BMW史上最強のクロスオーバーモデル降臨! ドシャ降りの中だからこそ実感できたM1000XRのスゴさとは?

2021年に二輪初となる「M」モデルのM1000RRを発売したBMWモトラッド。2023年にはロードスターのM1000Rを追加し、そして今年は第3の「M」となるM1000XRをリリースした。モビリティリゾートもてぎで開催された試乗会で、最強クロスオーバーの実力をほんの少し味わうことができたので、その模様をお届けしよう。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ディテール解説

前後ショックはマルゾッキ製で、電子制御サスのDDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)が組み込まれている。S1000XRのDDCとの違いは、レースプロモード1~3で伸び側と圧側の減衰力を14段階に調整できることで、フロントに関してはスプリングトラベルセンサーを追加することでそれが可能に。なお、ステアリングダンパーの減衰力は手動にて10段階に調整可能だ。Mブレーキキャリパーはブルーのアルマイトコーディングが特徴だ。
前後のサスストロークはS1000XRの150mm/150mmから、138mm/138mmへとわずかに短くなっている。リヤショックには油圧式のプリロードコントローラーあり。
S1000RRをベースとする999cc水冷並列4気筒エンジンは、S1000XRでは省略されていたバルタイ可変機構のシフトカムを採用。最高出力を170psから201psへと大幅に引き上げており、このセグメントでは最もパワフルなマシンとなった。なお、最高回転数は1万2000rpmから1万4600rpmへ。最高速は275km/hを公称。
調整機構を持つMライディングステップキット。もちろんクイックシフターを標準装備する。
アクラポヴィッチ製のチタンサイレンサー。スリップオンタイプだ。
日本仕様はバーエンドミラーとなる。
M1000XRのスタイリングにおける最大のポイントは、サイドカウルに追加されたMウィングレットだろう。100km/hで2.3kg、160km/hで6.0kgのダウンフォースが得られ、フォークのスプリングバック減少による安定性向上、リフトアップが減ることによるDTCの介入減少、高速走行時のスムーズなハンドリングなど、さまざまな効果が得られるという。
マルチコントローラーを備えた左側スイッチボックス。微調整機能を備えた最新世代のDTC(ダイナミック・トラクション・コントロール)を標準装備。レイン/ロード/ダイナミック/レースの各モードでは基本設定が固定されているが、レースプロの1~3では各項目の設定を細かく変更できる。ローンチコントロール、ピットレーンリミッターなども採用。
6.5インチTFT液晶カラーディスプレイを採用。イグニッションをオンにすると「M」のロゴによるスタートアップ・アニメーションが始まる。写真はスポーツモードでの表示画面で、中央にバンク角、左にDTCの介入レベル、右にブレーキ圧が表示される。データロガーもオプションにて用意。

BMW・M1000XR 主要諸元

●エンジン
最高出力 148kW(201ps)/12,750rpm
タイプ 油冷/水冷4気筒4ストローク並列エンジン
ボア×ストローク 80mm×49.7mm
排気量 999cc
最大トルク 113Nm/11,000rpm
圧縮比 13.3 : 1
点火/噴射制御 電子制御インテークパイプ・インジェクション、デジタルエンジンマネジメントシステム: BMS-O、スロットル・バイ・ワイヤ
排ガス基準 EU 5+
最高回転数 14,600rpm

●走行性能/燃費
最高速度 275km/h以上
WMTCに準拠した1Lあたり燃料消費率(1名乗車時) 15.38km/L
WMTCに準拠したCO2排出量 152g/km
燃料種類 無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)(最大5%エタノール、E5) 98ROZ/RON 93 AKI

●電装関係
オルタネーター 永久磁石オルタネーター 450W(定格出力)
バッテリー 12V/5Ah、リチウムイオン

●パワートランスミッション
クラッチ 湿式多板クラッチ(アンチホッピング)、自己倍力機能付き
ミッション 常時噛み合い式6速トランスミッションをエンジンブロックに内蔵
駆動方式 チェーンドライブ、525 17/47
トラクションコントロール BMW Motorrad DTC

●サスペンション/ブレーキ
フレーム アルミニウム鋳造ブリッジタイプフレーム、エンジンをフレームの一部として利用
フロントサスペンション 倒立式テレスコピックフォーク、直径45mm、電子調整式リバウンド及びコンプレッション・ダンピング(ダイナミックESA)
リアサスペンション アルミニウム製ダブルサイドスイングアーム、DDCダイナミック・ダンピング・コントロール(センターショックアブソーバー)、調整式スプリングプリロード、電子制御式リバウンド及びコンプレッション・ダンピング
サスペンションストローク、フロント/リア 138mm/138mm
軸距 1,548mm
キャスター 117.4mm
ステアリングヘッド角度 64.9°
ホイール アルミニウム鍛造ホイール (Mカーボンホイール OE装備:カーボンホイール)
リム(フロント) 3.50″×17″
リム(リア) 6.00″×17″
タイヤ(フロント) 120/70ZR17
タイヤ(リア) 200/55ZR17
ブレーキ(フロント) ダブルディスクブレーキ、直径320mm、4ピストン固定式キャリパー
ブレーキ(リア) シングルディスクブレーキ、直径220mm、1ピストンフローティングキャリパー
ABS BMW Motorrad インテグラルABS(パーシャリーインテグラル、スイッチオフ可能)
ABS Pro BMW Motorrad ABS Pro(Rain、Road、Dynamic、Raceモード)

●寸法/重量
シート高、空車時 850mm
インナーレッグ曲線、空車時 1,905mm
燃料タンク容量 約20L
リザーブ容量 約4L
全長 2,170 mm(リアホイールを含む)
全高 1,382 mm(ミラーを含む)
全幅 850 mm(アクセサリーを除く)
車両重量(ドイツ工業規格DIN 空車時、走行可能状態、燃料満載時の90%、オプション非装備) 223kg
許容総重量 450kg
最大積載荷重(標準装備の場合) 227kg
乾燥重量 211kg

●カラー展開
M1000XR ライト・ホワイト/Mモーター スポーツ(N3H)
M1000XR・M コンペティション ブラック・ストーム・メタリック/Mモータースポーツ(N3S)

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…