高来神社があった。せっかくだから寄り道しよう。
小田原への途上で日没をむかえ、宿までは夜走りになった。部屋にあがって荷物を解き、途中で買ったコンビニ飯をかき込むと、すぐに寝てしまった。