5,730ccのV型8気筒OHVエンジン搭載で車体重量は498kg! 実は“走りも過激”な米国のBOSS HOSS(ボスホス)を、人気のハーレー&ホンダ・ゴールドウィングと比較 

写真左上)ホンダ・ゴールドウィング ツアー 写真左下)ハーレーダビッドソン・ロードグライド 写真右)BOSS HOSS(ボスホス)・ZZ4 ST BIKE
米国のバイクメーカー「Boss Hoss Moto超々rcycles(ボスホスモーターサイクル 。以下ボスホス)」がリリースする「ZZ4 ST BIKE」は、自動車用の水冷4ストロークV型8気筒OHV型5,730ccエンジンを搭載。乾燥重量はスタンダードなビッグバイクの2台分に相当する498kgの超々アメリカンサイズ。ここでは米国を代表するハーレーダビッドソンの人気モデル「ロードグライド」、日本を代表するホンダのヘビー級ロングセラーモデル「ゴールドウイング ツアー」、そして「ZZ4 ST BIKE」の主要諸元を比較。ボスホスは一見ヘビーでスローモーなイメージだが、パワーウエイトレシオはホンダ・スーパースポーツの最高峰「CBR1000RR-R FIREBLADE」には及ばないものの、ネイキッドスポーツ「CB1000R」を凌ぐ数値を発揮!
PHOTO&REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
ボスホスサイクルジャパン http://www.bosshoss.co.jp/

BOSS HOSS(ボスホス)・ZZ4 ST BIKE……価格は要問い合わせ

米国のバイクメーカー「Boss Hoss Motorcycles(ボスホスモーターサイクル 。以下ボスホス)」が開発するモデルは、シボレーなどに採用される自動車用の大排気量エンジンを、バイクのフレームと足周りに搭載。「アメリカンサイズ=ビッグサイズ」をそのまま具現化しているのが特徴だ。国内でもファンは多く、オーナーズクラブによるミーティングも開催中。

写真はボスホスがリリースする「ZZ4 ST BIKE」というモデル。外観はハーレーダビッドソンのローライダーをイメージさせる、フロントカウルやリアバッグを省いた軽快なロー&ロングのアメリカンスタイルが特徴だ。

フレームはビッグでヘビーな自動車用エンジンを搭載するための、強靭な専用設計。エンジンは“アメ車らしい”水冷4ストロークのV型8気筒OHV。排気量もアメリカンサイズで、国内四輪車も顔負けの5,730cc。

車体重量はスタンダードなビッグバイクの2台分に相当する、二輪としては驚愕の498kg。大排気量エンジンに加え、超大型のラジエター、35Lの超大型ガソリンタンク、300mm幅の超ワイドなリアタイヤ等々、既存のバイクの常識を遥かに超越した、アメリカンサイズのアイテムが随所に投入されている。

ハーレーダビッドソン ロードグライド(2024年モデル)…………369万3800円(税込)~

アトラスシルバーメタリック

ハーレーダビッドソンの中でも絶大なる人気を誇るツアラーモデル。2024年モデルはデザインを一新し、エンジンの冷却効率もアップ。加えて足周り設計の見直しを行い、快適性と軽快感を向上させるなど、“ハーレー新時代の象徴”として進化した。

搭載されるエンジンは、排気バルブ周りのみにウォーターラインを設けた、空冷+水冷4ストロークV型2気筒OHV1923ccの「Milwaukee-Eight® 117V(ミルウォーキーエイト117V)」。ボア径×ストローク長は103.5mm×114.3mmのロングストローク型。最高出力は93.8ps/5,020rpm(2023年モデルよりも3%アップ)、最大トルクは175Nm/3.500rpm(2023年モデルよりも4%アップ)を発揮。

任意に選択できる電子制御のライディングモード(ロード、スポーツ、レイン、カスタムの4モードに設定可能)を採用し、路面状況や走行シーンに合わせ、ライディング特性を自由にコントロールすることも可能だ。

2024ハーレーダビッドソンStreet Glideモーターサイクル | 古き良き魂、新しい愛の形

ホンダ ゴールドウイング ツアー……346万5000円(税込)

ベータシルバーメタリック(ツートーン)
モーターサイクルでは唯一無二(2024年4月現在)の水冷4ストローク水平対向6気筒OHC(ユニカム)エンジンを搭載。

ゴールドウィングは1975年に米国で「ゴールドウィングGL1000」として発売以来、長年ホンダのフラッグシップとして進化してきたロングセラーモデル。最新モデルとなる写真のゴールドウイング ツアーは、モーターサイクルでは唯一無二(2024年4月現在)の水冷4ストローク水平対向6気筒OHC(ユニカム)、排気量1,833ccのエンジンを搭載した大型プレミアムツアラー。

同車はリバース(後退)機構+微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)を採用した7速+リバースの「Dual Clutch Transmission(DCT)」を採用。左手ハンドルスイッチのボタン操作だけで微速前後進を可能とし、切り返しや駐車場等における低速での取り回し性の良さを追求。

TOUR、SPORT、ECON、RAINの4種類の走りのキャラクターが選べる、シーン別ライディングモードも装備済み。スロットルバイワイヤーシステムによるパワーフィールの違いに加え、7速DCTのATモード変速スケジュール、トルクコントロール、サスペンションの減衰特性、ブレーキ特性の計5要素で制御し、各走行シーンにマッチした出力特性と運動特性を実現している。

