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本田技研工業(ホンダ)は、「東京モーターサイクルショー2024」<2024年3月22日(金)〜24日(日):東京ビッグサイト(東京都江東区)>に、新型のスポーツモデル「CB1000 HORNET」(以下、ホーネット1)を出展した。
「CB1000 HORNET」は、イタリア・ミラノで開催されたモーターサイクルショー「EICMA2023」にて初公開された(2023年11月07日〜12日)。2024年中にヨーロッパ市場に投入する予定だという。
2年間のみ日本で販売されていた「CB900 HORNET」
「ホンダ・ホーネット」といえば、250をまずは想像するだろう。「カムギアトレーン」という独特のカム駆動機構を備えた直列4気筒の250ccモデルで、「カワサキ・ZX-25RR」が発売される以前は、日本最後の250ccの4気筒モデルとなっていた。「ホーネット」は現在も中古車市場で人気のようだ。
しかし「ホーネット」には大型モデルが存在した。600ccの「HORNET 600」と、900ccの「CB900 HORNET」の2機種である。「ホーネット1」は、「ホーネット900」の後継となる。
「CB900 HORNET」(以下、ホーネット900)が登場したのは2001年だった。丸目ライトのオーソドックスなネイキッドのスタイルだが、「CBR900RR」のエンジンを流用し現在のストリートファイターに通ずるパッケージを持っていた。
250ccの「ホーネット」と同様にバックボーンフレームを採用したため、フレームの大部分が隠れておりエンジンの存在感が強調されていた。さらに左右に張り出したタンクと後部2本出しのアップマフラーも相まって、独特の存在感を放っていた。
しかし「ホーネット900」は2003年を最後に海外専売車となったため、あっという間に日本から姿を消してしまったのだ。
「ホーネット」改めストリートファイター「CB1000R」登場
「ホーネット900」はその後2007年まで製造が続けられ、モデルが実質終了する。2008年には実質後継の海外専売車「CB1000R」が登場。「ホーネット」の名前は与えられなかったが、「CBR1000RR」のエンジンを搭載するなど、「ホーネット900」のコンセプトを継承していたと考えて良いだろう。
ちなみに「ホーネット」の名前は600ccのエンジンを積んだ「CB600F HORNET」が継承した。そしてホンダのインド法人が「HORNET 2.0」という小排気量ネイキッドを生産し、冠自体は現在まで受け継がれてきている。
ともあれ「CB1000R」は、最初は尖ったヘッドライトを装備するストリートファイターに進化する大胆なイメージチェンジ敢行。アップマフラーではなくなったものの、スイングアームが片持ち式となり手裏剣をかたどったかのようなリアホイールが特徴的なものとなった。「CB1000R」は海外専売車として10年余り販売が続く。
数奇な変遷を経て次世代CBのフラッグシップに
2018年に「CB1000R」は再び大胆なモデルチェンジを敢行した。ストリートファイターのスタイルを改め、丸目のライトなどレトロのテイストを取り入れた「ネオスポーツカフェ」となった。しかし片持ち式のスイングアームは継承され、ネオレトロとはまた違った造形美を持つモデルへと進化した。
さらに新型「CB1000R」は、欧州のみならず日本にも導入された。これにてようやく”オオスズメバチ”の系譜がようやく日本に戻ったことになる。
そして2023年、「EICMA」にて「ホーネット1」が発表され、今回の「大阪・東京モーターサイクルショー」にも市販予定車として出展された。時期の明記はないが、紆余曲折を経て約20年ぶりに”オオスズメバチ”が国内を飛び回ることになる。それもCBシリーズのフラッグシップとなっての帰還である。
ロングセラーのモデルや車名は数あれど、ここまでの変遷は希有な事例ではなかろうか。ホーネットのファンにとって朗報に違いないだろうし、同時にCBブランドのターニングポイントになるかもしれない。詳報を待ちたい。