車体重量はボスホスが100kg以上の差で2車を圧倒! 車体の違いを比較

【ボスホス ZZ4 ST BIKE】
全長×全幅×全高:2,650mm×1,050mm×1,240mm
軸距(ホイールベース):-
重量:498kg
燃料タンク容量:35L

【ハーレーダビッドソン ロードグライド】
全長×全幅×全高:2,410mm ×-×-
軸距(ホイールベース):1,625mm
重量:380kg
燃料タンク容量:22.7L

【ホンダ ゴールドウイング ツアー】
全長×全幅×全高:2,615mm×905mm×1,430mm
軸距(ホイールベース):1,695mm
重量:390kg
燃料タンク容量:21L

3モデルとも超ビッグサイズ&超ヘビーな車体が特徴だが、全長はボスホスとホンダが横綱で、ハーレーはやや小ぶりな大関といったところ。ボスホスはフロントカウルやリアのバッグやケース類は非装着だが、重量はホンダやハーレーよりも100kg以上ヘビー。これはエンジン本体が大きな5,730ccという排気量。しかもエアコンの室外機のような超大型ラジエターを装備。加えて部品点数の多い水冷4ストロークV型8気筒OHV型エンジンを搭載していること。またパイプ径が太く、各部に補強を施した、超ヘビーなエンジンを搭載するための強靭なフレームや足周りが大きな理由だと推測。

ボスホスの優れたパワーウエイトレシオに注目! エンジンの違いを比較

【ボスホス ZZ4 ST BIKE】
エンジン:水冷4ストロークV型8気筒OHV
排気量:5,730cc
最高出力:350ps / 5,250rpm
最大トルク:-
トランスミッション:2速-1速-N-R(リターン)

【ハーレーダビッドソン ロードグライド】
エンジン:空水冷式4ストロークV型2気筒OHV(Milwaukee-Eight® 117)
排気量:1,923cc
最高出力:93.8ps / 5,020rpm
最大トルク:175Nm/3,500rpm
トランスミッション:6段

【ホンダ ゴールドウイング ツアー】
エンジン:水冷4ストローク水平対向6気筒OHC(ユニカム)4バルブ
排気量:1,833cc
最高出力:126ps / 5,500rpm
最大トルク:170Nm/4,500rpm
トランスミッション:電子式7段変速(DCT)※リバース(後退)機構+微速前後進機能(ウォーキングスピードモード)付

ボスホスの排気量はハーレーやホンダの約3倍。またボスホスの最高出力は、ハーレーやホンダを圧倒する350馬力。ここで注目したいのは、3台のパワーウエイトレシオ(※注1)。特にボスホスはアメリカンモデルながら、下記の通り驚異的な数値を記録。

車種車体重量最高出力パワーウエイトレシオ
ボスホス ZZ4 ST BIKE498kg350ps1.42kg/馬力
ハーレーダビッドソン ロードグライド380kg93.8ps4.05kg/馬力
ホンダ ゴールドウイング ツアー390kg126ps3.09kg/馬力
ホンダ CBR1000RR-R FIREBLADE200kg218ps0.91kg/馬力
ホンダ CB1000R213kg145ps1.46kg/馬力
※注1:パワーウエイトレシオとは、1馬力が負担する車重を示す数値。一般的に車両重量÷最高出力で算出。数値が低いほど俊敏でスポーティといえる。

ボスホスは大柄でヘビーなため、ツアラー色の濃いイメージ。しかしパワーウエイトレシオのみで見た場合、ホンダのスーパースポーツ最高峰「CBR1000RR-R FIREBLADE」には及ばないものの、ネイキッドスポーツ「CB1000R」を凌ぐ、ずば抜けた数値を発揮。ロー&ロングのアメリカンスタイルながら、“350馬力の四輪用エンジンを二輪に搭載した”という無茶苦茶ぶりからも想像できる通り、その走りはかなり過激だといえる(※注2)

※注2:ボスホス ZZ4 ST BIKEは498kgの車体に350馬力のエンジンを搭載。なお軽自動車は1000kg程度の車体に64馬力のエンジンを搭載。仮に498kgまで軽量化した軽自動車の車体に、350馬力(ちなみに直列6気筒2,997ccエンジン搭載のトヨタ・スープラRZは387馬力)のエンジンを搭載したら……。ボスホス ZZ4 ST BIKEは、それをバイクで実践しているのがポイントだ。
写真はオプションのロードライトとハンドシフター(ジョッキーシフト)装着車。

ボスホスのリアタイヤ幅は怒涛の300mm! タイヤサイズを比較

【ボスホス ZZ4 ST BIKE】
フロント:120/70-21
リア:300/35-18

【ハーレーダビッドソン ロードグライド】
フロント:130/60-19
リア:180/55-18

【ホンダ ゴールドウイング ツアー】
フロント:120/70-17
リア:190/55-17

フロントタイヤ幅はボスホスとホンダが120mm、ハーレーが130mmとほぼ同じ。しかしリアタイヤ幅は、ボスホスが四輪スポーツカー並の300mmと他の2台を圧倒。ボスホスのリアビューは圧巻の一言。

タイヤサイズはフロントが120/70-21、リアは300mm幅の超ワイドな300/35-18。

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